イメージ 1

 

 

例年のペースで落語会へ通い、結果、ここで三百席を超えました。

今年は何席聴くのか?それにしても10月の横浜にぎわい座のプログラム!!

びっくりするくらいに「シケ」ております。立川流四天王が出ないなんて!!

そんな月は、久しく無かったように思います。

(談笑は貸しホールでしか出ないけどね)

 


毎回、ゲストを呼んで濃い内容で行われる「遊雀玉手箱」

流石に、高田先生→志の輔→昇太の後が、兼好さんでは…

地味に感じましたね。私は嫌いじゃないんだけど、兼好さん。

五代目・圓楽党の中では、完全にエース的存在です。

でも、落語協会・芸術協会・立川流を加えると… 中の上かな?


 

さて、そんな第八回 遊雀玉手箱、こんな内容でした。


 

・オープニングトーク

・天狗裁き

・酢豆腐

・一分茶番


仲入り


・船徳


 

 

1.オープニングトーク

六郷の寳幢院で開催された「第十七回たから寄席」が、

この遊雀・兼好二人会でした。それ以来、二人が揃う感じです。

遊雀師匠が、兼好さんのドイツでの活躍に触れて、

ここで、ドイツの土産話を少ししましたが、流石に、

もうドイツから帰って1ヶ月半、この話題にも飽きた感じの兼好くんでした。


 

 

2.天狗裁き/遊雀

年に2回程度、必ず、聴く演目です。2009年は菊丸と花緑、

2010年は塩鯛と可龍のを聴いています。

この噺は、結構登場人物が多い噺で、熊五郎、女房のお崎、

隣人・八五郎、家主、奉行、そして、天狗です。


熊五郎が昼寝をしていると、それを見ていたお崎が、

「あら?この人夢を見ているは?どんな夢なんだろう」と、

熊五郎の寝顔の表情変化が、あまりに豊かなので興味を持つ。

「ねぇ!あんた、起きて・起きて・」と、起こしながら、

「どんな夢を見ていたの?」と、質問するのだが、熊五郎は見ていないの一点張り。

ついには、夫婦喧嘩に発展し、「出て行け!」「殺せ!」とエスカレートする。


これを薄い壁越に聞いていたのが、隣人・八五郎、喧嘩の仲裁に入り、

「お崎さん!うちの女房がカキ餅焼いているから、

女同士、茶飲んで世間話して憂さを晴らしな!」と隣に行かせる。

すると、今度は八五郎が、「おい熊、どんな夢だったんだよ?!」と尋ねる。

「おいおい、俺は夢なんて見ちゃいねぇー」と云う熊五郎、

何を見た、見ちゃいねぇーで、こんどは二人が喧嘩に。


これを通り掛ったのが家主、うちの長屋がどうして喧嘩早い奴ばっかりなんだ!

と、嘆きつつ、この喧嘩の仲裁に入り、店賃の話で、八五郎をやり込める家主。

そして、今度は家主が、「ところで、どんな夢だったんだい?」と尋ねる。

「えっ!見てません大家さん」と、夢の存在を否定する熊五郎に、

大家といえば親も同然、店子というえば、子も同様だ!

「お前は、親の言うことが聞けねぇーなら、出て行け!店絶てだ!」と怒鳴る。

「馬鹿な話があるか!」と、店絶てを拒否する熊五郎を家主が奉行所に訴える。


ついについに、奉行の裁きを受ける熊公と家主。

奉行は、お白砂で、家主が理不尽極まりない!熊五郎勝訴の判決を言い渡す。

一同立ちませぇー となった中、熊五郎を白砂に留め置く奉行。

そこで、奉行が「どんな夢だったんだ?熊五郎」と尋ねる。

「本当に見てないんです!本当です!」と言う熊公を奉行は、仕置きに掛ける。

奉行所の大きな松のてっぺんに縄で縛られた熊五郎。

泣く力も無くなり、ぐったりしていると、そこへ一陣の風!!


天狗参上!


天狗にさらわれて、高尾の山中で、開放された熊公。

天狗が熊公に向かって言う

「最初は、女房が聞きたがり、続いて隣家の朋友が聞きたがる、

そして家主が聞きたがり、なんと!最後は奉行までもが聞きたがる

して、その夢、人間ではない天狗になら話せるだろう、

ワシの口から他に漏れる心配は些かもない。熊五郎!喋ってもよいぞ」


そう言われても、夢を見ていない熊公

「天狗様、助けて頂いた事には感謝しますが、

夢は、見ちゃいないんです!本当です、勘弁してください」と絞り出すように言う。


すると天狗が激怒、鷹のような大きな爪で、熊公の喉元をグイグイ掴む。

「苦しい!助けて!」と、モガキ苦しむ熊五郎、そこに声が掛かる。

「ねぇ!あんた、起きて・起きて・ どんな夢見てたんだい!」


この噺、やろうと思うとエンドレスにできる構成です。

さて、遊雀くんの『天狗裁き』ですが、それぞれのキャラはまずまずなんだけど、

やっぱり、最後の天狗様、このキャラクターが一番面白くないとダメですよね。

しかし、奉行と天狗が、そんなに変わらない威厳の程度なのです。

もう少し工夫すると、さらに笑いも多くなるし、いいと思いました。


 

 

3.酢豆腐/遊雀

『ちりとてちん』を江戸噺に変えたのが、この『酢豆腐』

同じように、いけ好かない知ったかぶりの人間に、

カビの生えた腐った豆腐を騙して食べさせるお噺です。

『ちりとてちん』は、タケさんという傲慢な感じの職人が食わせる相手ですが、

一方、『酢豆腐』は、カマっぽい若旦那が犠牲?餌食になります。


この噺、やっぱり、このカマっぽい若旦那の演じ方です。

遊雀くんのは、先月聴いた左龍くんほど濃いキャラではなく、

私には、ちょうどいい感じにやれてたと思います。


この噺、聴き手はカマっぽい若旦那なんだけど、

演じ手は、冒頭の町内の若衆が、江戸っ子らしい酒の肴で盛り上がる場面、

あそこが好きだ! と言うか、あそこの1つにこだわり有りって人が多いようです。

遊雀くんは「鯉のぼりじゃねぇーんだから…」のくだりが好きだそうです。

ちなみに、談志師匠は、「くろもじ」を提案する若衆の「はい!一本」のところだとか。


 

 

4.一分茶番(権助芝居)/兼好

先月末に聴いた横浜にぎわい座と全く同じ演目でしたが、

一ヶ月で、かなり良くなっていました。ドイツボケが取れたのか?

めちゃくちゃノリノリで、テンポが良くて、切れに切れてる兼好くん。

寳幢院で聴いた『猫の災難』も良かったけど、それに負けないデキでした。

調子のいい時の兼好くんは、本当に素晴らしいです。


 

 

5.船徳/遊雀

流石に、年3回聴いて、「落語ファン倶楽部」の付録CDでも聴いたので…

そう思ったのか、かなり斬新な『船徳』でした。

最初に、若旦那が親方に船頭にしてくれ!って場面で、

『初天神』のガキか?って思うくらい泣いて!泣いて!ダダを捏ねるのです。

しかも、そうやってせがまれた親方が、「若旦那!蜜の団子が欲しいんですか?」

と、クスグリを入れる辺りは、大笑いでしたけどね。

 

 

 

 

さて、今回の遊雀玉手箱、点数は80点!!

次回のゲストはだれなのか??