甚語楼が二つ目に上がって間もなく始めたこの勉強会。

もう14年目に突入なんだそうで、最初は10人くらいしか集まらなかったそうです。

それがねぇー アッと言う間に、1週間くらいで100人は集まる会になりました。

私も、全席自由なので、自分のホームポジションを確保すべく、

18:00会場なのに、16:40頃日本橋亭前に行きました。

すると、既に熱心なファンが、10人くらい並んでいました。

多分、先頭は昼には並ぶのでしょう。恐ろしく速い出足です。


そしてこの日も、事情を知らない人が並んでましてね。

予約しないと当日では入場は無理なのに。

で、1時間半並んで、受付で「当日券はありません!」と言われて、

驚きの表情を見せて、シュンとした表情に変わり、帰って行きました。

「当日券ありません!」の貼り紙くらいしろよと思いました。


 

そんな白酒&甚語楼の会、こんな内容でした。


 

・狸札/柳家おじさん


・のめる/柳家甚語楼


・つるつる/桃月庵白酒


 

仲入り


 

・臆病源兵衛/桃月庵白酒


・品川心中/柳家甚語楼

 

 

 

1.狸札/柳家おじさん


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初めて聴きました。噂の34歳で権太楼師匠に入門した前座さん。

百栄くんが、同じくらいの年齢で入門して真打に成ったもんだから、

二匹目のどぜうのつもりで咄家に成ったのか?????


声が甲高いおじさんでした。噺のリズムや間は落語に成っています。

しかし、高い声が耳触りでねぇー 声の出し方を工夫して欲しいね。

前座三年目にしては、気の利かないおじさんです。


なんと!甚語楼が一席目下りて、白酒が上がる前に座布団返さないんですよね。

白酒くんがムッとしながら、自分で座布団を返して上がりました。

そいうところをちゃんとして欲しいですよねぇー おじさん。


 

 

2.のめる/柳家甚語楼


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聴いていそうで、あんまり聴かない根多です『のめる』

「あぁ、つまらない」が口癖の留さんと、「よっし!飲める」が口癖の八っさんが、

互いの口癖を二度と言わないと誓い合って、ついては誓い合うだけじゃつまらないので、

互いの前で、「つまらねぇー」「飲める!」と言うと、50銭の罰金を取ると約束を交わす。


それで、そそっかしい八っさんの方が、ご隠居の知恵まで借りているのに、

今ひとつ詰めが甘く、逆に、留さんの引っ掛けに乗って先に「飲める」と言ってしまう。

再度、ご隠居の知恵で、詰まらない詰め将棋を、将棋好きの留さんに見せて、

詰め将棋に夢中にさせておいて、この詰め将棋の出所を、

町内の嘘つきオヤジで有名な床屋の主だと言うと、

「なぁーんだ、そんじゃ詰まらないやぁ」

と、言うに違いないと、策を授かる八五郎。


風呂に誘いに来る留公を、ニセ詰め将棋で待ち受けて、

まんまと、「なぁーんだ、そんじゃ詰まらないやぁ」と言わせた八五郎だったが、

「まんまとやられた、感心したんで、50銭じゃなく1円やる」と言われたもんで、

思わず「飲める!」と言ってしまって、1円の罰金が半額になるというオチ。


これまで、三三師匠と文左衛門師匠の『のめる』を聴いておりますが、

この両者とは、やや赴きが異なる甚語楼師匠の『のめる』です。

三三/文左衛門のより、甚語楼さんの『のめる』は、笑いどころが多いんですよねぇー

二人のは、八五郎と留さんの間に、決定的な差があり、

八公の方が、おっちょこちょいで、留さんの方は我慢強く頑固キャラです。

甚語楼師のも、そいう差はあるものの、二人程決定的じゃない。

だから、二人のやり取りに緊張感があるんですよねぇー


尚、この噺のマクラでは、大盛況だった権太楼師匠がトリを勤めた五月上席の話題から、

咄家の楽屋入り色々、絶対に遅れないけど、出番直前に入るさん喬師匠、

無駄に早く来て、前座を凍らせる五代目・小さん師匠(8時の出番なのに4時半入りしたりする)

最近は、そんな事無くなったけど、いつもハラハラドキドキさせる小三治師匠(会長になり遅刻ナシらしい)

そして、来なくて当たり前、逆に時間に来ると周囲が緊張する談志師匠。


そんな楽屋入りの癖話から『のめる』へと入る辺りも憎い演出です。


 

3.つるつる/桃月庵白酒


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この噺は、黒門町の十八番ですが、最近、まず聴かない話です。

小満師匠はやっているのか?今の文楽(小益)には、絶対無理でしょう。

あの幇間の軽いヨイショ尽くしみたいな部分を演じさせると本当に上手い白酒師匠です。

酔っ払い/幇間/初心な男、これを演じさせたら白酒くんの右に出る者はない。

今年は、人情噺に挑戦するそうなので、是非、『帯久』をやって欲しい。


一方、マクラでは相変わらず雲助一門の自虐話で大笑いさせられました。

華やかな五月上席が終わると、雲助一門がトリを取る話に始まり、

雲助一門は、師匠を囲んでのイベントが少なく、忘年会しかしない。

その忘年会も、一番下の龍玉くんの愚痴を聞く会なんだそうです。

 

 

 

臆病源兵衛/桃月庵白酒

この噺も、寄席で馬生師匠のを聴いた事があります。

幽霊(?)が登場するので、夏の噺なんだろうけど、

めったに演じられなくなった噺だと思います。


マクラで、省エネ・停電の話をして、暗い夜道はそれなりに良いと言う。

特に、某居酒屋の赤いネオンが消えて、夜の池袋の街が美しいらしい。

しかし、一つ危ないと感じるのは、携帯に夢中になっている奴だ!

あれが暗がりから飛び出して来たら、本当に事故になりそうです。


で、本当に暗い夜道でまでもメールやWebアクセスする必要があるのか?!

そんな必要のある人は、東電の職員か、内田裕也くらいだろう、と言ってドッカン!!

と受けておいて、『臆病源兵衛』へ入りました。


源兵衛は強度の臆病で、夏の暑い盛りに雨戸を閉め切って

アツイ暑いと言うので聞いてみたら、何か覗いているから恐いという。

また、夜は恐いからと出歩かなかったし、

商売も暗くなるとあたふたと帰ってきてしまう。


兄貴の家で一杯ご馳走になっている八五郎が、

その源兵衛をここに呼ぼうという。

お前を見て岡惚れした兄貴の遠い親戚が来ている、

しかもお前好みのぽっちゃりした年増だ!

そんな事を言えば、駆けつけてくるだろう。


そうしたら、酒を買いに行くからと言って外に出て、

裏の台所で赤いキレを頭からかぶって源兵衛を脅かす。

気を失ったところを笑ってやるのはどうでしょうと、

兄貴は気が進まなかったが悪巧みは決まった。

八五郎につかまって恐わごわ源兵衛は駆けつけてきたが、

年増の女はハナっから居ない。


女はちょっと前に出かけたというと

「女なのに凄いですね、女夜叉?!」。

おっかなびっくり飲んでいると、八が酒が足りなくなるのでと、買いに出た。

八さん!出ていかないで、後ろが恐いと引き止める源兵衛。

そんなのお構いなしで、八五郎は、外に出るふりをして台所へ。

 

酒が切れたので、台所から取って来いと頼まれたが、

へっぴり腰で暗い中に入ると、八が白い布を頭からかぶって脅かした。

「ギャッ~!」っと言って手に持っていた酒の入った瓶で、

八五郎の頭にパカッ。殴られるとは思ってもいない八五郎は、

「ギャッ!」その場に倒れてしまった、死んでしまった。


兄貴分、自分の家で事故とはいえ殺しがあったとなると、

この後が面倒だってんで、源兵衛を言いくるめて、

八五郎に兄ィの自慢の上布で出来た帷子を着せてやり、

死に装束に替えて大きな葛篭に詰め込んだ。


この葛篭を背負って、源兵衛に不忍池の奥に捨てに行けと言う兄区分。

恐い!恐い!と言いながら、闇の中を彷徨う源兵衛。

なんとか池の近くまで来たら、ご機嫌に寄った男が登場。

その男と辻角でぶつかり、恐がりの源兵衛は葛篭を置いて逃げてしまう。


寄った男は、「ははぁ?泥棒だなぁー、俺に遭って驚いて、こんなもん置いていきやがった」

そう言いながら、徐に葛篭を開けると・・・死に装束の八五郎が入っている!!

今度は、その酔っ払いが驚いて逃げ出す番。

その悲鳴で、流石に、気絶していた八五郎が、目を覚ます。


八つぁんは本当は死んでいなかった。頭を叩かれたので気絶していただけだった。

立ち上がってみると先ほどの酔っ払いが、悲鳴を上げながら灯りの方に逃げて行く。

葛篭を出た八五郎、“あぁー俺死んで、あの世に来たんだぁー”と妙な納得をする。


そして、不忍池の周囲をうろうろ、アッ!池だ。血の池地獄?!

そう思って恐る恐る近付くと、蓮の花が浮いている、アレ?極楽。

そんな思案をしていると、根津岡場所帰りの二人連れが現れて、

ここは、地獄(この辺りの根津岡場所俗称)と皆は言うが、中には、

ちゃんとした良心的な極楽もあるんだなぁー そうそう、地獄に仏ならぬ、

地獄に観音様だ!!と、浮かれた陽気で歩いて行く?


はて、ここは?


更に明るい方へと進むと、根津の方で祭囃子が鳴り響き、

大勢の人が踊っている、ヨシ!俺も踊ろうと死に装束で輪に入り踊っていると、

死人の格好なんざ、粋な趣向だなぇー と褒めて、地獄に仏だ!

 


馬生師匠のからは、少しいじられてて、そこが白酒色になっていて良かったです。

 

 

 

5.品川心中/柳家甚語楼

これも、意外と演じ手が少ないですよね。

談春とか、小三治が妙に本寸法でやるんでねぇ。

しかも、あまり笑い処が多くないので、難しいですよね。

で、局所的に笑いで盛り上げると、心中場面が白ける。

だから、志らくの『品川心中』は、無駄に長い感じがします。


さて、そんな『品川心中』を、どう甚語楼さんが料理するか?


そつなく演じ切ったけど、らしさがねぇー悪くはないのです。

こういう噺もやりたいに違いない。分かるけど味が無かったです。

序盤は、いいんだけど、心中の道連れに選ばれる金公、

このキャラクターが、真面目な甚語楼師匠には向かないのか?

こいつが、心中の仕度する場面と、最後に死に損って、

親分の家に辿り着く場面も、もう一工夫でした。


まぁ、根多卸しなので、次回以降に期待です。

ローマは、一日にしてならずです。

 

 

 

では、白酒&甚語楼の会の点数は、88点です。

次回は、8月の終わりに開催され
ます。