第１４６７回　幽霊車

　今日はもう12月も27日になりました。「年を取ると時間が経つのが早い」とよく言いますが、確かに年々時間が過ぎるのが早くなっているように感じます。朝起きて、前夜に確認しておいた仕事に取り掛かります。そして一つ一つ実行して疲れたり休んだりしているうちにすぐに外は暗くなります。さっき起きたばかりだと思っているうちに、すぐに深夜になります。そして頼まれている祈祷などを実行して疲れてまた眠りに入ります。浄霊など24時間がかりの特別な作業に入らない限りは、毎日この繰り返しです。“朝起きて～仕事をして～疲れて～仕事をして～疲れて～寝る”毎日これだけです。

　そしてお正月に1年がスタートして、寒さに震えているうちに、すぐに小春日和になって、桜が咲いて良い季節になったと思うと、今度はすぐに猛暑に入ります。そして夏前から続いている”猛暑日“を数えているうちに、すぐに秋を通り越して今度はまた冬になります。木枯らしの寒さにコートの襟を立てて歩いているうちに、気が付くともう年の瀬になって1年が終わります。1日が早くなったのと同様に、1年も本当に早くなりました。若いころは年長者の言っていることも、”ジジくさい“とか”しつこい“と思って聞いていましたが、自分が年齢を重ねてくるとまさのその通りに年を取っていきます。こうやって私も、もうすぐに先輩方のいる鬼籍に入っていくのでしょう。

　車に乗っている方ならお分かりだと思いますが、年の瀬も押し迫ってくると、ガソリンスタンドの順番待ちは普段では考えられないほど激しくなります。私は自分の車を見て”汚れている”と思えば、スタンドへ行って“ハイオク満タン”と“洗車”を頼みます。これは1年を通して行っていることです。ただ、年末とかお盆休みの前は激しく混むために、今日は時間を作って近所のガソリンスタンドへ行きました。28日を過ぎれば、ひどい混雑は予想できますから、今日スタンドへ行ってきたのです。しかし、すでに”時遅し“でした。私が従業員にいつものように「ハイオク満タンと洗車お願いします」と頼むと、「2時間以上は待ちます」と返事が返ってきました。少し考えた後、私は「それじゃあ、夕方取りに来るからやっといてくれる？」と尋ねると、「ご覧の通り車と止めるスペースはどこにもありません。ですから置いて行かれるものも無理です。すみません」と、そっけない返事が帰ってきました。

　私は仕方なくそこから車で15分ほど離れた大きなセルフスタンドへ入りました。そこはセルフで洗車機が2台あります。洗車機の前には順番待ちの車が2台止まっていましたが、これならガソリンを入れても30分はかかりません。こんなに早くできるなら、洗車の後の拭き取りぐらい自分でやっても何ら問題はありません。私は洗車待ちの2台目に並んで順番を待ちました。私は前の車の後ろに付けたので、視線は嫌でも前の車のリアウインドウに注がれます。そこにはまだ学齢に達していない小さな女の子が二人並んで後部座席に座っていました。私は何気なく後ろからその様子を見ていました。それから一瞬目を離して、給油機の方へ目をやりました。そしてまた視線を前の車へ戻したのですが、さっきまで後部座席に座っていた女の子の姿はありません。驚いて車の周囲を見回しましたが二人の姿はありません。目を離したのはほんの一瞬ですから、二人が遠くまで走って行ったとも考えられません。私が視線を前の車に固定していると運転席から中年の男性が出てきました。そして洗車機横の画面をタッチして、洗車コースやオプションを入力していました。そして設定が終わると、何事も無かったようにドアを開けて運転席へ乗り込みました。

　いつも申し上げているように、霊の問題の根本は、霊と自分の霊的な波長が合うかどうかで決まります。波長が合わなければ、心霊スポットのように不浄霊がたくさんいる場所へ行っても、どの霊体ともつながりません。ですから何ら影響は受けません。運転席に座った中年男性は霊的な間口が狭く、後部座席の女の子たちとも波長が離れています。ですから自分の子どもではない霊をどこかで拾ってきたのでしょう。

　しばらくして洗車を終えた前の車は、洗車機を出て前方へ動き出しました。そのとき再び女の子が二人後部座席に現れました。そして私が気づいていることを察知したように、二人で一緒にこちらを振り返り不気味な笑いを浮かべていました。ドライバーは何も気づくことなく私からどんどん遠ざかっていきました。

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