私の知り合いも母親の死を前にして不思議な体験をしていました。その人は4人兄弟の長男ですが、2年前に弟を病気で亡くしていました。そしてその人の母親は80歳を過ぎて、寝たきりのような状態で介護施設で過ごしています。その施設はしっかりとした介護をしていました。そしてお母さんの状態も今すぐに急変するような状況ではありませんでした。そのため3人の子どもは、それぞれが時間が空いたときに施設へ見舞いへ行っているような状態でした。
ある日曜日、長男の自宅に、たまたま3人の兄弟が集まっていました。特に連絡を取り合ったわけではないのですが、それぞれ用事や買い物で実家の近所まで来たので立ち寄ったのです。そして3人が居間で話しているとき、不思議なことが起こりました。次男の「恭介」が突然、
「あれ、裕也(亡くなった三男)の匂いがしない?」そう言って周囲を見回したのです。その言葉を聞いて、他の二人もすぐに部屋の中の匂いを嗅ぎました。すると確かに裕也がいつも頭に付けていた整髪料の匂いがするのです。
「あいつ、俺たちが集まっているから、寂しくなってやってきたのかなあ…」
長男の俊之がそう言って周囲を見回しました。
「そうかもしれないね…。じゃあこれからみんなでお母さんのお見舞いへ行こうか?」長女の裕子がそう言うと、三人は口々に「そうだね、おふくろも喜ぶだろう」と答えてすぐに車へ乗り込みました。
施設に着くと珍しくお母さんは起きていました。そして3人が来るのを待ち構えていたように、満面の笑みで出迎えました。
「みんなが揃うのは久しぶりじゃない?俊之・裕子・恭介・裕也、みんな来てくれてありがとう」
お母さんが呼んだ子供の名前には、亡くなった裕也の名前も入っていました。3人は今、家を出るときに、亡くなった裕也がいつも付けていた整髪料の匂いを嗅いでいましたから少し、驚いて口ごもりました。すると施設の職員が、
「お母さん、一昨日から“日曜日には、子供たちがそろって見舞いに来てくれる。嬉しいねえ”そう言ってすごく楽しみにしていたんですよ」
笑顔でそう話しかけたのです。その言葉を聞いた俊之がギョッとして小声で二人に話しかけました。
「誰か、今日施設に見舞いに行く話をおふくろにしたのか?だってたまたま今日、2人が家に来て、裕也の匂いがして、それでここに来たわけだろ。何でおふくろは今日オレたちがここに来ることが分かっていたんだ?しかも今、(2年前に死んでいる)裕也の名前を呼んでただろ、おふくろには裕也が見えているのかなあ…」
3人はしばらくしてお母さんと笑顔で別れました。見舞いを終えて施設を出る時、施設の中からまた、裕也がいつも付けていた整髪料の匂いが漂いました。3人が帰ると、お母さんはまた静かに眠りにつきました。そして2日後の朝、微笑みを浮かべながらお母さんは息を引き取りました。
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■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者:霊能者SHUN(シュン)
■四六判248頁
■定価1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章:地球の誕生と人類の出現
第一章:霊界の存在とその仕組み
第二章:人の縁の不思議
第三章:心霊スポットが危険な理由
第四章:霊障は理不尽なもの
第五章:先祖と私たち
第六章:この世の上手な過ごし方