長年、188人収容の内幸町ホールで開催されておりました「白酒ひとり」
今回から場所を300人キャパの国立演芸場に移して開催されました。
客層も、コアな白酒ファンだけでなく、一般の落語ファンも半分くらい居て、
これまでと違って、やや華やいだ感じでした。
そうそう、このところの落語会は、震災の影響で省エネモードで開催されていますが、
照明が暗いのは、全く問題だとは思わないのですが、空調の効きが悪い!!
この日の国立演芸場も超~高温で汗が湧き出るコンディション!!
隣の席の女性(かなりお年を召しておりました)は、下着姿で聴いてました。
幸、若くなかったので、目のやり場には困らなかったけど…
国立演芸場の周りは、本当に食事や一杯やるのに困る。
前は、内幸町ホールだったから、最寄り駅が新橋。
こちらは、あまりに多すぎで、選ぶのに困っていたが、
国立は永田町なので… 毎度毎度の「開華亭」でラーメンに。
この日は、天津麺にしました。できれば、アンカケが良かったけど…
1.金明竹/林家扇
この会ではお馴染みの木久扇師匠の弟子の“扇/せん”ちゃんです。
女性の咄家さんです。比較的美形です。ファン倶楽部も存在するようです。
落語は、全く落語になっておりません。以前は前説だけだったのを、
今回から、開口一番で落語をやらせてもらっていますが・・・
前説も酷かったけど、この落語は輪を掛けて酷い!!
「10円返せ!」って言われるデキでした。
『金明竹』は、彼女には難し過ぎます。
わてナ、加賀屋佐吉から参じました。
先度、仲買いの弥市が取り次ぎました道具七品のうち、
祐乗/光乗/宗乗三作の三所物。
ならびに備前長船の則光、
四分一ごしらえ横谷宗ミン小柄付きの脇差ナ、
あの柄前は旦那はんが古たがやと言やはったが、
あれ埋れ木やそうで、木ぃ~が違うておりますさかいにナ、
念のため、ちょっとお断り申します。
次はのんこの茶碗、黄檗山金明竹ずんどの花活、
古池や蛙とびこむ水の音と申します・・・
ありゃ、風羅坊正筆の掛け物、
沢庵木庵隠元禅師張りまぜの小屏風、
あの屏風はなァもし、わての旦那の檀那寺が兵庫におましてナ、ヘイ、
その兵庫の坊主の好みます屏風じゃによって、
表具にやり、兵庫の坊主の屏風になりますとナ、
かよう、お言伝え願いまぁ。
この言立てがまるでダメなのです。意味が理解できてないのでしょうなぁ。
ただ、覚えようとしています。それでは、笑いになりません。
上のように3つに分けたパートを加速させながら早口で捲くし立てるのが、
この噺の面白いところなのに、常に一本調子。まだまだ、これからです。
2.万病円/白酒
この噺は長さを調節しながら、便利に演じられる根多です。
全部を、正直にやると30分以上掛かると思います。
江戸時代、武士がいかに横暴だったかを表現する作品ですね。
まず、風呂屋に行って下着の洗濯をする!
しかも、湯代に慶長の大判を出して釣りに困る主人をからう。
次に、居酒屋で、何がある!と大将に聞くと、
「マグロ、カツオ、鰺に、タコ、それから蟹、のようなもんですね今日は」
「じゃ、その『ようなもの』をくれ」と言って困らせる。
代金も、三品取って、酒代と合わせてたった八文。
(白酒くんは飛ばしてやらず)
三軒目は、菓子屋にて、小僧をつかまえて、
饅頭の蒸籠の上で、風呂屋で選択した下帯を干させろと無理難題。
ここでは、饅頭がどれを取ってもみんな四文と言う小僧の揚げ足を取って、
4個食べたのに、四文しか払わずに立ち去る。
四軒目は、古着屋にて、袷の綿入れの値段を聞くと、
掛け値なしの三両二分。
これを一分一朱に負けさせようとしたが、失敗。
談志師匠は、侍が「糞を喰らって西へ飛べ!」と捨てゼリフを吐く。
(白酒くんは、ここも飛ばしてやらず)
五軒目は、紙屋にて、例によって
「疫病神はあるが、疱瘡神はどうだ」
と攻撃をしかけ、「風の神は」と聞くと
「ございます」
扇を出され、
「開かねば扇も風の蕾(つぼみ)かな」
という句で切り返される。
ここが白酒は少し違っていて、福の神をと言われた紙屋の主人が、
普通の半紙を出して、侍が「なぜ、これが福の神だ!」と怒ると、
主人が「便所に持って行けば、拭くの紙です」と嗜める。
最後がに侍が立ち寄るのが、薬屋さん。
万病の薬と張り紙があるので、
「病の数は四百四病と心得るが、万病とは大変に増えているな」
「子供の百日咳を入れると五百四病で」
「そろばんを貸せ。五百四病だな」
「殿方の病で疝気(せんき)を入れると千五百四病」
「なるほど」
「ご婦人の産前産後もあれば、脚気肥満もあります」
白酒くんは、「臆(億)病」「腸(兆)ねん転」など、万を超える病でサゲました。
尚、この日のマクラは、国立演芸場で先ごろ行われた「演芸祭」の噺。
小三治会長が、口上を渋って渋って・・・ 市馬副会長は立場上歌を封印して、
なんとも、余所行き気分でいっぱいの「演芸祭」だったらしい。
2.お化け長屋/白酒
十八番中の十八番の『お化け長屋』
毎年夏に、彼の『お化け長屋』を聴いていますが、
聴く度に、ドタバタ度合いのスピードが増す感じで、
本当に楽しめる根多の一つです。
荒川で聴いた小三治師匠の『お化け長屋』とは、
また、味わいが違って、良かったです。
3.甲腐い/白酒
確かに、志ん朝もやっていた根多ではありますが、珍しいです。
私は、白酒くんで、この噺を聴いたのは、勿論、初めてでした。
予想以上に、笑い/妙なクスグリを控えて、『甲腐い』をやり切りました。
泣かせるまでは行かないけど、じーんとさせるいい〆の一席でした。
さて、白酒ひとりの点数は、92点!!
次回は、9月13日でーーーーす!
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