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必ず毎年行くホールです、麻生ホール。

新百合ヶ丘駅の淋しい方に位置して、区役所に隣接しております。

なかなか時代の付いたホールでして、TVで歌番組全盛時代にできています。

だから、公開放送などで歌番組に向いた構造をしています。


 


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今回は、真ン中よりやや後ろの席で、小三治師匠の表情が見えなかったのは残念ですが、

音響的には申し分なく、客も非常に上品で、良かったと思います。

まぁねぇ、小三治ファンなので、高齢ではありましたけどね。


さて、そんな麻生ホールでの演目は、こんな感じです。

 

 


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1.悋気の独楽/〆治


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〆治師匠を、前回荒川では聞き逃したけど、今回はバッチリ聴いた。

相変わらず通りが良く、滑舌のハッキリしたいい声です。

小三治一門会か寄席くらいでしか聴かない師匠ですが、

定吉を可愛らしく演じる、『悋気の独楽』でした。


 

2.百川/小三治

 


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マクラで少年時代の話を始めた小三治師匠。

近所に鎮守の森があって、お祭に神輿を担ぐと、

その休憩時間に、それはそれは美味しい“柿”が出たと言う。


この“柿”


これは、禅師丸柿という名の柿で、昔は東京にも沢山在った。

それは、このホールのある新百合ヶ丘の隣駅「柿生」がルーツなんです。

 


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つまり、柿生という地名にあらわれている柿はこの禅寺丸柿である。

一般的な柿である、富有柿(次郎柿など)とは違い、全体に小粒で丸く、甘味も淡い。

小三治曰く、この淡さが、上品でいいんですよねぇー

画像の柿の隣の、黒っぽいものは普通のクリです、これで大きさを想像下さい。


柿生のあちこちの民家の庭先、路傍にこの柿の木があり、

禅寺丸柿がたわわに実っている。昔は、いまよりもっとだろう。


柿生ふる柿生の里 名のみかは禅寺丸柿

山柿の赤きを見れば まつぶさに秋はたけたり

By北原白秋


20くらいこの禅寺丸柿の話を熱心に展開する小三治師匠。

最後に、この柿を食べたのは、ずいぶん昔。

近所にこの柿を庭に植えていた松井さんという友人からお裾分けだったそうで、

ところが、この人と疎遠になったころ、柿木は切られて跡地にアパートが建った。

「はぁはぁー これは禅寺丸柿が食べたいんだなぁー」と思いました。


そんなマクラの後、本題『百川』のマクラを始める小三治師匠。

昔、江戸の頃、江戸の三大祭とは・・・

そして、四神旗、四神剣の話に移るのですが、脱線するする!!


朱雀の“雀”って書く鳥、あれは、スズメじゃないですからねぇー

勿論、鶏でもない!なんだと思いますか?あれはねぇー

貰ったことないと思いますが、賞状!! 賞状の淵に書かれた鳥、アレなんです!!


また、玄武が間抜けでねぇー 亀に蛇がトグロ巻いているの。

亀は、まだ、亀って言われたら亀なんだけど、

蛇はねぇー どう見ても、うんこがソフトクリームみたいに巻いてる感じなんですよ。

かだから間抜けでねぇー


更に、百川の説明、浮世小路という場所について、そして、ペリー一行の接待に使われた話。

そして、小三治師匠自身は、まったく歴史に興味がなく、疎いという話。

しかし、小遊三ごときが、偉そうに幕末の歴史について語るのを聞いて、

これではいかん!と思って少し、ほんの少し勉強したけど…


卑弥呼が、何処で君臨してたか?なんて興味ないんですよ。

邪馬台国なんて、どこにあろうと、おれの芸には影響ないの!!

と、歴史嫌い、特に年号を覚えるのが苦手だと力説する師匠。


最後に、唯一しっている年号は、「1868」の明治維新だけ。


俺は、イヤロッパ(ヨーロッパ)=1868の列強に追い付け!日本の夜明け明治維新と思えました。

ところが、師匠は、中学校の社会の先生に、この年号の覚え方として、

自分の家のエリアの局番を付けて、1868って電話を掛けてみろ!

そしたら、絶対に忘れないぞ!と言われ、なるほどと実行したら…


ハイ!○○葬儀店です。


あのインパクトは、本当に強烈だったから、「1868」の明治維新は忘れない!

そんな合計40分を超えるマクラを振って、『百川』へ

 

ついつい最近、談春の『百川』を聴いたばりでした。

「あっ!また百川」と、一瞬思ったのですが、趣が違いました。

小三治師匠の方が、非常に余裕があり臨機応変なのです。


去年は、神奈川県民ホールで、その前はブロッサムで聴きました。

そのどちらとも、ちょっと違うんですよねぇー 客に合わせるんですね。

間合いのずらし方、用いるギャグ・クスグリの種類を変えて、

より笑うところは、爆発させて、聴き入るところは静かに演じます。

 

名人芸です。

 

 

 

 

 

3.長短/小三治

 


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小三治師匠の『長短』って、もしかしたら初めてかも?です。

談志師匠、五代目・小さん師匠のは聴いたことがあるのですが、

小三治師匠のこの話をやるの、記憶にありません。


談志師匠は、よく、オヤジさん(小さん師匠)のは、よく観察すると、

気が長げぇーんじゃなくて、ただ、動きがスローモーションなんだよ、と言います。

確かに、ゆっくり喋って動きが鈍いだけで、気が長いって感じじゃない。

そして、それと同じように演じる若手が、今はこの噺の主流です。


そこが違う、小三治師匠の『長短』 確かに気が長いもん長さんの方は。

短気の短七は、みんなそつなく演じれるけど、気の長さを長さんで出すの難しい。

割とイイのが志らくの『長短』ですかねぇー 談春のもまずまず気の長さが出ている。


短い単純な噺ですが、奥深く難しい根多です。

 

 

 

 

 

さて、柳家小三治独演会の点数は、95点です。

かなり、震災のショックが癒えて、小三治節復活ですね。

次回、小三治師匠を聴く予定は、7月8日の横浜にぎわ
い座です。