この日、相談者は何とか無事に家まで辿り着きました。帰宅して家の窓から何度も外を確認しましたが、追いかけてくる人はいませんでした。その日は疲れてそのまま寝ましたが、頭の中では昨夜見た恐ろしい光景がグルグルと回っていました。

~相手は自分と目が合っているから、自分のことが分かったのではないか~

~いや、本殿の薄明りしかない状況で、こちらを見たからといって、自分が誰かまでは特定できていないはずだ~

 そんな肯定と否定が頭の中でずっと交錯していました。そして“相手から襲われるとか何か攻撃を受ける可能性があるならその前に、相手のことを探ってみよう”と考えました。そしてまだ日が高い日中に、昨夜訪れた神社まで出かけました。

 神社はいつものように閑散としていて、お参りをする人もいません。相談者は石段を上がり、本殿の横を通り抜けて裏山へ入りました。呪詛を行っていた場所は、暗がりの中でも何となく覚えていました。そこには20センチ四方の呪いの板が森の木に打ち付けられて、サインペンで呪いの内容がしっかりと書かれていました。

~〇〇、四肢がバラバラになって死ね、今すぐに苦しんで死ね~

 相手の名前はフルネームが書かれていました。知らない名前でした。住所は住まいの市町村名だけ書かれていました。少し離れた町の地名でした。書いた本人の名前はありません。相談者はこの板に触れるのも気持ちが悪くて、落ちていた木の枝でひっくり返して表裏を確認しました。

 それからしばらくの間は、知らない人に出会うたびに”呪詛をしていた人ではないか”と考えて注意しながらすれ違っていました。しかし幸いに何事もなく1週間が過ぎました。そして無事に時間が経過したことで、また、呪いの現場を確認してみようと思いました。

~もしかしたら、あの呪いの板は、もう神職に取り除かれているかもしれない。そして丑の刻参りを行った人も、現場を見た私を恨む気持ちも失せているかもしれない。そうなればあの夜の忌まわしい出来事は自分の記憶だけにしまって無かったことにできるのではないか~

 そう考えたのです。しかし、裏山の森に入って、五寸釘で打ち込まれた呪いの板を目にすると、あまりのショックに心臓が止まりそうになりました。それは呪いの相手方の名前が、いつの間にか自分の名前に代わっていたからです。相談者が見た時の名前は薬剤で擦ったように消えかけていて、その上に黒く太い文字で自分の名前が書かれていました。これはあの夜、五寸釘でこの木に呪いの板を打ち込んでいた相手が、自分のことを調べた上で、また誰かに見られる危険を冒してまで行ったのでしょうか…

 相談者によると、板に書かれた自分の名前は、前に書かれていた名前を消して、新たに上から書いた感じではありません。まるで前の名前の上に自分の名前が浮かび上がっているように見えたというのです。そうなると呪詛を行った人が名前を書き換えたのではなく、その人の相手を呪う強い念が、儀式を妨害されたことを恨んで相談者の名前を浮かび上がらせたことになります。

 私は相談者に“呪詛返し”の施術をしてこの件を解決しました。しかしその後も、どうして相談者の名前が特定されたのか、板の文字を書き代えたのは人なのか念なのか、モヤモヤした気持ちがいつまでも残りました。

 

金閣寺

 

2022年9月1日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店(アマゾン・楽天など)で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。

 

霊界が教えてくれるこの世で幸福になる方法

 

■書名

霊界が教えてくれる

この世で幸福になる方法

■著者:霊能者SHUN(シュン)

■四六判248頁

■定価1650円(本体1500円+税10%)

■ISBN978-4-341-08818-7

■発売 株式会社ごま書房新社

 

 目次

序章:地球の誕生と人類の出現

第一章:霊界の存在とその仕組み

第二章:人の縁の不思議

第三章:心霊スポットが危険な理由

第四章:霊障は理不尽なもの

第五章:先祖と私たち

第六章:この世の上手な過ごし方

 

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