◇談春独演会 on 横浜にぎわい座
【2011.04.05】
春太は本当に心配だ!成長が止まっている。
談春の『按摩の炬燵』は、成城の中日より更に洗練されていました。
また、来年寒い冬に聴きたい。
『花見の仇討』は、三三/遊雀よりも一日の長アリな語りぶりで良い。
ツンボの叔父さんに翻弄される六さんが傑作です。
◇白酒ばなし on 横浜にぎわい座
【2011.04.07】
前座のきょう介さん!可愛い前座さんです。入門一年目、10代か?
天どん、相変わらずふざけた野郎なんだが… 落語下手過ぎます。
白酒くんは、平成の爆笑王になれるかも?!
日本橋亭での根多卸しより、30%Upの『幾代餅』
『花見の仇討』は、談春がやったのの、対極にある落語ですね。
【2011.04.08】
柳亭市馬独演会 on 横浜にぎわい座
今月3回目のにぎわい座でした。
一階席は満員でしたが、二階席は客無し。
柳亭市馬とボンボンブラザースなのに・・・
1.転失気/市助
市馬師匠の四番弟子です。上の三人より素質アリです。
口調が一番落語らしく、間の取り方が落語になっています。
よく、談志師匠がマクラで言ってますよね、間のダメなのが居る。
それでいて、かなり昔から、間のダメな奴を真打にしていると。
この日も、途中でスジを忘れて詰まりましたが… 前座のうちはご愛嬌。
あそこで、「勉強仕直して参ります!!」と言って下がったら大物ですけどね。
2.ボンボンブラザース
貴重な芸です。ジャグリングなんだけど神楽テースト!!
是非、寄席で1回見てください。
3.粗忽の使者&百年目/市馬
どちらも、非常に懐の深い、本寸法の語り口で痺れました。
間違いなく、平成の名人の一人になる咄家です。
【2011.04.12】
柳家小三治独演会 on サンパール荒川
地震で電車が遅れて、開口一番を努めた〆治師匠の『そば清』を聞き逃しました。
ちょうど、〆治師匠が高座を下りて、
座布団とめくりを返して、お茶を運んでいる最中に入場。
“二上がりがっこ”が流れる中、席に着席!!
いつもの様子で登場の小三治師匠でしたが…
マクラで、東日本大震災について触れました。
触れたくないけど、触れないのも不自然だからと言って。
震災当日の3.11は、新潟・上越市での公演の前日入りで、
上越新幹線に乗っていた小三治師匠。その運行中に、
グラグラっと来たんだそうです。
結果、社内に5時間缶詰。高架線路を歩いて熊谷駅にたどり着いたそうです。
更に、苦難はこれからで、バスは駅のターミナルに用意されたんだけど、
そのバスが、どこへ行くバスなのか?運転手にも分からない。
いつ出発するのか?何処へ行くのか?分からないバスよりは、
タクシーだと思って、タクシー乗り場に並んで、ようやくタクシーに乗車。
嫌がる運転手に、無言のプレッシャーを掛けて、「新宿のご自宅」へ。
そして、7時間半掛かって、なんとか帰宅できたそうです。
その珍道中のお話までは、いつもの小三治師匠のマクラだったのですが、
小三治師匠のお父さんが宮城県の出身なので、親戚が多数被災していると語り出し、
小三治師匠地震も、戦時中の疎開先は、今の石巻と仙台の間くらいだったとか。
だから、テレビで見覚えのある町並みが、見るも無残に破壊されているのを見ると、
本当に心苦しいと述べておりました。
そして、鈴本の寄席の前で、復興の募金活動をした話になると、
こらえ切れず、涙が止まらなくなり、泣き出してしまった小三治師匠。
自分で、募金箱を生まれて初めて持ってみて、その重さを痛感したそうです。
手ぬぐいで涙を拭いて、なぜか『お化け長屋』へ
本当に、何も無かったかのような、いつもの小三治落語で仲入りへ。
仲入り後、マクラで戦後間もない東京が焼け野原だった話をして、
十八番の『馬の田楽』をやりました。
小三治少年が、疎開時代に観た風景画そこに在るって感じでね、
じーんとさせる『馬の田楽』でした。この話に出てくる少年の一人を、
“タケちゃん”と呼ぶ小三治師匠。おそらく、“小たけ”のタケちゃんなんだろうね。
【2011.04.13】
アナザーワールドⅧ on 成城ホール
夏までは、ここ成城と横浜にぎわい座を中心に活動すると宣言した談春。
この日は、根多卸しで『猫久』を披露しました。
そのマクラでは、談春節が炸裂しました。
こんなご時世なので、尖閣や竹島に、北方四島に向けて、
20万人の震災難民で船を仕立てて、みなさんに“From FUKUSHIMA”のTシャツを着せて、
「We do not have land where it lives. 」
「Do not approach. Radiation poisoning inside」
「Opinion uselessness. 」
「Heavens whole country self-righteousness」
のプラカードをぶら下げて上陸させる。
なし崩し的に、領土を取り返せるんじゃないか?と言っておりました。
さて、『猫久』
談春には、およそ似合わない根多に思えたのですが、
既に、2回練習した成果と、髪床屋で登場する侍の演じ方の上手さで、
そんなに悪くない『猫久』が、楽しめました。75点くらいのデキです。
来月、再度、横浜にぎわい座でも聴くので、更なるUpがかるか?確認します。
一方、仲入り後に披露したのは、十八番中の十八番『紺屋高尾』
何度聴いても絶品です。談志から継承の「久さん、元気?」のセリフが栄えます。
また、いつも不満な「振られるなよぉ!久蔵」 「親方?いい天気ですよ」
このボケの間合いが、いつになく良くてね、流石、今週三回目と思いました。
いやぁー本当に得した気分のアナザーワールドⅧでした。
【2011.04.14】
第二十回 新文芸坐落語会「白鳥・遊雀二人会」
2000年の同期真打昇進で、白鳥の方が2年先輩。
トークから二席づつやった根多まで、大爆笑でした。
白鳥くんは、比較的本寸法の古典を得意とする相手に合いますネ。
Wホワイトなんか、その典型ですけど・・・
遊雀の『船徳』は、本といつ聴いてもGood!!
白鳥の『幸せの黄色い干し芋』は、初めて聴きました。
それにしても、白鳥らしさ爆発で大笑いでした。
【2011.04.20】
三遊亭小遊三独演会 on 神奈川県民ホール
小笑さんという芸協の二つ目さんは、初めてみました。
笑遊師匠の弟子で、“小笑” 調味料尽くしで笑えます。
まだ、前座から二つ目に上がったばかりなので・・・
喋りの切り替えしの間が、ちょっと変でねぇ。
まだ、落語に成ってませんでした。
そんな、たどたどしい小笑さんの後で、小遊三師匠登場!!
マクラでは、いつもの大師匠・圓馬と師匠・遊三の話を。
人間ドックに遊三師匠と行くと、血液や尿の検査結果は、
いつも小遊三師匠より、遊三師匠の方が優秀らしい。
一方、圓馬師匠の話は、圓馬師匠が非常に女性にモテたという話から、
圓馬師匠が心筋梗塞で倒れた話、御通夜の話と展開されるのですが、
この話も、何度聴いても、同じところで笑ってしまう、できた話です。
そんなマクラから『蛙茶番』へ
小遊三師匠らしい得意根多ですね。何度か聴いてますがイイですよね。
この噺、確かにガマが登場する芝居噺なので、『蛙茶番』なのでしょうが、
それよりも、青大将(?)蛇の方が、オチに繋がり頻繁に登場するから、
『蛇茶番』だよなぁーと、毎度毎度思います。
仲入り後、なんと!ハカマ姿で登場の小遊三師匠。
師匠が、袴なんて履いて出て来たの、もしかすると初めてか?
そんな気合の入る格好で登場して掛けた根多が『宿屋の仇討』
マクラで、旅噺の冒頭、咄家がよく使う常套句。
「今の時代は、交通機関が発達して大変楽になりましたが、
昔は馬・篭くらいしかなくて、主に自分の足でテクテク歩くしかありませんでした。
だから、どんなに昔の人は、旅で苦労したことか?!と思います」
なんて事を言いますが、これにイチャモンを付けた咄家が居ると言うのです。
付けた人は、家元・立川談志です。
談志曰く
「お前ねぇ、今さぁ、大阪まで新幹線で行くと3時間かかんねぇーで行くよなぁ
そして、今度、リニアができると、1時間かからねぇー旅になるらしい。
これを踏まえてだよ、更に乗り物が進化して、30分もかからねぇーのが常識になった時、
3時間も掛かった時代は、苦労したでしょうねぇーなんて言うかねぇ?
実際に、今、その新幹線の3時間の旅を俺らは経験していて、苦労なんて感じねぇーだろう?
だから、江戸時代に歩いて箱根を越えてた奴等も、別に苦労だなんて思ってねぇーよ、バカ」
妙に説得力のある、談志節に、『そうかなぁー』と思いましたと言いつつ、『宿屋の仇討』へ。
小遊三師匠らしい、軽い!軽い!『宿屋の仇討』 本寸法で柳亭市馬みたいな『宿屋の仇討』の、
全く対極にある落語です。これは、これでアリだよなぁーと感じる夜でした。
【2011.04.22】
月刊談笑 on 北沢タウンホール
いつものように下北沢の駅前にある焼鳥屋で腹ごしらえを済ませて、
少し早いけど18:40に北沢タウンホールへ。
座席に座ったのが、18:45ちょっと前だった。 すると…
出囃子が鳴って、前座さんが登場。「開口一番は、私、談笑の弟子で吉笑で・・・」
えっ!この会で前座が開口一番に出るなんて、初めてだ!!と思った。
サプライズな登場に、少しザワつく会場。それでも前座の吉笑くんは、元気に『道灌』
まだまだ、たどたどしい前座さん、「七重八重・・」の仮名書きの歌を詠む下りが省略されている。
あそこをやらないで、『道灌』をやるかぁーと思わず心の中で突っ込んでしまいました。
そして、なぜか緞帳が一旦下がって、野球拳の出囃子で談笑登場!!
マクラでは、テレビのレポーターのお仕事で、各界の大金持ちを見てきた話を。
特に、アパホテルの社長夫婦の金持ちぶりをタップリ紹介しました。
そんなマクラから、百年目へ。
改作『百年目』、舞台は楽天トラベル。社長が部下に小言を言って「関西に出張へ」
実は、ニューヨークに馴染みの芸能人をお供に従えて、花見に行くという豪気な展開へ。
そして、たまたまヤンキースの買収に動いて、お忍びでニューヨークに来ていた三木谷オーナー。
この三木谷オーナーが、楽天トラベル社長の乱痴気騒ぎを目撃する。
このニューヨークでの花見シーン!
楽天トラベルの社長は、ステテコ・ダボシャツ姿でクィーンの「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」を歌う。
歌うというか、口パクで、この真似をする。実際に、「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」が流れて、
談笑が、フレディー風のマイクスタンドを持って弾けます。(できれば、付けヒゲも欲しかった)
最後は、一応、『百年目』なので、三木谷さんがトラベルの社長を呼んで説教めいた小言を言います。
ただ、ナンエン草もダンナンも登場しません!!それに代わる何かもありません。
なんだろうなぁー、この噺に談笑の人間性が向かないように思います。皮肉じゃないからねぇー
絶対に、この噺は、演じ手に「皮肉屋像」が宿っていないと、ダメです。
仲入り後、次は『ねずみ穴』
これは、立川談志で何度も聴いて、2回、恐ろしく痺れる『ねずみ穴』を聴いた経験があります。
さて、談笑の『ねずみ穴』は、改作で、今度は“ソフトバンク”ならぬ“ハードバンク”が舞台です。
火事がコンピューターウイルスによるサイバーテロに置き換わります。
談笑ワールドというよりも、なんとなく、三遊亭白鳥
テーストでした。