では前回の続きです。

今更なんですけど、
記事の中でめっちゃTPSって言ってますけど、
今回は割とTPSとFPSの共通部分、
というか対人型シューティングゲームについて述べている気がするので、
そこを頭の片隅に入れておいてもらえればなぁと思います。
ただ「スプラトゥーン」がTPS視点、
かつ、「対人型シューティングゲーム」より「TPS」の方が文字打ちやすいので、
TPSで統一させてもらいたいなぁと思います。


3つ目に、あくまでもTPSでないと言ったのは、
・インクを塗るブキのある1種が特異であるから
・陣取りゲームであるから

です。

では、ブキについてお話しします。

ブキには大きく3種類あります。

1つ目は「シューター」と呼ばれるブキです。
これはハンドガンのようなアイテムで、水鉄砲の要領でインクを発射します。
ボタンを押し続けることで連続的にインクを発射できます。
2つ目は「チャージャー」と呼ばれるブキです。
これはスナイプライフルのようなアイテムで、同様に水鉄砲の要領でインクを発射します。
シューターに比べ射程距離が長いですが、射撃の威力を貯めないと真価を発揮できません。
シューターが数で押すタイプなら、チャージャーは一撃に重きを置くタイプのブキと言えます。
そして、3つ目が「ローラー」です。
これは版画用ローラーや壁紙施工用ローラーのような形をしていて、
ローラー部(円柱部)にインクが付いていて、地面に転がしインクを塗ります。
同様に敵プレイヤーを轢きつぶすこともできます。
また「ローラー」自体を振ることでインクを広範囲に飛ばすことができます。

このローラーが非常に考えられたアイテムで、
・TPS初心者でもプレイヤーキルが狙えるという点
・インクを塗れる範囲が広く陣取りの貢献度が大きいため、TPSにはない達成感が味わえるという点

が、よいゲームデザインのポイントとして挙げられます。

TPSは非情に繊細なエーミング(銃の照準を敵にあわせること)スキルが必要とされるゲームで、
初心者と上級者の撃ちあいではほぼ上級者が撃ち勝ち、
初心者は達成感が中々得られません


そこで任天堂の出した解決策が、
・敵に近づいてキルを狙える武器
・広範囲に攻撃できる武器
・プレイヤーキル以外の達成感

です。
(最後に関しては、「社長が訊く」を見るとそういう意図があってローラーが生まれたと断定できないけど、結果的にそういう意図に繋がっていると思います)

この3つの解決策を持ったローラーが初心者をスプラトゥーンへと引き込んでいきます。
最初の2つがTPS本来の目的である、敵を倒すという達成感をプレイヤーに与えます。
最後の1つがTPSにはない、陣取りへの貢献度の高さによる達成感を与えます。
このプレイヤーキル以外の達成感というのがスプラトゥーンにおいて重要なゲームデザインだと思います。

ここまでの説明だとローラーは初心者向けのブキだと思われてしまいますが、
ローラーを愛用する上級者もいて非常に奥深いブキになっています。
上記の通り、近接戦闘が得意で、
インクの中に隠れてからの不意打ち、奇襲攻撃が有効で、
そこの駆け引き、読み合いが非常に重要なブキになっています。
(まぁ意外とゴリ押しでなんとかなることも多いですが)

もう一つの陣取りゲームであるというお話をしましょう。

もう一度思い出してください。
このゲーム、「スプラトゥーン」の勝利条件は
「敵チームより多くの陣地を獲得すること」です。
TPSの勝利条件の多くは「敵をよりたくさん倒すこと」とは違います。
スプラトゥーンの対戦ではキル数が少ないチームが勝つことだったあります。
陣取りゲームの戦略の選択肢として「敵を倒す」という要素があるにすぎません。

ローラーのところでもお話しした通り、
初心者にとって難しいTPSの敵を倒すという達成感とは別の達成感を与えていることが、
スプラトゥーンにおいて最も重要なゲームデザイン
の1つだと思います。

TPSでは被キル数が増えていくほど、その対戦に対するモチベーションが低くなりがちですが、
(少なくとも僕はそう感じています)
キル数ではな陣取りゲームに目的を置き換えているため、
スプラトゥーンでは一発逆転で決着が付く対戦が結構あるので、
対戦のモチベーション維持にもつながっています。

この逆転要素があるってのもなんだか任天堂らしい気もします。

またチーム戦であるため、お互いのプレイを補うことができるため、
ある程度の勝率を維持でき、勝利したという達成感が与えることができます。
これも対戦のモチベーション維持につながっていると思います。
(まぁチーム戦だからこそあるゲームの闇もあるけどねぇ・・・何とは言わない・・・)
ちなみに、マッチングは似たプレイスタイルの人同士で組まれやすいらしいです。
情報ソースがあいまいなのでわからないですが、
雑誌のインタビュー記事の写真をちらっと見たことがあります。


余談なんですが、スプラトゥーンは毎週1・2回くらいのペースで
新ブキや新ステージの追加、またはフェス開催(詳しくは調べてください)があります。
少しスプラトゥーン飽きたなぁ・・・ってくらいのタイミングで
新要素の追加が行われているので、
これもスプラトゥーンをプレイするモチベーションに繋がっていると思います。



では最後にまとめになります。

ここまで上げた工夫されているゲームデザインは
・すべてが塗るという動作に集約していることによるシンプルなデザイン
・キャラクターの特性によってエーミングを補助するというデザイン
・「隠れる」という要素を強くすることによってよりスリリングなゲームになっているというデザイン

・TPS本来の達成感(報酬)とは違う、別の達成感が用意されているというデザイン
・対戦のモチベーション維持ができるデザイン



うまく伝わったかわかりませんが、
スプラトゥーンは様々な工夫が組み込まれたゲームなんだなと思っていただければ幸いです。