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今回も超満員、そして相変わらず業界人が前のほうに…

しかもしかも、今回の開口一番は、一之輔!!

一粒で二度美味しい会になりました。

 


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1.粗忽の釘/春風亭一之輔

来月からでしたか?立川こしらと成城で二人会が始まる一之輔です。


“春風亭”という亭号は、と、まずは柳朝一門のなりわいから。

一之輔曰く「肩身が狭い」そうです。まず、林家なのに・・・

稲荷町の師匠が、元は三遊亭なので、柳家の本流ではない。

しかも、柳朝師匠は、芸協の春風亭から頂いた名前を名乗っていた。

そんな自分探しをしている一之輔です!と喋り、『粗忽の釘』へ。


こいう噺、本当に上手いし、合っています。場内大爆笑でした。

特に、打ち込んだ釘の行方を確認しに、隣の家に粗忽な旦那が行く場面!

本当に、腹がよじれるくらいに大爆笑でした。


小三治会長!! 真打にしてやってください。


 

 

2.嶋鵆沖白浪 その3/柳家三三

マクラで、スーパークールビズなのに、寄席の日に団扇を配らないと決めた、

落語協会は、せこい!と協会批判とまでは言わないけど、愚痴を言ってました。

そして、前回までのあらすじを3分ほど喋って、今回のストーリーへ


佐原/房総に居られなくなった喜三郎は、兄弟分の倉田屋文吉のよしみでもある、

金太郎親分のところへ草鞋をぬぐ。追われる身の彼はじっと外出を控えていたが、

三社祭の時に、金太郎の手下を二人連れて久しぶりに外出をする。

祭りで賑わう浅草・仲見世を歩く喜三郎に、ドスン!と体当たりして、

紙入れを掏ろうとした子供がある。そのスリの手を捕まえて、

「どういう了見だ!紙入れを放しなぁ!」と、言うと、その小僧、

「おみそれしやした、親分さん。観念しやす」と神妙に成る。


えらい度胸の据わった野郎だと感心する喜三郎だが、それもそのはず。

この小僧こそ、両国一体を縄張りに、30人からの子分を束ねる、三日月小僧の庄吉だった。


ヒョンな事で知り合った二人、喜三郎と三日月小僧は親子の盃を交わすのだが、

三日月小僧が実の親と、子分に別れを告げに戻った際に待ち方に御用となり、

佃島の人足寄せ場送りとなってしまう。


三日月小僧、このまま寄せ場でくすぶっているのも、親分に済まないと、

強い雨風と夜陰紛れて、ここを逃げるのだが、逃走の途中火盗改メに発見され再び御用とまる。

そして、三日月小僧の庄吉は、遠く八丈は、三宅島送りとなってしまうのでした。

ちなみに、前回お寅の財布を掏ったのは、この庄吉でした。

 

 

 

3.嶋鵆沖白浪 その4/柳家三三

喜三郎を中心に展開していた噺は、がらりと変わって、舞台は湯島の切通坂にある根生院。


二晩おきに 夜の一時頃に 切通の坂を上りしも―

勤めなればかな


と、かの石川啄木が歌った湯島の切通坂です。

ここに在る孟宗竹の林で有名なお寺・根生院。

そこに禅念という50を過ぎた和尚が居た。

この和尚が、それはそれは、生臭!!


毎晩のように近所の料理屋「桜や」へ飲みに出る。

お目当ては、桜やの小町・おはなボウ。

18のおはなをはべらせて、毎夜毎夜のご乱行。


しかも、桜やの主人が変わった男で自分の娘を、

ハイハイと、この禅念に差し出す。差し出すどころか、

和尚が店に来ると目立つので、おはなをお忍びで、

お寺の方にと、提案する始末。

 

そんなある夜


切通坂を、近所の旗本屋敷の博打に負けた、

渡世人・手塚の太吉がトボトボと歩いている。

そこに、黒ちりめんの着物に羽織を着て、

顔が見えないように御高祖頭巾を被ったおはなが通る。


アレ?何か在るぞと、悪人らしく勘が働く太吉。

この手塚の太吉って、名前を聞いて、思わず、

新潟が生んだ奇才、フライフィッシャーの手塚太一を連想しました。


そんな事はどうでも良いのですが、おはなを付けて、

根生院に忍び込んだ太吉は、禅念とおはなが懇ろになるのを待って、

「やい坊主!なんて了見してやがる」と、脅しに掛かった。


しどろもどろで、太吉に禅念が怯えていると、

廊下の障子が開いて、30半ばの一人の僧が入って来た。

「おう!弦雀 なにをしておるお前・・・」と更に驚く和尚を制して、

「私が、間に入り交渉させて頂きます」と、上手くその場を仕切ってしまった。


ただし、この弦雀、和尚の禅念に負けず劣らずの生臭、

更に、根性が腐った小悪党なのです。

交渉人のふりをしながら、和尚が出した口止料をピンハネして、

太吉に割り前を渡すのである。しかも、2回に1回は全部懐に入れる。


そんな悪事を3月近くも続け、いよいよ石塚の太吉が邪魔になる。

そして、暮れの寒い晩に、ネギマ鍋で酒を飲ませて眠り込んだ太吉を絞め殺す。

しかも、太吉の死骸を芋俵に入れて、これに孟宗竹で作った天秤棒を通して、

なんと!和尚の禅念を後棒に使って、不忍池まで捨てに行く算段をするのです。


しかし!


悪事は露見します。捨てに行く途中、広小路で起きた火事が原因で、

逃げて来た人や野次馬で、切通坂がごった返してしまうのです。

人に揉まれて、二人は芋俵をその場に捨てて行ってしまうのですが、

この時代、珍しい孟宗竹の竹が元で、悪事が露見!二人共御用に。


ただ、ここからが弦雀の悪運の強いところで、投獄されて間もなく、

あまりのショックで、禅念が死に、此れ幸と罪を全部擦り付けるのです。

それで死罪は免れた弦雀は、遠く八丈は、三宅島送りとなってしまうのでした。

 


 

さて、今回の三三くん。前にもまして鬼気迫る場面が冴えました。

ちょっと、ほのぼのするところと、ト書き的に解説するところ、

これを上手く挟んで、盛り上げる三三流のテクニックが光ました。

次回、第三回が非常に楽しみです。 95点はやれるデキでした。