一番最初に勤めた会社で仲が良かった人、
ウチカワさんという人がいる。
こないだ久々に、この会社で僕の後釜デザイナーとして雇われた人(33歳)とたまたま会った。
彼の口から、こんな言葉を聞いた。
「ウチカワさんとよくメールしたり飯食いに行ったりしてるらしいやん?」
瞬間、僕の頭の上にクエスチョンマークが飛んだ。
あの会社を辞めて以来、僕は一度もウチカワさんとは会っていないし、連絡もしていない。
ウチカワさんは、
あの会社に従事して30年になろうかという人だけど、
特に立場や役職があるというわけでもない。
そして、ケッコー嘘つきな人だ。
「自分はあの人と仲がいい」とか、
「あの人かて昔は俺に助けられてたんや」とか、
そういった類いの事をしょっちゅう発言する。
知らないのは本人だけで、
社内の人達は、
「ウッチーはホラ吹きやからな」
の一言だった。
好かれているか嫌われているかで言うと、
嫌われている人だった。
だけど、どうしてだろう。
どこをどう気に入られたのかは分からないけれども、
彼は、僕に対しては、優しかった。
「なんで阪もっちゃんは、ウッチーと仲いいの?」
そんな事を誰かに聞かれた事もあった。
彼は僕に対しても、
会話の中で、たくさんの嘘をついた。
僕は、嘘だと分かっていながらも、同調していた。
ある日、僕は彼の背景を知った。
奥さんと別れ、2人の子供も自立し、
仕事が終われば一人の部屋に帰る。
50過ぎの年齢で、
家に帰っても一人というのは、きっととてつもなく淋しいことなのだろう。
たくさんのローンを払うためだけに働いている。
そんな状態なのだという。
彼の車の助手席に乗らせてもらう機会があった。
名前は知らないけど、外車で、メチャクチャいかつくて高そうな車だった。
助手席に乗るのも怖いくらいだった。
車好きの彼が言うには、「俺の宝物」だそうだ。
休みの日には、この車で20代の子としょっちゅうデートなのだという。
奥さんもいなくなって、自由な身ってのはいいもんだぞ、と、僕に話した。
僕は、それも嘘だと知っていた。
この会社では出荷業務があり、
デザイナーの僕も、デザインに全く関係ないこの業務に応じなければならない時があった。
出荷業務は、2人ペアでやるのが最も効率が良い。
僕のペアの相手は、僕が望まずとも、いつもウチカワさんだった。
みんなウチカワさんとは組みたくなかったみたいで、
「スマンな、阪もっちゃん」
みたいな雰囲気が、どこかしらにあった。
みんなは僕がスケープゴートの役目を買って出ていると思っていたようだった。
だけど、
僕が退職する日、
勤務時間が終わり、僕の元に真っ先に握手を求めに来てくれたのは、
他の誰でもない、ウチカワさんだった。
「世話になったな。元気でな。」
これが、今のところ彼と交わした最後の言葉となっている。
彼が他の誰にどう思われていようと、
そんな事は関係ない。
彼は確かに『嘘つき』で、
僕にもたくさんの『嘘』をついていた。
それでも、
僕に対しては、優しかった。
それは決して『嘘』ではない。
一番最初に勤めた会社で仲が良かった人、
ウチカワさんという人がいる。
こないだ久々に、この会社で僕の後釜デザイナーとして雇われた人(33歳)とたまたま会った。
彼の口から、こんな言葉を聞いた。
「ウチカワさんとよくメールしたり飯食いに行ったりしてるらしいやん?」
僕と未だに連絡を取っているなんて嘘をついたところで、
何のメリットがあるわけでもないだろうに、
そう思いつつ、
あの人なりに、だけど、
いつも、精いっぱい、
何かをしようとしてくれた、
そんな彼を思い出して、
僕はとっさにこう答えていた。
「そうなんですよ。相変わらずですよね。ウチカワさん」
べつにどうという理由があったわけではないけれど。
なぜか、僕は、そう答えた。
ウチカワさんという人がいる。
こないだ久々に、この会社で僕の後釜デザイナーとして雇われた人(33歳)とたまたま会った。
彼の口から、こんな言葉を聞いた。
「ウチカワさんとよくメールしたり飯食いに行ったりしてるらしいやん?」
瞬間、僕の頭の上にクエスチョンマークが飛んだ。
あの会社を辞めて以来、僕は一度もウチカワさんとは会っていないし、連絡もしていない。
ウチカワさんは、
あの会社に従事して30年になろうかという人だけど、
特に立場や役職があるというわけでもない。
そして、ケッコー嘘つきな人だ。
「自分はあの人と仲がいい」とか、
「あの人かて昔は俺に助けられてたんや」とか、
そういった類いの事をしょっちゅう発言する。
知らないのは本人だけで、
社内の人達は、
「ウッチーはホラ吹きやからな」
の一言だった。
好かれているか嫌われているかで言うと、
嫌われている人だった。
だけど、どうしてだろう。
どこをどう気に入られたのかは分からないけれども、
彼は、僕に対しては、優しかった。
「なんで阪もっちゃんは、ウッチーと仲いいの?」
そんな事を誰かに聞かれた事もあった。
彼は僕に対しても、
会話の中で、たくさんの嘘をついた。
僕は、嘘だと分かっていながらも、同調していた。
ある日、僕は彼の背景を知った。
奥さんと別れ、2人の子供も自立し、
仕事が終われば一人の部屋に帰る。
50過ぎの年齢で、
家に帰っても一人というのは、きっととてつもなく淋しいことなのだろう。
たくさんのローンを払うためだけに働いている。
そんな状態なのだという。
彼の車の助手席に乗らせてもらう機会があった。
名前は知らないけど、外車で、メチャクチャいかつくて高そうな車だった。
助手席に乗るのも怖いくらいだった。
車好きの彼が言うには、「俺の宝物」だそうだ。
休みの日には、この車で20代の子としょっちゅうデートなのだという。
奥さんもいなくなって、自由な身ってのはいいもんだぞ、と、僕に話した。
僕は、それも嘘だと知っていた。
この会社では出荷業務があり、
デザイナーの僕も、デザインに全く関係ないこの業務に応じなければならない時があった。
出荷業務は、2人ペアでやるのが最も効率が良い。
僕のペアの相手は、僕が望まずとも、いつもウチカワさんだった。
みんなウチカワさんとは組みたくなかったみたいで、
「スマンな、阪もっちゃん」
みたいな雰囲気が、どこかしらにあった。
みんなは僕がスケープゴートの役目を買って出ていると思っていたようだった。
だけど、
僕が退職する日、
勤務時間が終わり、僕の元に真っ先に握手を求めに来てくれたのは、
他の誰でもない、ウチカワさんだった。
「世話になったな。元気でな。」
これが、今のところ彼と交わした最後の言葉となっている。
彼が他の誰にどう思われていようと、
そんな事は関係ない。
彼は確かに『嘘つき』で、
僕にもたくさんの『嘘』をついていた。
それでも、
僕に対しては、優しかった。
それは決して『嘘』ではない。
一番最初に勤めた会社で仲が良かった人、
ウチカワさんという人がいる。
こないだ久々に、この会社で僕の後釜デザイナーとして雇われた人(33歳)とたまたま会った。
彼の口から、こんな言葉を聞いた。
「ウチカワさんとよくメールしたり飯食いに行ったりしてるらしいやん?」
僕と未だに連絡を取っているなんて嘘をついたところで、
何のメリットがあるわけでもないだろうに、
そう思いつつ、
あの人なりに、だけど、
いつも、精いっぱい、
何かをしようとしてくれた、
そんな彼を思い出して、
僕はとっさにこう答えていた。
「そうなんですよ。相変わらずですよね。ウチカワさん」
べつにどうという理由があったわけではないけれど。
なぜか、僕は、そう答えた。