「君か。 チョンテウル、本当に君か。 そうなのか?」


 とても切実な瞬間がお互いに来ていた。 

その瞬間が永遠のようだった。


「来たの?本当に···来たのね?もう到着したの?」


ゴンはそのままテウルを抱きしめた。 

初めて会ったあの時のように。 


「やっと……やっと君に会えるんだな。チョンテウル警衛。」


「なぜこんなに遅かったの。 私がどれだけ待っていたか。 毎日毎日待っていたんだよ。」


全部覚えていたら、どれだけ自分を待っていたか、見当もつかなかった。 

テウルをより強く抱きしめて、ゴンは子どものように泣くテウルを慰めた。 


「いろんな事がたくさんあったんだ…。」


その夜、イリムを切り、ゴンは宮に駆けつけヨンを救った。 

ヨンは生きていて、依然として変わった歴史の中で、大韓帝国の立派な近衛隊長だった。 

復縁した両親が生んだ年の離れた2人の妹弟の兄でもあった。 

ウンビとカビのようにとてもかわいい妹弟たちだった。 

大韓帝国の歴史が変わっていなかったら、見ることのできなかった子供たちだった。 


「再び道を探さなければならなかった。 そして全宇宙の扉を開けてみた。それで遅くなったんだ。」


と言ってゴンが初めて笑った。 

テウルも涙ぐんだまま笑った。

低く優しい声が、優しい笑顔が、暖かい温もりがどれもイゴンだった。 

本当にゴンが自分のそばに来ていた。 

ゴンは人差し指でテウルの目じりを濡らした涙をふいた。 


「探しだしても覚えていないと思った。」


「それでも私を探したの?」


「私のことを忘れた君でも会いたくて。忘れていたらもう一度言おうとしたんだ。 私は大韓帝国の皇帝であり、呼んではならない私の名はイ·ゴンだと。」


テウルが小さく声を出して笑った。 

突然取り戻した幸せに満ちていた。 


「でもどうやって、世の中が違う方に流れているのに、私のことを覚えていたのだ?」


「それは省略する。私も…たくさんの事があったよ。」


イリムと共に次元の扉に入り、ゴンが過去を変え、四寅剣の使命を果たした時、止まっていた扉の中にも時間が流れ始めた。 

花が咲いて花びらがなびいた。

亀裂を出し、均衡を取りながら彼らと共にしてきた神様が、その日もたぶんテウルと共にいたのだろう。 


「今はこうさせて。」


テウルは死を覚悟した辛い選択に関する話を省略する代わりに、つま先立ちをしてゴンの唇に口づけした。 おぼろげだった感覚が完全に鮮やかになった。

ゴンはテウルの唇を開くと、その中に入り込んだ。 

ひょっとして消えるのではないかと隙間なく抱き合い、お互いの体温を感じた。 


抱き合った恋人は切実だった。 

相変わらず青い花がゴンの手にあった。 

ゴンは体を引き離し、慎重に尋ねた。 


「まだ……花は嫌い?」 


テウルはずいぶん前にもらった青い花が再びゴンの手に握られてるのを見た。 

消えていた花が、変わった未来の中で再びテウルに戻ってきた。 

テウルは明るく笑った。 


「好きだよ。特にこの花が好きだよ。」


テウルが、ゴンが差し出した花を受け入れた瞬間だった。 

ゴンがテウルの耳元近くで告白した。 


「私はまだこんなことも言っていない。愛している。君を、とても深く愛してるよ。」


「こうやって……完成するんだね。 私も、愛してる。 私も、すごくすごく愛してる。」


以前の悲しい告白がとても甘い告白になってテウルのハートを溶かした。

 

「それじゃ、私が、君の日常になってもいいか。 許してくれる?」


テウルはうなずいて再びゴンを抱きしめた。


        ♾


もしかしたらいい加減にしてというテウルの脅迫が神様に通じたのかもしれない。 


また、新しく始まった二人の時間は、これまで多くのことを省いてきた時間とは違った。 

大韓民国で、大韓帝国でそれぞれの生活を守りながらも、二人は週末になると光が漏れる扉の中に入り、誰も属さない世界で時間を過ごした。 


時には、1990年代の大韓民国でもあり、ミレニアムを目前にした大韓帝国でもあり、また他の時間と場所でもあった。 


国家情報院に就職してナリと結局結ばれたウンソプを見たり、スンアと秘密恋愛中のヨンを見たりした。 

そのように二人は一緒に旅行をした。 

もちろん、ありきたりな旅ではなかったが、一緒だったので幸せな旅だった。 

お互いの家の前ではなく、次元の扉の前まで送ってくれる日常が楽しかった。 

テウルとゴンは手を握りしめ、自分たちはまだ生まれてもいない1960年代の昔の道を歩んだ。 

ごちゃごちゃした通りには制服を着た学生たちが三々五々と群がって賑わい、映画館前のポスターは田舍臭かったが強烈だった。 


白地に黒いドット柄のワンピースを着てハイヒールを履いたテウルと、クリーム色のスーツを着込んだゴンはどこでもよく似合っていた。 


二人は成婚宣言文のように、敬虔にもお互いに約束した。 


生きている間、私たちの前にどんな扉が開かれても。 

共にする瞬間が、時にはおぼろげな方に流れても。 


私の愛どうか、疲れないように。 


そうして私たちは、私たちを選んだ運命を、愛することにする。 


今日だけ、今日だけ、永遠に。




【私たちを選んだ運命②】

ザキング永遠の君主 完