久しぶりの“かもめ亭”でした。談春がゲストなので当然大盛況!!
そんな、かもめ亭「講談を聴く会」のメニューは、こんな感じでした。
1.三方ヶ原軍記/立川こはる
志らくの弟子の前座さん達も、この『三方ヶ原軍記』を、
真打トライアルの前座で、“二つ目トライアル”としてやったそうですが、
こはる&談春も、それを意識しての企画かのか?主催者の計らいなのか?
こはるも、『三方ヶ原軍記』の修羅場読みに挑戦しました。
とりあえず、暗記はできていたのですが…
リズムとテンポが、全く講談になっていません。ただの早口でした。
だから、どういう事になるか? そうです!拍手が湧かないのです。
講談調のリズムで、息継ぎするタイミングで間があれば、
それなりに拍手は起きますよねぇー あんな長い修羅場を暗記して喋るのだから。
ところが、変なところで息継ぎして、間髪居れずに続けるから、
客は聴いていて、本当にイライラしてしまいます。
そんな事を感じていたら、楽屋から私服の談春師匠登場!!
間髪居れずに、その事を指摘して、ダメ出しが始まりました。
さらに、ここからが凄いのですが、公開稽古に発展したのです。
談春がやって見せて、それを口移しでこはるが喋るパターンです。
「女の子のキンキン声のまんまでいいから、息が続くまで、このリズムでやってみろ!」
そんな激が飛んで、「ハイ!」と言いながらこはるが喋る。また、直されて喋る。
そして、12分くらいで稽古終了、「皆さんすいませんねぇー、こんなの聞かせて」
と言いながら、楽屋でやられるはずの稽古を、高座でみることができました。
2.木村長門守重成 ~ 堪忍袋 ~/日向ひまわり
ひまわりさんの講談を聴くのって、3年ぶりです。
2008年の真打披露の時はよく聴いたんですよ。
神田ひまわりから、日向ひまわりに成った時にね。
さて、今回の演目は、宝井琴柳先生に稽古つけてもらった根多ですね。
私は、室井琴調先生でも聴いたことがあって、演出ぐあいがそっくりでした。
アニメの声優をめざして、東京アナウンス学院で下地ができているので、
女性講談師にありがちな、聴いていて疲れるトーンが彼女にはありません。
妙に力んで高音を続けないのと、必要以上にアップテンポにならないからでしょうねぇー
じっくり聴かせる部分と、立て板に水で走る部分の使い分けが上手です。
3.ガマの油/立川談春
アナザーワールドで『高田の馬場』を練習した成果というか副産物というか、
この『ガマの油』を、今回は披露しました。本編に入る前のマクラでは、
前座時代に、談志師匠のところに、ガマの油売りの口上をやる芸人が出入りしていて、
その芸人さんがデパートでガマの油売りをやる際に、談春や志らくは桜をやらされたそうです。
また、志の輔師匠は、このガマの油売りの前に、南京玉簾をやっていたとか。
本編でも、四六のガマを説明する部分のクスグリで、
酔った芸人が、「四六のガマ」を「志らくのガマ」と言う。
つまり、「四六・五六のガマの違いは…」というところを、
酔って「志らく、花緑のガマの違いは…」とやるもんだから客はドッ!と受ける。
そして、真っ暗な部屋に篭って、
ブツブツ陰気なことをつぶやいているのが志らくのガマ。
一方、天真爛漫、明るい光の下で、
綺麗な水晶の玉を大事そうに磨いているのが花緑のガマ。
と言うから、更に、ドカン!と受けました。
4.天明白波伝~おとき三次~/神田阿久鯉
阿久鯉さんのこの天明白波伝シリーズは全部で10作品ありまして、
なかなか壮大な泥棒話なんですよねぇー
私は、これで3作品目になるのですが、すぐに忘れてしまう。
というのも、似てるんですよ、どれもこれも悪党でね。
盗んでは殺し、殺しては盗む、愛欲と憎悪の渦みたいな作品です。
阿久鯉さんの声は、講談師らしい絞り出すようなシワ枯れ声です。
講談に慣れている人は、好みの声ですが、一般には受けないのだろう。
ちょうど、一年ぶりくらいに聴きました。
かもめ亭「講談を聴く会」の点数は、80点です!
談春が、講談根多の落語をやるか?!と期待した分、
やや肩透かしに遭ったけど、こはるの公開稽古が面白かったです
。