アメリカのカリフォルニア州に「魂の町」と呼ばれている場所があります。それはサンフランシスコの南にある「コルマ」という町です。その理由は、この町では1500人の住民に対して、150万人の死者が眠っているからです。なぜこの町でこれほど大量のご遺体が眠ることになったのか。その理由は1914年1月に、サンフランシスコに強大な”防波堤”を作るために、今まであった墓地から遺体と墓石を移動させる“立ち退き計画”が始まったからです。その移転先にこの小さな町「コルマ」が選ばれたのです。当時のサンフランシスコ市郡の人口は約42万人、今でも人口は約80万人です。ただ、対岸のオークランドを含めた圏内の人口は約470万人になります。この大都市で、100年以上にわたって埋葬されていた遺体と墓石を移動させるのですから、作業は難航しました。しかも埋葬してから日の浅い遺体なら、棺のまま馬車に載せて移動できます。ただ、埋葬してから時間の経っている棺は、老朽化してボロボロになっています。それは埋められているご遺体にしても同じです。遺体の身元が分かれば、移転先できちんと埋葬できますが、身元の分からない遺体は共同墓地に“無縁仏”として埋葬します。サンフランシスコ中の大量の遺体が連日、馬車に載せられてこの小さな町に運ばれてくるのですから、周囲には強烈な死臭が漂い、夜になれば町中で“幽霊騒ぎ”が起こりました。
日本でお墓を移転する場合は、まずは移転先を決めて、墓地使用許可証をもらい、受け入れ証明書を発行してもらいます。それから埋葬証明書(改葬証明書)を受け取って、改葬許可申請をします。書類に不備が無ければ、申請が承諾されて「改葬許可証」が発行されます。それから遺骨を受け取って、新しいお墓に納骨します。その際に、元のお墓からは“魂抜き”をしてから遺骨を取り出します。そして移転先のお墓には、“魂入れ”をしてから納骨します。このように、お役所関係だけでなく、魂も迷わずに供養できるように、きっちりとした手順を踏みます。しかし、このときの遺体と墓石の移転では、大量の遺骨を流れ作業でどんどん掘り起こして、埋め直す作業が繰り返されたのです。
特に日本人墓地は、サンフランシスコ市の公設墓地の「ローヤル・ヒル」や「マソニック公設墓地」に埋葬されていたものが、中国人墓地の一部を借りて埋葬することが決まりました。しかし、1870年代は日本人娼婦の埋葬を教会が拒否し、それは黒死病(ペスト)で大量の死者が出た1900年になっても続きました。そのため現地の日本人から、“日本人墓地の設立運動”が起きて、1902年に明治天皇から“御下賜金(ごかしきん:天皇誕生日に社会福祉事業御奨励の思召をもって、優良民間福祉団体に対して、金一封を下賜されるもの)”をいただき、コルマにも日本人共同墓地が作られました。このような紆余曲折を辿っている間、墓地から掘り起こされた魂は、コルマの町を漂い続けました。
今年は1914年にコルマに墓地移転が始まってから110年です。しかし、このいわくつきの町には、今でも夜になると霊の目撃談が絶えません。また、町中を彷徨っている浮かばれない霊を見るために、連日、全米中から訪問客が訪れているそうです。不幸にして墓を掘り起こされた魂が、新たな墓地で静かに眠れることを願うばかりです。
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■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者:霊能者SHUN(シュン)
■四六判248頁
■定価1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章:地球の誕生と人類の出現
第一章:霊界の存在とその仕組み
第二章:人の縁の不思議
第三章:心霊スポットが危険な理由
第四章:霊障は理不尽なもの
第五章:先祖と私たち
第六章:この世の上手な過ごし方