初代 V maxが発表された1985年。


和暦だと昭和60年。


アメリカではレーガン大統領の二期目がスタートし、


ソ連ではゴルバチョフが書記長になり、


後の円高不況からのバブル景気と失われた20年の起点と言われるプラザ合意が行なわれた年。


バイク業界は80年代のバイクブーム真っ只中。


83年には



レプリカブームの起点とも言われるRG250Γが発表。


翌84年には



GPZ900R Ninjaが発表されています。


水冷化が進み2ストと4ストが入り乱れ、中型も大型もパワーを、そしてスピードを競い、毎年のようにデビューする新車のカタログスペックにワクワクした時代。


それゆえに迷惑極まりないライダーが世に溢れていた時代でもありますが。


現在のバイクブーム、特に旧車ブームを支えているのはこの頃からのリターンか、乗りたかったけど乗れなかった私よりちょっと上ぐらいの世代なのかも知れません。


因みに私はこの頃高校生でした。


そんなわけで、(どんなわけで?)ピンポイントでこの年デビューしたバイクに興味が湧いたので、魔神と同期のバイクをちょいと調べてみました。



今回はHONDA編。


レプリカブームの黎明期。


NS250に続いて登場したのは



NS400R


HONDAに初めてのライダースタイトルをもたらしたNS500のレプリカ。


ですが、400。


当時のGPクラスは2ストで500、250、125、80の4クラスですが、500となると日本では大型バイク。


当時、大型に乗るには合格率1割と言われた

限定解除に合格しなければならず、買えるライダーも限られてしまう為、国内で市販するとなればこれは真っ当な選択かも知れません。


因みにYahooでNS500と検索すると検索ワードで

NS500 中古

なんて出てきます。


そのまま検索しても、

プラモデルとポスターとPC

しかヒットしませんがね。


みんなやっぱり500あったと思いますよねぇ。


話を元に戻します。


見た目はレプリカなんですがよくよく調べてみると、V3のエンジンの向きが保安部品の関係で500とは前後逆(前2、後1)になってたり、タンデムシートがついていたりでレプリカ感はやっぱり薄い。(ついでにリアタイヤも結構細い)


レース部門を担当するHRCの協力を得られなかったとか、そもそも2ストに消極的だったとか色々言われますが、私の中ではHONDAってキチガイじみた振り切ったバイクをあまり市販しないイメージがあります。


そもそも

500の2ストのレーサーレプリカ

を市販するなんて正気の沙汰ではありません。


そしてチラつくこのバイクの影。



MVX250F

250で 2ストV型3気筒。

レースでも証明された、 V3の優秀さはともかく

めっちゃ白煙を吐き、そして
後のバンクが焼き付く

バイク好きの友人からよく聞いた話で、KAWASAKIの油漏れと同じぐらい悪いイメージがあります。

NS400Rの前2後1の配置はこのMVXと同じなんですよね。

MVXの400が諸般の事情により直前で無くなってしまった影響から、MVX400の改良版みたいなイメージがついた可能性も。

よりレプリカチックな


ロスマンズカラーも用意されており、細部にNS500の技術がしっかりフィードバックされてはいますが、

やっぱり400。

速いかどうかよりは排気量の違い故に
本気のレプリカかどうかと言う点で真のレプリカと言われたRZV500Rや保安部品が付いたレーサーと言われたRG500Γと張り合うには厳しいと思います。

特に商業的に。

多分、現在ならレプリカをまんま出すより敢えて乗りやすく、マイルドに仕上げる手法は間違っていないと思います。

ただ、時代が異常だった。

翌年、NSR250Rでキッチリ過激なレプリカぶっ込んでくるあたりは流石HONDAですが、その成功の影に悲運のレプリカとして語られる事が多いこのバイク、私はまだ見た事がありません。

まぁ、唯一乗った事のある2ストがTZR125RRで、そのパワーと扱いにくさにビビった私としては400の2ストって聞いた時点で尻込みしますがね。


白煙を撒きつつどんな音で走るのか、一度見てみたいです。


ただ、マイナスイメージがやや誇張されがちなバイクの世界。


当時、バケモノと言われた V-maxに普通に乗っている身としては大排気量の2ストがどんな物なのか乗ってみたい気もします。




ついでにもう一台。


現在最も売れている250の先代もこの年デビュー。


 REBEL


敢えてアルファベットで書いたのは訳があります。


ホンダのサイトで年譜を見てみると・・・



レブレ?

発音が微妙なのかな?


しっかり発音すると

レブルェ

みたいな?


実際、発音を調べてみると


レェバァル。


え?

微妙なのそっち?


気になってさらに調べを進めた所、

90年のニュースリリースでは



てなってるんでただの誤植でしょうか。


それにしても、アメリカンスタイルのスポーツバイクって・・・。


話がのっけから思いっきり逸れてしまいました。


気を取り直して。


レブル。


反逆者って意味らしいです。


レプリカブームの真っ只中にデビューしたこのバイク、シートとフロントフォークとタイヤ径を変え、既存車のフレームを流用しただけのなんちゃってアメリカンが多かった時代に専用のフレームを奢られ、ロー&ロングに仕上がってます。


エンジンは空冷のパラツインで実用車250Tの流用ですが。


反逆しきってない感じはやっぱりHONDA。


いやいや、実用車譲りの扱いやすいエンジンと乗り易いポジションで速さより、フレンドリーさを求める姿勢はまさに時代への反逆者。


気楽にバイクに跨りたいライダーの支持もあったか、それなりに売れてたみたいで、国内仕様は94年までラインナップ。


93年にデビューした



 Vツインマグナと交代。

本格的なアメリカンの台頭に飲み込まれた形でしょうか。

しかしながら、そのコンセプトは現在に受け継がれ、2代目は見事にヒット。

時代が追いついたって事でしょうか。

因みに今年追加された1100は乗り味が
『 V  maxに似てる』
とのインプレッションもあり、ちょいと興味あります。

何年後か魔神に乗れなくなったら500あたりに乗ってるかも知れません。



他にも



CBX250Sとか、

(カフェレーサー以外の丸目ロケットカウルは割と珍しいかと)




GB400TT

(エキパイ2本出てるんで昔はツインだと思ってました。)



GB500TT

(以下同文)

なんかもこの年デビューですね。


ここら辺も今年人気を集めるGB350に繋がるコンセプトを感じます。



レプリカ黎明期のこの年。


レプリカとして評価されなかったレプリカ、時代に反逆を企てたスポーティアメリカン。


軽量、コンパクトで扱いやすさを全面に出したロードスポーツに伝統的なシングルスポーツ。


このラインナップの苦戦からか、翌86年にはNSR250R、CBR250FOUR、CBR400R、VFR400Z、VFR750Fと、過激なレプリカ、ハイスピードツアラー路線でガッツリ反撃。


ブームにやや乗り遅れ気味だったHONDAの

逆襲前夜


そんな感じのする1985年、HONDAのラインナップでした。