今回のゲストは、春風亭昇太師匠でした。
そして、まず、ミニ対談へ。昇太師匠が、自分の1つ前のゲスト「志の輔師匠」が、打ち上げで酔い潰れて倒れた話を振りました。
地方公演に出る度に、志の輔師匠はゴルフしてるのに、体が弱いよね。もう歳だから… みたいな話に。
そして、昇太師匠は、最近、地方公演の主催者が、昇太が城マニアであると知ったので、必ず、城巡りの観光付きで呼ばれるんだそうです。
なんだろう、コレを付けときゃ、あいつは仕事を断らないと思われている節があり、昼城巡りして夜は落語会ってパターンが増えたそうです。
本人曰く「趣味と仕事が両立できて、実に効率よく城が廻れるから助かる!」だそうです。
さて、そんな話から遊雀玉手箱、幕が開きしました。
1.蒟蒻問答/遊雀
芸協毎日落語会というイベントが、草津温泉組合のケツ持ちで開催されているらしい。
遊雀くんも、何度か行ったそうで、草津の源泉を前にして、高座が作られていて、
そこから7~8メール離れた場所に客席が桟敷に成っているんだそうです。
かなり大きな声で怒鳴らないと、客に噺は届かないし、所作もオーバーアクションで調度イイ。
疲れる割に、反応がよくなくて… と、愚痴りながら、草津に近い安中の宿に、と、上手くマクラを振って『蒟蒻問答』へ。
師匠の小遊三も、大の十八番の『蒟蒻問答』ですが、遊雀くんも師匠の良い部分、軽さ!小気味良さ!これを踏襲しています。
特に、クライマックスの問答をやる場面、和尚に元遊び人の「蒟蒻屋の主人」が化ける辺りの展開が、軽ぅーい感じで良かったです。
2.野ざらし/遊雀
今度は、マクラで多摩モノレールの話を振りました。多摩センターから立川へ、実に味のある乗物。
先頭車両には、二人掛けの運転士目線で風景が楽しめるパノラマ席があり、遊雀くんはそこに座ったらしい。
暫くして、隣座席の人が立ったので、そこに親子連れ(母親と幼稚園児の男子)の子供が座ったんだそうです。
モノレールが動き出すと、その子供が「僕、ママと座りたい!」と言うんだそうです。
遊雀くん、しばらくは、子供を無視して二つ駅くらいは、やり過ごしたんだが、
男の子「僕、ママと乗りたい!」母親「ダメです、我が儘言うんじゃありません!」の会話が気になって、後ろの母親を見ると…ものすごく美人なんだそうです。
もう、遊雀くん。さっきまで無視してたのに、コロッと掌を返すように席を立って、
「お母さん、どうぞ。お座りに成って下さい!」
「いや、いいんです。」「なんの!お構いなく」「そうですかぁー、すいません、お言葉に甘えて」と、その婦人が男の子の横に座った。
遊雀くんは、何気に、二人の後ろに立って、聞き耳を立てる訳でもなく、自然に聞こえて来る二人の会話を聞いた。
男の子「ママ、今度、パパといつ逢えるの?」
母親「…」
男の子「パパと、いつ逢えるの?」
母親「そうね、ヒロくんが良い子にしてたら、来月末に逢わせてあげるワ」
男の子「やった!僕、良い子にする」
遊雀くん、母子家庭か?それとも、単なる単身赴任?と思う。
男の子「ママは、もう結婚しないの?」
母親「…」
男の子「ママ、もう結婚しないの?」
母親「しなくはないけど…」
遊雀くん、『子別れ/子は鎹』みたいな事言ってやがる。「男は、先の亭主で懲り懲りです」か?
男の子「ママは、どんな人がいいの」
母親「優しい人、かなぁ」
男の子「優しい人、優しい人って、さっき席を譲ってくれた、オジちゃんみたいな人!」
母親「オジちゃんだなんて、この子は!、オニイちゃんって呼びなさい」
真顔で、オジちゃん、オニイちゃんを気にする母親を見て、そこかよ!と、ツッコミたくなった遊雀くんでした。
そんな妄想話をマクラで振ってから『野ざらし』へ。
これも、小遊三テイストが効いてて、軽い!小気味いい『野ざらし』でした。
骨を釣りたさに、竿を振り回して唄う場面、あそこが、もう少し軽く流れるようにできたら、完璧です。
粋な感じは、小三治風でもあるから、もう少し無駄を削いで、唄うを完璧に流れる感じにできたら良いと思います。
3.オヤジの王国/昇太
マクラでは、珍しく毒を吐く昇太でした。なんか、桃月庵白酒が乗り移った感じでした。
まず、楽屋は動物園みたいに、変な動物の宝庫。この人、何考えて生きているんだろう?
この人、落語家って職業がなければ、絶対に犯罪者だろう?
この人、こんな変なこの人を好きになり、結婚までした奥さんは、どんだけバカなんだろ?
そんな事を思う今日この頃なんだそうです、昇太師匠51歳独身です。
次に、「なでしこジャパン」の話題へ。
生まれも育ちも、静岡県清水の昇太師匠。
小さい頃から周りはサッカー一色の土地柄。
女の子のサッカーは、珍しくないが、自分が生きているうちに、ワールドカップ・サッカーで、日本が優勝するなんて夢にも思わなかったと力説する昇太師。
それなのに、女性特有のチームワークでとか、日本女性の忍耐強さと努力がとか、
解説者は、バカ野郎ばっかで… 女とか男とか言ってる事自体、次元が低くて、薄っぺらい奴らですよ。
アジア初なんですよ、ノーベル賞を取るよりも難しい事を、日本人がやったんですよ。
それを、フジテレビは、突然放送始めて、昔から“なでしこ”の見方です!みたいな顔をしやがって、
日テレならまだ分かります、女子サッカーチームのオーナーですからね。フジテレビは何にもしてません。
なのに、朝からズラの小倉さんが「みんな、よくやった!」ってお前は、友達か!!そう思いませんか?
こんな事、落語会のマクラでは言いますが、笑点では、絶対に言いません。だって、大人の対応を知っているんだもん!
最後に、NHK朝の連ドラ「おひさま」を見ているって話をして、本題の『オヤジの王国』へ。
郊外に家を買い、1時間半掛けて通勤しているサラリーマンのお父さんが主人公。
妻にも、娘にも相手にされないお父さんたちが、自分達の楽園/王国を地下に造るって話。
一番笑ったのは、お父さんが残業して疲れて帰ると、冷めた作り置きの夕飯が。
そのオカズを見て、「何んなんだコレ」と、奥さんにきくと奥さんの答えが凄かった!
「豆腐とシラタキを、ネギを入れて甘辛く煮たものよ」
反論するお父さん「違うだろう!どう見ても、肉を食べ終わった“すき焼き”じゃねーか?!」
ここは、笑えました。
4.らくだ/遊雀
かなり期待ハズレでした。らしさがなく、淡々と進む『らくだ』
素読みにして語っても、そこそこ笑える、筋がしっかり噺だから、演出は咄家の腕のみせどころなんだけど…
全体的に個性が弱い感じ。特徴がこんなにないのは、近年の『らくだ』じゃ珍しい。
あれかなぁー小遊三師匠はやらないネタだし、先の師匠/権太楼で覚えた『らくだ』だろうからね。
まさか、権太楼の『らくだ』をやるわけにもいかないから、これから苦労して、仕上げるのかなぁ?
今回は、はじめの一歩って感じでした。
さて、今回の遊雀玉手箱の点数は、88点です。