第１５６９回　自分が好きになれなくなったとき

　最近、霊的な感性を持っている方から「今の自分が大嫌いで、仕事でもプライベートでもイライラが募っています。それが自分の周りの人間関係を悪くしていることも良く分かっています。しかし、上手く自分の気持ちをコントロールできないのです。これが霊の影響から来ていることは分かっているのですが、霊的な対処以外に、どのように自分を制御したらよいか教えてください」と尋ねられました。

私はその人の気持ちを感じてみました。その人は元々”自己肯定感“が希薄で、周囲の意見に流されやすいタイプです。自分に自信が持てないために、いつも誰かに何か言われれば、その対応を優先してしまいます。自分がやりたいことや行きたい場所があっても、「その判断が間違っている」と言われれば、自分の気持ちを抑えて言われた通りに行動していきます。だからその指示通りに動いても、それは本来の自分の気持ちとは違いますから、楽しさややりがいを感じることができません。何をやってもいつも”消化不良“で不満が残ります。その結果、さらに自信を失って、本来の自分を見失っていきます。そのような生き方を続けていれば、表面上は周囲の人間関係を丸く収めることはできますが、自分を否定しながら生きていることと同じですから、イライラが募るのは当たり前です。そのイライラは家族や上司へ向けられたものでは無くて、自分自身に対するイライラなのです。ですからこのイライラは、自分の生き方を変えていかない限り、解消されません。私はその人に言いました。

「自分の人生の主体はあなた自身です。あなたは自分が生きたいように生きて良いし、自分がやりたいことをやって良いのです。まずは自分が今、何を感じて、本当はどう生きたいと思っているのか、自分の本心を知ることから始めてください。焦る必要はありませんので、ゆっくりと丁寧に自分の感情をくみ取ってください。悔しくても腹が立っても、悲しくても、それが今のあなたの本心ならそれで良いのです。そして物事が上手く行かなくても失敗しても、自分を責めるのではなくて、どうすれば改善して行けるのかを未来志向で考えてください。感情論ではなくて今の現実を改善するためのアイデアをいくつも考えて、良いと思えることから順に実行して行ってください。そうすることで状況は必ず前よりも良くなります。そして状況が好転すれば、そのことによって自信が付いて行きます。自信が付けば少しずつ自己肯定感が醸成されていきます。そして自分のことを自然に好きと思えるようになります。どんなに苦しい状況でも、今のあなたに改善するための手立てはあるのです」

　相談者は私の言葉をかみしめるように聞いていました。「私は子供のころから親や先生の言われたことをきちんと実行することが“良いこと・正しいこと”と言われて生きてきました。だから習い事や受験科目の選択でも、“自分ではそれをやりたくない”と思っても、“それが合っている”と言われれば、逆らうとはできませんでした。そうやって生きてきたので、いつの間にか何に対しても自分の気持ちを抑え込んで、周りの意見にしたがう癖がついてしまったのかもしれません…」

　相談者はそう言って下を向きました。「そうやって自分を否定したり、感情を抑え込んできた結果、今のあなたの心は悲鳴を上げています。誰だって自分の思った通りに生きたいし、やりたいことを実行したいのです。それがさまざまな理由でできなくても、そこを目指して生きていければ、心が壊れることはありません。自分の気持ちを素直に感じて、できるかぎり心の赴くままに生きることです。そういう生き方が“自分に優しい生き方”になります。他人の気持ちを忖度したり、思いやる前に、まずは自分に優しくしてください。そして煮詰まってきたときには、深くゆっくりと深呼吸をして、心を解放させること＝リラックスを心がけてください。それを今すぐに実行してください」

　私は相談者がこのまま生きていく未来には、どんどん自分を追い込んでいく辛い時間しか感じられませんでした。ですからこれを機会に生き方を変えていくことを強く促したのです。

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