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昨年夏から始まった三遊亭白鳥と桃月庵白酒の二人会。

毎回、お客様にお題が出て、それをクリアすると五百円キャッシュバック!!

最初のお題は、白いTシャツで入場すると五百円キャッシュバック!!

二回目のお題は、白いマスクで入場すると五百円キャッシュバック!!


そして、今回は、葉書サイズの似顔絵を描いて持参して、

入場すると五百円キャッシュバック!!


今回は、前二回に比べるとキャッシュバック率は低かったと思うけど、

それでも百枚近い似顔絵が集まって、仲入りに審査を行って、

「北沢タウンホール賞」「三遊亭白鳥賞」「桃月庵白酒賞」

それと、なぜかお囃子のエリちゃんの「恩田えり賞」が選ばれました。


北沢タウンホール賞は、次回Wホワイトの会のチケットが、

白鳥賞と白酒賞は、それぞれの手ぬぐいが、

そして、恩田えり賞は、エリちゃんが描いた似顔絵が貰える特典付き。

まぁ、エリちゃんの似顔絵は、有り難迷惑か?レアな魅力はありそうですけどね。


さて、そんな第三回Wホワイトの会は、こんな内容でした。

 

 


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0.オープニングトーク

この会の前日も白鳥・白酒で、名古屋で一緒の仕事だったそうです。

それは二人会ではなく、アートピアホールでの「とっておき四人会」

さん喬師匠、権太楼師匠と一緒の会だったらしく、楽屋の空気が重かったそうです。

いきなり、権太楼師匠が「俺たちは平等だ!」とか言い出して、

出番と時間割りが「白酒20分、権太楼40分、お仲入り、白鳥20分、さん喬40分」

こうだったのに、時間を全員30分ずつでやろう!と提案したそうです。


・桃月庵白酒 … 「転宅」

・柳家権太楼 … 「笠碁」

仲入り

・三遊亭白鳥 … 「ギンギラボーイ」

・柳家さん喬 … 「妾馬」


という根多の結果をみると、権太楼師匠の提案はボツだったのか?

白鳥曰く「待遇とギャラが平等じゃないのに、時間だけ平等って言われても…」


 

 

1.大山椒魚の恩返し/白鳥

この噺は、バリエーションがあり、伝説の『パンダの恩返し』の焼き直しです。

まぁーふざけた噺です。東武動物公園生まれのペンギンが、

オオサンショウウオの娘を、動物キャバクラでナンパ!!

もう、この時点でかなり突っ込みどころ満載です。


そして、オオサンショウウオの娘がペンギンの特徴をたよりに探し歩き、

なぜか、ペンギン顔の炭焼の権平さんのところに辿り着く。

更に翌日、ペンギンも権平さんを訪ねて来て、二人の関係が分かるのだ。


で、オチが、オオサンショウウオなだけに、喧嘩両生類です!!

こんな落語を二つ目時代は、もっとエキセントリックに演じていたので、

鈴本の社長から出入り留を喰らうのも、理解できます。

 

 

 


2.幾代餅/白酒

今年二月に根多卸しした『幾代餅』、これで三回聴きました。

根多卸しが二月、二回目がにぎわい座で四月、そして、今回。

ちょうど、二ヶ月おきに三回聴いて思ったのは、1点。


幾代太夫に、清蔵が告白する場面!ここが盛り上がらないのです。

ここで、泣かせるとまでは言わないが、ホロりとか、グッとかさせないと。

志ん朝の東横落語会での録音と比べても、この1点だけが不満です。

最初、清蔵は、興奮ぎみに早口で思いを伝える、幾代太夫はこれをゆっくり受ける。

それが、二人の思いが重なる場面で、互いのテンポ・リズムが重なる。

そんな演出が、イマイチできておりません。

余談ですが、そういうの、談春は上手い!とつくづく思います。


出囃子を“一丁入り”で高座に上がって、『幾代餅』をやるのなら、

ここですね。ここさえできれば、古今亭の『幾代餅』です。

 

 


3.お化け長屋/白酒

毎年、白酒くんの『お化け長屋』は聴いています。上手いです。

これは、本当にメリハリが付いていて、笑いのツボを突いてきます。

特に、後半の職人風の江戸っ子が、全く幽霊を恐がらないのに、

杢兵衛さんが、恐がらせて追い返すのに、難儀する場面!

あそこは、本当に上手い!と思いますよ。あそこに流れる感じがあるのは、

本当に、小三治と白酒くらいかもしれません。これは、三三も脱帽でしょう。


最後に、この『幾代餅』と『お化け長屋』のマクラで、

これでもか?!と、女性咄家批判と受け取れるくらい、

「あいつらは、俺をバカにしている!」と、力説していました。


ある寄席の楽屋で、主任の圓太郎師匠に、

「白酒くん、君、本名はなんていうの?」と聞かれて、

「はい、愛甲です」と応えると、女性のタテ前座Pと、

その妹分のSが同時に、プッ!と言う蔑み笑いを漏らしたそうです。

蔑み笑いと聞くと『百年目』の番頭さんの説教みたいだと思いました。

 

 

 


4.砂漠のバーの止まり木/白鳥

この噺の存在は知っていましたが、まだ聴いた事がありませんでした。

白鳥ワールド全開!! 奇想天外、白鳥にしか思い付かない噺です。


大学の親指人形劇サークルに所属する男子の先輩&後輩が主人公で、

先輩の方が、サークルのマドンナに告白して振られる。

その振られた場所が池袋の居酒屋「清龍」で、マドンナにホッケを投げつけられる。

この振られた先輩は、なぜかこのホッケを後生大事に取っておく。


そして、失恋の痛みを癒す為に、この先輩は中国シルクロードの名所「タクラマカン砂漠」へ出かける。

ここで、一人旅は淋しいので、後輩も連れて行くのだが、後輩を京成電車に乗せて、

睡眠薬入りジュースで眠らせ、成田から旅行バックに詰めて出国されるのです。


二人は、タクラマカン砂漠を横断しようと、オアシスを目指して歩く途中、定食屋を発見します。

中に入り、刺身定食とカツ丼を注文する二人!サービスの水で喉を潤して生き返り食欲も全開。

ここで、白鳥の所作が笑います。刺身を作るのに魚をさばく動作を扇子と手ぬぐいで見せ、

また、カツ丼用のトンカツを揚げる時にも、カツを煮て卵でとじる作業までやって見せるのです。

この才能は、大したもんです。ここまでやって見せる咄家は少ないですよ。

喋りは、カミカミですが、所作で挽回です。


やがて、お腹が満たされると、一杯やりたいと思う二人に、

定食屋の主人が、ここの地下に、バー・止まり木という店があると聞きます。

ヨシ行ってみようという事になり、二人は止まり木のカクテルに酔いしれ、

そんな終わった恋を引き摺っていてはダメだと言っていると、

この話を聞いていたバーテンダー、その恋、終わってないかもしれませんよ?

貴方、ホッケの魚言葉を知っていますか?と聞き返すのです。


もうこの辺りになると、白鳥ワールド全開。


ホッケの魚言葉は、「秘められた恋」なんです

とか言って、喜ぶ二人は、オアシス目指して歩き帰国へ。

そして、そのホッケが砂漠に置き去りにされて三百年後。

タクラマカン砂漠の調査隊が入り、そのホッケの化石を見つけて、

「ここは、昔海だった証拠だ!」なんて学説を発表する事に繋がったとさ。

おしまい。みたいな展開の噺です。


マクラでは、売れない二つ目時代に、

タクラマカン砂漠に行った話を振り、

調査隊が、魚の化石を見つけたことも振ってのこのオチです。

そうそう、このトリの高座に上がる出囃子が、

いつもの“白鳥の湖”ではなく、六代目圓生の「正札付」でした。

一応、白鳥くんも、三遊亭圓生の直系ではあります。

 

 

 

さて、第三回Wホワイトの会の点数は、85点です。

今回は、白鳥くんの方が良かった会ですね。

次回は、9月に開催されるとか。だんだんサイクルが短くなってますね。

それだけ人気なんだろうなぁ、この会。