調べてみると太平洋戦争当時、軍需工場が数多くあった三重県津市は米軍の攻撃目標になって、何度も空襲に遭っていました。最初の空襲は1945年3月12日です。次の空襲は3月19日で初めて死者が出ました。4月7日の空襲では26名が犠牲になりました。その後、6月26日の空襲では軍需工場が攻撃されて、そこで働いていた人たちを中心に約600人が犠牲になりました。当時の軍需工場では、「学徒勤労動員」といって、中学生以上の生徒や学生が働かされていました。また、「女子挺身隊」が組織されて、未婚女性は軍需工場で働くことが求められました。ですからこの日の空襲では、多くの女性、少年・少女が犠牲になりました。7月16日の空襲では、アメリカの空母艦載機が、走っていた伊勢電気鉄道の車両に向けて機銃掃射を行いました。そのため電車の乗客や通りを歩いていた通行人が亡くなりました。最も被害の大きかった7月24日と7月28日の空襲では、町の中心部が爆撃されて、1200人を越える死者が出ました。このように三重県津市では、太平洋戦争で、女性や少年少女を含む多くの犠牲者が出ていたのです。ですから海沿いの道から海を眺めていた時に海岸に見えた“もんぺ、防空頭巾姿”の少女の霊たちは、間違いなく米軍の空襲によって命を落とした不浄霊だったのです。
そしてこの悲惨な空襲からちょうど10年が経過した1955年7月28日に津市の海岸で再び悲劇が起こりました。以前、このブログでも書きましたが、「橋北中学校水難事件」が発生して、橋北中学の女子生徒36人が溺死して13人が負傷したのです。橋北中学では学校行事として、毎年夏に10日間の水泳訓練を行っていました。この年の訓練は津市中河原地域の通称“文化村海岸”の海で7月18日から28日の中の10日間、午前中に行われました。この年の水泳訓練最終日となったこの日、海岸から沖へ約40m離れたところに、目印の竿を立てて、長さ約50m四方のエリアを設定して、男子用、女子用の訓練スペースを作りました。そして約660名の参加生徒を教員16名と事務職員1名でクラスごとに担当させて、体育主任と教頭が全体を指導しました。さらに陸上にも2名の教員を配置して監視に当たらせました。この日の天気は快晴・無風で海は特にうねりもありませんでした。そして海岸で準備体操を行った後、午前10時から一斉に海へ入ったのです。ところがそれからわずか3分ほどして女子生徒約100名と女性教員が訓練エリアの北東の隅で、体の自由を失って次々に溺れ始めたのです。溺れた生徒の悲鳴を聞いて、教員や3年生水泳部員、海水浴客も協力してすぐに救助は行われました。警察もすぐにやって来て、近くの自衛隊駐屯地からも応援が来ました。付近の病院からは多くの医師や看護婦が駆けつけて、海岸へ引き上げた生徒の懸命の救命措置が取られました。それでもこれだけたくさんの少女たちの命が一瞬にして失われてしまったのです。
この事故の後、原因の究明が行われました。事故原因には潮の流れの急変や訓練エリアの設定ミスが上げられました。学校側の安全管理の不備が問題視されて、裁判では、刑事・民事で責任が追及され、最終的に津市に損害賠償が命じられました。しかし、同じ海で訓練していた男子生徒には死者もけが人も出ていません。亡くなった36人は全員が女子生徒でした。そして溺れた場所は、訓練エリアの“北東の角”つまり、鬼門に当たる場所でした。鬼門は方角として霊的なものとつながりやすいことは良く知られています。
そしてこの7月28日は、悲惨な空襲で少女たちが命を失ってからちょうど10年後に当たります。その悲しみの海に、同年代の女子生徒たちが、歓声を上げて元気に泳ぎに来ていたのです。「学徒勤労動員」で働かされて、空襲に遭ってこの海まで逃げてきて死んだ当時の少女たちは、どういう思いで橋北中学校の女子生徒を見ていたのでしょうか。教師たちは、この海岸で海に入る前に、どうして10年前に亡くなった少女たちの供養をしなかったのでしょうか。私には防空頭巾をかぶった少女たちの悲しげな顔が、この海の波間に何人も見えたのです。80年前に空襲で亡くなった少女たちは今、ようやくあの世へ上がり始めています。私は、希望に満ちた未来を突然奪われた「橋北中学校」の女子生徒たちの成仏を祈りながら車を発進させました。
2022年9月1日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店(アマゾン・楽天など)で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。
■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者:霊能者SHUN(シュン)
■四六判248頁
■定価1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章:地球の誕生と人類の出現
第一章:霊界の存在とその仕組み
第二章:人の縁の不思議
第三章:心霊スポットが危険な理由
第四章:霊障は理不尽なもの
第五章:先祖と私たち
第六章:この世の上手な過ごし方