皆さんは2001年に公開されたアメリカ映画「ペイ・フォワード」をご存知でしょうか。
主人公のトレバー少年が中学1年生になった最初の日、社会科の先生から課題が出されます。「もし自分の手で世界を変えたいと思ったら何をする?」彼の頭にひらめいた方法は “ペイ・フォワード” でした。人から厚意を受けたとき、直接その相手にお礼を返すのではなく、ほかの誰かに良い事をすることで厚意をリレーしていくというものです。トレバー少年から始まった厚意が次々とリレーされていき、ついには街中を変えてしまう…そんな感動の映画です。
私の提唱する “人生をリセットし、再生させるシステム” の体現者も、実は自分の人生を再生させることで同時に世の中も再生させているという、従来の概念を超えたペイ・フォワードを起こしているのです。
それは、「自分を取り巻く外側の世界は、その中心にいる自分の内側(内的バランス)の投影である」というシステムの根本原理を見ればわかります。まず、自分に起こるあらゆる事象(人間関係、経済、健康など、外側の世界)を通して、その外側の事象を作り出している自分の “内的バランス” を理解することによってバランスが整う。そして、それによって全く新しく再生した自分の “内側” が “外側の世界” に投影され、結果として “現実”が変わっていくということです。
世の中を幸せにしよう、子供たちが希望を持てる未来をつくろうという運動は、これまでも世界各地で起きています。しかし、世の中を良くするための “必須条件” が自分の人生の再生にあるとは思いもしないのではないでしょうか。
また、テレビや新聞から耳を疑うようなニュースが流れるたびに悲しい気持ちになったり、「自分一人で何ができるのだろう?」と何もできずに諦めていた人も、社会(外側)に向けていた目を自分自身(内側)に向けて、もう一度、自分の人生を見直すことにより、今すぐにでもムーブメントを起こせるのです。
そこで今回は、システムを知り人生が再生したという第三者の体験談を、いつも自分の中にある情報として熱心に読んでいた女性(Tさん)に起きた奇跡の体験を紹介します。Tさんがどんな情報をどのように受け取っていったのかという点に注目してください。
『自分の人生の”再生”が、同時に世界を変えていく』
ある体験談に触れ、ストーリーが動き出す
昨年の11月、Tさんはある女性(Aさん)の体験談に引きつけられました。実はその体験談を読み始めた時から、すでにTさんの奇跡のストーリーは動き出していたのです。
Aさんの体験談 〜父の余命〜
Aさんの体験は、両親の離婚により10年近く音信不通だった父と奇跡的に再会したというものでした。かいつまんでお話すると、Aさんは当時の家庭にネガティブな印象しかなく、心のなかで父のことを “他人” として切り離していました。
しかし、システムを知っていくうちに、自分が父(男性性)と母(女性性)のエネルギーで存在していることを感じると、それまで切り離していた父との分離感がなくなり、初めて自分の中の男性性(父)と出会えたという感覚を得たのです。
すると、間もなくしてAさんのもとに衝撃的なニュースが飛び込んできます。父が病のため余命わずかであり、最後に家族に会いたがっているというのです。Aさんの兄が偶然に街で古い知人と出くわし、父の居所がわかったことがきっかけでした。Aさんは迷わず父に会いにいくことを決めます。
〜葛藤〜
ところが、会いに行くまでの間に、今まで蓋をしてきた恐怖などのネガティブな感情が次々と噴き出してきます。しかし、そんな嫌な感情から逃げ出すことなくしっかりと味わっていくことで、今の自分の幸せは、過去の不幸をバネにして生みだした “幻想の幸せ” に過ぎないことに気がついたのです。
また、自分の周りに起こる不幸とは、自分が幸せを演じている分、それを押し出している “自分の背後に隠れた不幸” が大きく膨らんで目の前に現われているものだということも理解しました。そのとき、過去の体験によってつくられたコンプレックスが、今まで自分の人生を支えてくれていた感謝すべきものに変わってしまったのです。
〜家族の再生〜
こうして、自分の中で分離していた “男性性(父)と出会えた” ことにより、音信不通の “父を引き寄せ”、いよいよ奇跡の再会の日を迎えました。
父を囲んで家族が集まり、いろんなことを話し合い、笑い合い…辛かった過去も本当にあったのかどうかさえわからなくなるほど楽しいひと時を過ごしながら、Aさんは自分の顔を愛おしそうにのぞき込み微笑む父の姿に、初めて父の愛を感じたのです。
家族と再会できたことで父は生きる意欲を取り戻し、いつ命が絶えてもおかしくない状態から奇跡的に快復し、活き活きと暮らしています。また、父の見舞いに集まった母や兄弟たちも、その日を境にみんな変わっていきました。
Tさんも、父の存在を切り離していた
Tさんにとって、この体験談はまさに自分の中にある情報でした。実は33年前に両親が離婚して以来、父とは一度も会うことなく過ごしていたのです。当時、Tさんは中学1年生でした。
その歳にもなれば、両親が離婚にいたった事情ぐらいはわかります。父だけが悪くないことも理解していたTさんは、父が家から出て行く日に、せめて見送ろうと玄関まで出たのです。
「父は私にどんなことを言ってくれるのだろう…」
Tさんは父の言葉を待っていました。しかし、父は一度も自分の方に振り返ることなく、そのまま出て行ってしまったのです。何か言ってくれるだろうと信じていたTさんに残されたのは、深い心の傷でした。
今なら、あの時振り返ることのできなかった父の心情を理解することはできても、まだ子供だったTさんには理解できません。
「私はお父さんに捨てられた…」その時から父と娘の時間は止まってしまったのです。
両親の離婚後、戸籍上は母の兄夫婦の養女になり、Tさんは母と暮らしていました。父のことを恨むことはなかったものの、 “父に捨てられた” という辛い感情に触れるのが怖くて、心の中で父の存在を切り離していました。
父が京都で暮らしていることを知っていたので、日本地図から京都を外してしまうほどでした。しかしTさんは、33年間経っていても、最後に見た背中、着ていた背広の色から生地の質感や匂いまで、父のことを鮮明に覚えていたのです。
自分事として癒される
そんな悲しい過去を持つTさんでしたが、Aさんの体験談を読んで自分の体験と重なり、Aさんの父に自分の父を感じました。そしてAさんが父と再会できたことや家族が過去のしがらみから解放され笑い合えたこと、病が快復したことを、まるで今自分に起こった出来事のように喜び、涙し…自分が救われたように癒されたのです。
「お父さんは今どうしているのだろう…」
心の中で切り離していた父に再び愛おしさを感じたTさんに、このあと信じられない奇跡が起こります。
(シリーズ後半へつづく)
いかがでしたでしょうか。
感じるポイントが幾つもあったかと思います
本日も心から愛と感謝を込めて・・・