第１４４７回　信じる力（２）

　“信じる力”によって未来が変わることは、病気の治療以外のあらゆる場面でも起こります。たとえば私が行っている”除霊“でも、それを受ける当事者が、私を信じて「何とか祓って楽になりたい」と思っているのか、「この人、怪しい感じだけどインチキじゃないのか？」と疑っているのか、その気持ちによって効果は大きく変わってきます。良くあるのは本人以外の家族から除霊を頼まれるケースです。

　先日も霊的な間口が広くて、もう何度も除霊を繰り返している方から連絡を受けました。その方は霊に憑かれたり祓ったりを何度も繰り返してきたので、自分の中で憑依されたときの感覚も抜けた時の感覚もハッキリと自覚しています。そして自分の息子さんが、友人たちと行ったサイパン旅行から帰ってきてから様子がガラッと変わったことを気にしていました。口調が今までとは大きく変わって威圧的になりました。不平不満ばかりを口にするようになり、気に入らないと物に当たるようになりました。そして何よりも目つき、顔つきが普通ではありません。自分と話すときも目を吊り上げて、にらみつけてくるのです。これは霊に憑依されたときによく現れる症状です。霊に憑かれると目つきが鋭くなり攻撃的になります。息子の状態を見たこの方は、サイパン島＝太平洋戦争の激戦地で約4万人の日本軍が全滅した島であることから、霊の憑依を疑いました。そして息子さんに私から除霊を受けることを勧めたのです。

　しかし、息子さんはこの勧めを拒否しました。息子さんはもともと霊の世界もスピリチュアルの世界も信じていません。さらに霊に憑依されていると、憑いている不浄霊の意識が本人の意識の上に載ってきます。憑いている霊は霊能者に無理やり祓われることを望みませんから、本人の気持ちを動かして、除霊を強硬に拒絶するようになるのです。しかし、どうしても息子さんに除霊を受けさせたい親御さんは、「除霊を受けたらお小遣いを1万円あげるから」と言って無理に電話に出させたのです。息子さんにしても電話でマントラを40分前後聞いているだけで1万円のお小遣いがもらえるなら得だと考えて私の遠隔除霊を受けました。

　私は親御さんから電話を受けて、息子さんに電話を替わったときから、私の話を聞く意思が無いことはすぐに分かりました。ですから本来なら、除霊を開始する前からここで中止してキャンセルした方が良かったのです。ただ、親御さんが強く息子さんの除霊を望んできたので除霊を開始しました。私は引き受けた以上は何とか結果を出したいので、一生懸命にマントラを唱えました。しかし、どれだけ力を入れてマントラを唱えても、それが全然入っていかないのです。息子さんは私のことも、除霊というものも、霊という存在も頭から否定しています。ただ、1万円が欲しくて我慢してマントラを聞いているだけです。私は頑張って45分間、一通りのマントラを唱えましたが、それが不浄霊に効いている実感は持てませんでした。

　そして遠隔除霊終了後に、親御さんに連絡をしましたが、案の定、息子さんの状態は何一つ変わりませんでした。除霊はこのように本人が頑なに受け入れない状態では、マントラが本人へ入りません。したがって効果も出せません。それでも憑いている霊を何とかしたなら、本人の意思に関わりなく憑いている霊を祓える“浄霊”という方法で対応しなければなりません。除霊は本人の中に救われたいという気持ち＝信じる気持ちがある時に、マントラの力を借りてその気持ちを10倍20倍に増幅して祓っていきます。「信じる者は救われる」という聖書の言葉があります。それはイエス・キリストを信じれば、必ず救われて天国へ行くことができるという意味ですが、私からしても信じることは大きな力となって現状を改善することにつながっていくのです。

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