晩秋にふさわしい 念願のマーラーを聴きにいきました。
第4楽章アダージェットは、ハープとストリングスの美しい旋律 ― 恋人アルマに求婚する際に捧げたという
いちばん好きな楽曲です。
マイケル・ティルソン・トーマス率いる15年ぶりの来日となった サンフランシスコ交響楽団のパフォーマンスは
もうすばらしくて、伸びやかなトランペットのファンファーレからはじまり、ごく自然に力強く進む展開、奥底の憂い。
久しくないくらいの感動でした。
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本当に念願でした。
マーラーイヤーだった昨年、D.ハーディング指揮 新日本フィルの公演会場へ向かう日だった
3月11日、震災が起き 訪ねることが出来なかったからです。
幻しになるだろうと思ったその夜の演奏は、ステージ上の楽団員数と等しいほどの観客と、そして
被災地に向け奏でられたのこと。
まさに命がけの特別な交響曲であったとの評でしたが、
その後明らかになっていく甚大な被害から、決行の判断に躊躇いを感じていた関係者たちに、
ハーディング氏はこう残しています。
音楽は苦しみの大きさを理解するための助けになります。
あの日、マーラーを聴いたことで被災した人々の苦しみを
より深く理解できるようになったと 信じています。
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第一楽章の葬送行進曲、
痛いほどの悲しさが込められた
荘厳な楽曲から、希望に満ちた
ホルンの音色が輝く 最終楽章へと
つながります。
過ぎた時間、 様々な事柄を
あらためて思い返し、ーそれは
世の中の出来事であり、自身の事も
あるのですがー
祈るような気持ちと、ずっと止まったまま
でいた何かが動き出すような感覚を憶えた
コンサートでした。
右サイド最前列。
演者の息遣いまでもが聞こえてくる特等席だったのも興奮の要因でした。
とにかく!人生に一度ぜひ、マーラーを♪!
■Symphony No.5 Adagietto :Gustav Mahler