新聞投書を始めた理由

なぜ新聞投書を始めたのか?


私は50歳になるまで、一度も新聞投書をしたことがありませんでした。新聞は読んでいましたが、自分が投稿するという発想すらなく、投書欄も軽く目を通す程度でした。 「どうせ載らないだろう」と思っていたからです。実際、全国紙の新聞投書の掲載率は5%以下とも言われており、特に1990年代(平成3年頃)には私の高校教師や予備校講師が、「朝日新聞に投書が載るのは東大に合格するより難しい」と冗談交じりに語っていたほどです。



そんな私が新聞投書を始めたきっかけは、2022年12月に中日新聞「道草のすすめ」という企画記事で取材を受けたことにあります。取材担当の社会部記者と話す中で、ふと「発想が凄い。重田さん、新聞投書をしてみたらどうですか?」と言われたのです。そのときは「新聞投書?へー、いまも新聞投書なんてあるんだ」という程度の認識でした。



しかし翌年、心理学や経済学、金融など幅広い分野を学び直したいと考え、大学の通信課程に入学。特に「社会学」に夢中になり、学ぶうちに「新聞投書と社会の関わり」に興味を持つようになりました。その時、中日新聞の記者の言葉がふと頭をよぎったのです。



「重田さん、新聞投書をやってみたらどうですか?」



社会学で学んだ「社会への発信手段」という視点と重なり、試しに2023年6月、読売新聞の「気流」欄に 「学問のすすめ、何歳でも」 という投書を送りました。もちろん、掲載されるとは思っておらず、「投書した」という事実だけ記録しておこう、くらいに考えていたくらいです。



しかし、2日後に読売新聞から電話があり、「掲載します」との連絡が。思いがけない出来事に驚くと同時に、「本当に載るんだ!」と感動したことを今でも鮮明に覚えています。



それからは、日常の気づきや社会現象、自分の体験をもとに投書を続けました。もちろん、掲載されなかったものもありますが、1年9ヶ月(2023年6月〜2025年3月16日)で 全国紙(朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞)をはじめ、中日新聞を含む合計11本(全国紙10本) が掲載されました。


新聞投書は役立つ


新聞投書は、限られた文字数の中で、社会に自分の考えを的確に伝える「頭の体操」にもなります。実際、大学の通信教育の科目試験では、「〜について400文字以内で説明せよ」といった記述問題が多く出されます。日頃から新聞投書で鍛えていたおかげで、このような試験にもスムーズに対応できました。


                     新聞投書は、古くて新しい文化


新聞投書は100年以上の歴史がありながら、常に新しい「今の声」を届けています。そして掲載された投書は新聞社に長く残り続けます。まさに「SNSのバズは24時間、新聞投書は100年残る」と言っても過言ではありません。同じスペースに広告を掲載すれば、数十万〜数百万円の価値になることを考えると、自分の文章が無償で掲載されることの重みを強く実感します。それは同時に、新聞投書というものの社会的な意義を深く考えるきっかけにもなります。


たとえ掲載されなくても、投書を手元に残しておけば自分がその時何を考えていたかを振り返る貴重な記録にもなります。じっくり手間暇かけ、心を込めて書いた文章だからこそ、形に残す価値がある。


新聞投書、お勧めです。