第１４９２回　生前の約束（１）

　先日、半年前に亡くなった知り合いが私の夢枕に立ちました。その人はお年寄りでガンに罹っていました。私も何度か祈祷をして、一時的に容体は持ち直してきました。しかし、もう高齢のために体の中を循環しているエネルギー（パワー）が減っています。本人の生命力自体が下がってしまっていて、それを上げることはできません。病気の状態は祈祷やパワー送付によって改善できますが、寿命を伸ばすことはできません。それは本人も自分の死期を悟っていて、病院を出てご自宅で家族と共に過ごしていました。

　その方は霊能者ではありませんが、霊能者と同等以上に霊的間口の広い方でした。そのため若いころから何回も霊体験をされていました。そしてここ20年以上は霊障を受けるたびに私に連絡が入り、そのたびに私が霊障を祓っていました。ですからその方とは目に見える世界だけでなく、目に見えない世界の話も良くしていました。

　あるとき「パワーを送ってほしい」と言われて、その方の自宅で直接会ってパワーを送りました。そのとき状態が少し回復すると、私に向かってこんなことを口走りました。

「先生、私はずっと先生にはお世話になってきましたが、もう寿命です。次のお正月は迎えられないでしょう。先生とは何度も死後の世界の話をしてきました。私はもうすぐあの世へ行きますので、先生が以前、話していた死後の世界の”確証“について、私が確認して先生へ伝えます。今までお世話になったお礼に、私が死んだらその役目を果たします。死んだらあの世を確認して必ず報告に来ますのでちゃんと待っていてください。そのときはしっかりとつながってください。お願いしますね」

亡くなる半月ぐらい前にこんな話をしていたのです。

　私は死後の世界について明確に感じています。それは死んだ後の数多くの魂とつながってきたからです。人は死んだ後、魂は肉体を抜けて現世にとどまります。そして死んだ自分の肉体や葬儀の様子を外から確認します。肉体のない魂は自分の意思で移動することができます。そして多くの場合、自分の生まれた場所から死んだ場所までを何度も往復します。特に思い出の残る人や場所にはしばらく留まって通り過ぎた時間を懐かしく思い出します。そんなことを繰り返しながら、自分の生きた時間が自分にとってどのような意味を持つものだったのか、自分なりに総括します。そして自分なりに答えを出します。

　命は自分で獲得したものでは無く、与えてもらったものです。ですから命が尽きた時、自分が与えてもらった命をどのように使ってきたのか、自分にとってどのような意味を持つものであったのか、それを命を与えてくれた存在に報告しなければなりません。その対象はその人によって異なります。神であったり、仏であったり、先祖であったりします。いずれにしてもそれは命を与えていただいたことに対する“報告の義務”のようなものです。

　ここまで進む時間はその人によって大きく異なりますが、普通の人生を生きた人であれば49日から3年ぐらいになります。悔いのない人生を生きてきた人は、早く自分の人生に答えを出せます。そして早くあの世へ上がって輪廻転生の準備に入ります。そしてスムーズに次の肉体が決まって来世へ生まれ変わります。輪廻転生のサイクルは30年から80年ぐらいと言われています。ただ、これもその人の生き方によって大きく異なります。極端な例を挙げれば“平家の落ち武者”と言われる霊は、死んでから840年も経っているのにまだあの世へ上がれずに現世にとどまっています。そうなるともう霊体としての形は崩れて“霊的なもの＝埃のようなもの”になってしまいます。それではもう輪廻転生はできなくなり、いずれは霧散して永久に消滅してしまいます。輪廻転生によって永遠の命を与えられても、自分の生き方や考え方によってその機会を失ってしまうこともあるのです。（２）へ続く

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