残り少ないSWAの公演なんでね、行かないわけにはいかず、平日の昼というのに、仕事をズル休みして行きました。
今回の企画は、「夢枕莫さんの本」これにSWAメンバーがコラボレーションした作品があり、
そのSWAメンバーが書いた作品を、作者と演者を入れ替えてやってみよう!みたいな会でした。
そのシャッフルが…
三遊亭白鳥作『任侠流山動物園』を柳家喬太郎が。
春風亭昇太作『自殺自演』を林家彦いちが。
仲入りを挟んで、
林家彦いち作『全身日曜日』を三遊亭白鳥が。
柳家喬太郎作『火打ち籠』を春風亭昇太が。
それぞれ演じました。
◆任侠流山動物園
白鳥くんが今でも時々、高座に掛けることがある『任侠流山動物園』を、喬太郎がどう料理するか?
一番の楽しみでした。白鳥落語を他人が演じるのは、桃月庵白酒の『メルヘンもう半分』以来です。
任侠の豚のブタ次が、人気の全くない“流山動物園”を、動物が人間の言葉を喋るのを売りに観客動員Upを狙うが…
上野動物園のパンダ親分が、チャチャを入れてくる。子分の虎を連れて流山動物園へ殴り込みを掛ける。
それをゴリラの次郎長の右腕と恐れられた、象の大政!エレファントマサイ、政五郎がパンダ一家を蹴散らしてしまう。
白鳥は、ラストシーンを廣沢寅蔵風に三味線を入れながら演じるのですが… どんな感じで喬太郎がやるのか?楽しみでした。
意外!白鳥の筋に忠実、しかも、クスグリも白鳥のを使って、オリジナルのクスグリは控え目でした。
パンダの親分が、流山動物園へ行くのはイヤだと断る場面での「パンダは、北千住より向こうへは行けないんだ!流山なんて僻地へは行けないんだ。
俺が許しても、お天道様が許さねぇー、万一、お天道様が許したとしても、黒柳徹子が許さねぇーぜ」
象の政雄くん、政五郎さんが、みんなの餌代を捻り出す為に、ハンコ21に、自分の牙を売ってくれたんだ。
喰いねぇー喰いねぇー「ササ」喰いねぇー。「あんた!支那の生まれだってね、パンダの生まれよ!」
は、そのまんまやりました。そして、最後は、浪曲口調で演じる喬太郎。
白鳥さんより百倍表現力があり、浪曲も上手な喬太郎がやると、凄く生き生きした『任侠流山動物園』になりました。
今回は、殆ど噛むこともなく、本来の喬太郎落語が楽しめた。
二番手は、林家彦いちの『全身日曜日』でした。これが一番落語らしかったかなぁ?
師弟のありそうな師匠から、弟子へのダメ出しがテーマに成っています。
師匠の小言に不満を持つ弟子が、文七元結の練習だとばかり、東橋で身投げの実地練習していて、過って落ちて死ぬ。
死んだら何故か?人気が急上昇し、追悼CDが販売されて飛ぶように売れている。
悔いが沢山ある!何とか生き返る事は叶わないのか?
復活話を神様にすると… 「四万六千日様」に10年以上通っているからマイルで生き返してやると言われます。
そして、蘇るのですが、死ぬ直前の師匠に小言を言われた、あの日に戻されて、思わず「あぁー死にたいぜ」と愚痴るのがサゲです。
昇太がやると軽ーくフラで笑わせる感じだけど、彦いちがやるとガッツりした骨太の笑いになりました。
仲入り後、彦いちの『全身日曜日』を、白鳥ワールド全開で演じる白鳥師。
アレ?どこかで見たぞ!この人形劇みたいな落語。そうだ、鶴笑師匠のパペット落語の完全なパクリだ。
でも、よく自分のものにしている!これは、今回だけじゃなく他の会でもやるだろうと思います。
トリは昇太師匠が、喬太郎作の『火打ち籠』を『火打ち石』と言う題名でやりました。
喬太郎らしい時間と空間を上手く笑いにする手の混んだ噺で、それを流石、昇太!上手く演じ切りました。
夢枕莫の「すばる寄席」という本がベースの会ですが、それぞれ演じ手の思いでアレンジされていて、良かった!
SWAの公演は、ラスト2回だそうです。次回は11月。ラストは来年3月に本多劇場なんだそうです。
さて、SWAクリエイティブエージェンシーon紀伊國屋サザンシアターの点数は88点です。