今回は、いつも通う三階/四階の芸能ホールではなく、地下二階にある“のげシャーレホール”にて開催された「三遊亭兼好独演会」に行ってきました。

今回でこの会は、十一回だったみたいです。もう、芸能ホールで定期にやらせりゃ、それなりに出来ると思うけどなぁー


そんな超満員の会は、こんな内容でした。


1.犬の目/兼好

ドイツ公演に7月1日~10日まで行ってた兼好くん。ウィーン/ベルリン/ボン/デュッセルドルフと廻って4都市・6公演だったそうです。

公演対象は、日本語/日本文化を学んでいる学生さん。落語を語るバックにプロジェクターで字幕を入れる方法で見せたそうです。

兼好師と、木久翁一門のひろ木くん。それに通訳兼コーディネーターのドイツ大使館職員の三人で珍道中だったそうで、

そんなドイツの土産話から『犬の目』へ。上手い入り方でね。ベルリン~ボンの移動でしくじって寝台列車に乗り損って…


野宿は、勘弁して欲しいから駅に隣接するホテルのBarのラウンジで夜明かししたのだが、

そのBarの支配人に「飲み食いし続けてくれれば、夜明かししていい」と許可を貰ったが、

しかし、居眠りしたりしたら外に叩き出すぞ!と、釘を刺されたもんだから、サァー大変。

思案した結果、まぶたに、通訳の女性の化粧道具で目を描いたそうです。

これで、万一居眠りしても大丈夫!って、ギャグをマクラで振ってから目繋がり、ドイツ語/カルテ/医者と話を進めて『犬の目』へ。


この『犬の目』が、また軽妙にギャグを分だんに盛り込んで、客席を爆笑の渦に包んで下がりました。



2.禁酒番屋/宮治

開口一番ではなく、兼好くんの後に登場したのが、芸協の桂伸治師匠の弟子の宮治くん。

まだ前座さんだけど、喋りはしっかりしている宮治くん、この日は前座噺じゃない『禁酒番屋』をやりました。

まだまだ、荒削りですが光るものがあり、独特のフラもあり、話芸は芸協とは思えない実力。

来年、3月には二つ目に昇進するそうです。これからも、応援したい若手です。

仲入り前、『一分茶番』、仲入り後、『死神』で、タップリと兼好ワールドでした。

『一分茶番』は、権助噺でもあまり掛ける咄家が居ない。吉右衛門人間国宝のマクラから『一分茶番』へ。

権助の田舎者ぶり、相手にする番頭との掛け合いが、兼好くんらしくほのぼのした微妙な笑いが広がります。



最後のトリ根多は、『死神』、これを以前はバロック音楽とのコラボで聴いてました。今回はオーソドックスな『死神』

死神が、あんまりおどろおどろしくないのですが、恐くもなくて、ここだけは、もう少しキャラ作りした方がイイ。


『死神』


最近は、志らく/喬太郎が好んでやりますね。そして「あじゃらかモンレン」の呪文でクスグリ捲ります。

兼好くんも、「あじゃらかモンレン、マイクロシーベルト、テケレッツのパッ!」とやりました。

これが、喬太郎や志らくだと「あじゃらかモンレン、マイクロシーベルト、藁から高い放射能が出ています」みたいな呪文になります。


あと兼好くんの『死神』は、サゲも特有なんですよ。主人の医者になる男が、蝋燭の火を上手く継げずに亡くなった後もつづくんですよ。

なんか不思議な感じがします。死神が次のターゲットに、主人公の妻を選ぶところで終わります。




さて、兼好独演会の点数は、89点です。