第１４５３回　愛する力・好きになる力（２）

　今の話にもあるように、仕事を単に対価を得るための労働と捉えるのではなく、そこに愛情や好きが入ってくると、仕事のスピードは上がり、仕事の質も良くなります。そして物理的な肉体疲労は変わらなくても精神的な疲労は格段に少なくなるのです。それは私がしばしば「仕事は受動的に取り組むと、こんなにつまらないものはありません。逆に能動的に仕事へ向かうと、働くことが生きがいや達成感につながり、本当に面白いものになるのです」と話していることと同じです。それは仕事は趣味や遊びよりもはるかに“熱い（刺激が強い）“ものだからです。極端に言えば、”仕事ができるかどうか“それは命にかかわることです。もし、私たちが働くことが出来なくなったとき、身内の援助や社会のセーフティーネットがあったとしても、生きていくことが出来なくなる可能性もあります。

　たとえば人生ゲームで「株が大暴落」となっても、多少の悔しさはあってもそれが生活に影響することは何もありません。ゲームで大負けをして不快な思いをしても、そのことによって生活が困窮することもありません。しかし、取引先の会社が倒産すれば、自分の会社もその影響を受けて連鎖倒産するかもしれません。仕事でミスばかりを繰り返していれば、最後にはクビになるかもしれません。そうなると自分の職を失うことになります。職を失うということは収入が無くなるということです。家に十分な資産があったり、身内に大金持ちのいる人ならすぐに生活に困窮することは無いでしょう。しかし、毎月の給料日を心待ちにして家賃や公共料金を支払っている人は、すぐに生活が出来なくなります。だから仕事は大切にしなければいけませんし、長く気持ちよく働いて行けるように、良い人間関係も築いていかなければなりません。

　私は皆さんからさまざまな相談を受けています。「お金のこと」「健康のこと」「仕事のこと」「恋愛のこと」「学業やスポーツのこと」などです。仕事の相談を受ける中で、会社の業績や自分の適性などを気にしている人もいますが、最も多いのは会社の「人間関係」です。会社を退職する理由の中で、仕事自体が上手くいかなるケースよりも同僚や上司との人間関係で辞めていく人の方が圧倒的に多いのです。

　そんな相談を受けた時、私はその人の状況に合わせてさまざまなアドバイスをします。それは霊視でその人の未来を見た時に、どのような対応をすることが問題解決につながるのかを確認しているからです。たとえば人間関係を気にしすぎている人であれば、人との関係よりも目の前の仕事自体に集中することで、人との問題は軽減できます。雑音も耳に入らなければ、腹が立つことも無いからです。もっと言えば、今までとは自分の思考を切り替えて、別の目線から嫌な相手を見ることによって、自分自身が楽になることがあります。それが今回のテーマの“愛する力・好きになる力”です。

　会社で毎日のように叱られたり、説教をされたり、誹謗中傷を受ければ、誰でもその相手を嫌いになります。嫌いになればできるだけその相手とは関わらないように敬遠します。しかし、あなたのその態度はもちろん相手にも伝わります。あなたが自分のことを嫌がっていると思えば、相手もますますあなたのことを気に入らなくなって、ハラスメントはエスカレートします。それでは状況は何も改善されません。もし、あなたがその状況を良くしたいと考えるなら、相手の意表を突くような行動が必要になります。“意外性”です。相手があなたのことをよく思っていないとき、相手にあなたの別の面を見せることで、相手があなたに持つイメージは変わります。相手があなたに持つ認識を変えれば、あなたに対する対応を変化させることにつながります。

　私は以前、嫌いな相手を好きになる方法として、「どんな人にもその人を愛している人がいます。その人のことを想像してみてください」と話したことがあります。会社で威張りまくっている嫌な課長も、家に帰れば子供たちの優しいお父さんかもしれません。年老いた母親の介護を精一杯頑張っている孝行息子かもしれません。意地悪をされれば、誰でも嫌な目線でしか相手を見なくなります。そこで思い切って目線を変えていただきたいのです。その相手の良い面や好きな面を探してください。そしてその人にも“好き”を感じることが出来れば、あなたの相手に対する接し方が変わります。そして相手のあなたに対する対応も変化してきます。一見、出口の見えない状況に追い詰められても、改善のポイントは実はあなたの気持ちを変えることにあることがよくあるのです。

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