第１４４６回　信じる力（１）

　先日、このブログで何度かお伝えしている“乳ガンステージ４でリンパ節への転移、そしてB型肝炎まで陽性となった女性”から連絡が入りました。今年の初めには、発見したガン細胞が大きいために手術もできない絶望的な状況でした。そこからすぐに連日の病気快癒の祈祷を開始して、抗がん剤～HER２（遺伝子治療）を続けました。そしてすぐにB型肝炎を偽陽性で解決した後、約半年かけて手術可能なところまでガン細胞を縮小させて先日手術を受けました。そしてこの日は手術後の検査結果が伝えられました。それによると切除した乳房も腋窩（えきか：脇の下）の患部にも、ガン細胞は見つかりませんでした。ゼロだったのです。医師からは「ここにガン細胞が見つからなければ、体の内部にもガン細胞は無いと考えられます。理想的な状況です」と検査結果の説明を受けたのです。これから先は今までよりもマイルドな薬剤を投与しながら、放射線治療を行っていきます。すべての計画がベストな状態で進みました。ご家族も、そして何よりも九死に一生を得た本人が一番喜んでいます。

　私は祈祷に際しては、体の問題ですので“薬師如来様”と”観音菩薩様“に願い続けました。「どうかこの女性の病が回復して、また元気に過ごす日が訪れますように」「どうかこの女性の回復を願う夫や子供たちの願いをお聞き届けください」そう念じていました。そして口ではご真言やお経を唱えながら、頭の中では患者の女性とつながりながら、リアルなイメージを送信し続けました。ご主人から今行っている治療の内容と目的をうかがい、例えば抗ガン剤を投与しているなら、抗ガン剤が体内に浸透して、ガン細胞を攻撃しているイメージを送り続けたのです。抗ガン剤が奥さんの乳房の内部でガン細胞と戦いながら、少しずつ死滅させていくイメージです。私は祈祷の間、口ではマントラを唱えていますが、頭の中ではずっとこのイメージを持ち続けています。そして気持ちの中に、「絶対に完治する！必ず治る！」と何千回も刻み続けていました。自分自身がこのことを当たり前と思えるまで、心の中に奥さんが笑顔でご家族の元に戻られる日を描き続けたのです。

　それと同時にご主人には

「絶対に治ります。このまま死ぬことはありません。ですからご主人やお子さんたちもこの未来を願うのではなく、確信を持ってそう信じ続けて欲しいのです」

　そのように何度も言い続けました。これはできるようで簡単にできることではありません。自分の家族がガンでステージ４を宣告されれば、誰だって心配になります。その心配はやがて心の中に“大きな不安の雲”となって広がっていきます。病気の回復を願ながらも、心のどこかで“やっぱり無理かもしれない、もし死んだらどうしよう”そんな不安に押しつぶされて行きます。だから私はご主人に話しました。

「今、奥さんはガンと必死で戦っています。抗ガン剤はとても辛い副作用を伴います。それでも奥さんは生きるために副作用に堪えながら、全力でガンと戦っています。その状況の中でご家族にできることは“一つだけ”です。ガンの回復を願うことではなくて、奥さんがガンを克服して笑顔で家に戻ってくる日を信じることです。これは簡単ではありません。その未来を信じようと思っても、悪魔が囁くように心の中には不安が広がっていきます。その不安に負けないでほしいのです。ネガティブな思いを跳ねのけて、必ず奥さんが元気になって戻ってくる未来を信じてください。ご家族の皆さんが奥さんの病気快癒を信じれなくて、誰がその未来を信じれるでしょうか。弱い気持ち、不安な気持ちに負けないで、奥さんと一緒に戦ってください」

　私は奥さんの病気が治る未来を信じました。そしてご家族も同じ未来を心から信じました。私たちの信じる力が上手く共鳴したとき、その力は10倍にも20倍にも増幅されて行きます。それが奇跡を起こす原動力になるのです。奥さんの生きようとする力、ご家族の無事を願う力、そこに神仏の力が合わさって、この奇跡的な回復がもたらされたのです。もう、この病気がこれ以上、奥さんの身体を蝕むことはないでしょう。それは完全に流れは逆転したからです。今回の件で、私は改めて信じる力の強さを実感したのです。（2）へ続く。

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