映画で観てきたよ~って方、多いんじゃないかな?
僕の周りでもそんな声をよく耳にします
それで、原作を読んでみました
戦争を知らない姉弟が自分たちの
血の繋がった祖父が大東亜戦争で特攻隊員だったことを知り
その実像に迫るが為、その祖父を知る人々を訪ね
当時の状況や兵士たちの心情を知り
ついにはその数奇な運命と縁にたどり着くという話
作者である百田 尚樹氏の
戦時中の各部隊での状況描写には、相当の取材をされ、資料を調べ上げた様が
如実に表れており、それがよりリアリティを醸し出していて
得も言われぬ迫力のある物語が展開していく
自分が知り得る当時の戦況や推移とも見事に合致し
読み進むにつれてどんどんその物語に吸い込まれていくのがわかる
そんな中でも、特攻隊員含め戦場の兵士や残された人々の気持ちが
痛いほどに心に染みてくるのである
また、戦争とテロの違いを
元特攻要員の言葉を借りて切実に訴えていることにも説得力がある
自分が特に興味を持ち、感銘したのは
日本の敗因が、アメリカとの圧倒的な物量と科学力の差であるということもそうだが
日本軍の組織構造であるという見方である
つまり、インパール作戦などが良く例として出されるが
日本軍大本営は、兵站や兵士のことを全くと言っていいほど考えない
兵を使い捨てのように考えていて、自身の身の安全と保身しか頭になかったのでは?
という論点に立っているということである
甲陽軍鑑に曰く
「人は城、人は石垣、人は堀、情は味方、あだは敵なり」とあるように
国民(領民)を慮ることを説いているし
また、三略に曰く
「将たる者は、いかなる事態にも冷静に対処するとともに、公平無私でなければならない。
よく諫言や訴えに耳を傾け、人材の登用をはかって、彼らの意見をとりあげなければならない。また、風俗人情を心得、地形を把握して地の利に通じ、しっかりと軍権を掌握しなければならない。」とある
こうした点が欠けていたのだというのである
今でいうところの官僚主義と同じではないか
こうした視点で大東亜戦を語るということは、私にとってはとても斬新である
ある意味、現代社会のあらゆる組織への警鐘であるともとれよう
映画は観てはいないが
(経験上原作と微妙に違うことがあったりであまり見る気はしないのだが)
是非とも一度は、より多くの、幅広い世代に触れて貰いたい作品だと思う
そして、
自らの命を持って、日本の国のために散華した先人たちと
凄まじい時代を生き延びた多くの人々の努力の上に
我々は生かされているのだということを
身をもって知らなくてはならない。

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