第１３５２回　刺激（１）

最近、大好きな男性への気持ちがどうしても冷めなくて悩んでいる主婦から相談を受けました。その主婦は既婚者で小学生の子供のいる３０代後半の母親です。子供のサッカーチームの監督をしている自分よりも２０歳近くも年上の小学校教師のことが大好きになりました。この監督にも家族があります。しかも公立小学校の教師ですから、生徒の母親と不倫関係になったことが発覚すれば、下手をすれば仕事も家庭も失うことになります。それはこのお母さんにしても同じです。夫は地元の大手企業に勤めています。夫は奥さんが大好きで結婚したため、今でも妻には優しく子供の面倒もよく見ます。ローンで家も購入して傍から見ればどうみても幸せいっぱいの家族なのです。

　奥さん自身、夫に特に不満があるわけではなく、家族のために頑張って働いていることに感謝もしています。しかし、１週間に１回、子供のサッカーの練習や試合に父兄として付き添います。そして父兄と監督としての関係を続けているうちに、週に１回この監督と会えることがかけがえのない時間になっていきました。そして気が付けば、監督に対して積極的に自分をアピールしたり、わざと冷たい対応を取ったりしています。それはもちろん監督のことが大好きだからです。しかし、もし告白すれば、監督に嫌われるか、上手くいってもお互いの家庭を壊すことになりますから、自分の思いを告げることもできずにいます。好きな思いは募るばかりで、忘れようと思えば思うほど、彼を意識してしまいます。それでいて何も行動することができないもどかしさで、毎日が苦しくて私に相談してきたのです。

　相談者は私に訊きました。

「シュンさん、私は監督のことが大好きです。夫には申し訳ないと思いますが、この気持ちは変わりません。監督は私のことをどう思っているのでしょうか？」

　私は送信された監督の画像を見ながら、監督の気持ちを感じ取っていきました。

「好意は持っています。いつも父兄としていろいろ手伝いもしてもらい、感謝しています。感じの良いお母さんだと思っています。ただこの人は自分が監督であり、教師であることを強く認識しています。そしてあなたにも自分にも家庭があることも分かっていますから、男女の関係としての“好き”ではなく、監督と父兄という立場の中での“好き”になります。その垣根を越えるつもりはありません」

　相談者はしばらく私の返事をかみしめた後、意を決したように尋ねました。

「それではもし私が自分の思いを監督に告白したら、どうなるでしょうか？嫌われたり、警戒されたりするのでしょうか？」

　私もしっかりとその状況を霊視をした上で率直に答えました。

「まず最初は、驚きます。そういうつもりであなたのことは見ていなかったからです。そしてお互いに家庭のある身であることを説明して、“お気持ちはありがたいけど、そういう関係になることはできない”と拒絶するでしょう。それは監督として教師として、当たり前の対応です」

「………」

「ただし、それでも、もしあなたが自分の思いを強く伝えて“一度、二人で会ってほしい”と頼み込めば、彼はそれを受け入れます。本音を言えば、自分よりも２０歳近くも若く、自分でも好意を持ってるあなたから誘われて、本心は悪い気はしていないからです。さらに“話を聞くだけだから“という言い訳が自分にできます」

　私はさらに続けました。

「ただ、会って話をすれば、それだけでは終わりません。お互いに好意を持っている大人の男女が二人で会って話をすれば、話は盛り上がり、それはお互いにとって幸せな時間になります」私はそう言って相談者の反応を待ちました。（２）へ続く。

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