最近友人からこういうメールを受け取りました。
「ホワイトカラー・イグゼンプション」をどう思いますか?
改正労働基本法案から外してほしいものです。
はっ
 えっ![]()
   あちゃあ~~~![]()
これは世の中に充分な理解を得ていないのだなぁ・・・
そう感じていました。
昨日、安倍首相は「ホワイトカラー・イグゼンプション」の次期国会への提出見送りを表明しました。
郵政法案のように、国民の理解を得られないまま採決にもっていく理由はありませんから、それでいいと思います。
けれどそもそもマスコミの取り上げ方に問題を感じます。
マスコミは「ホワイトカラー・イグゼンプション」のことを=「残業代カットの制度]と評しています。そんな言い方されたら、誰だって嫌ですよね![]()
私はこの制度に最初から違和感を感じておらず、ある意味無関心でもあったのですが、悪いとは全く思っていません。
「ホワイトカラー・イグゼンプション(White Collar Exemption)」とは訳せば『ホワイトカラー労働時間規制適用免除制度』ですから、「残業代カット」と言いたくなるのだと思うし、確かに、聞き手にセンセーショナルにウケる表現で注目を集め易いでしょう。
ですがそれって正しいですか?
欧米では広く導入されているこの制度を日本にも導入しようという経団連の提言で、昨年暮れの12月27日、労働政策審議会労働条件分科会で原案が示され、今年通常国会に提出される予定でした。日本にはあまり馴染みのない仕組みですが、これは労働時間の長さが給与を決めるのではなく、その働き方と成果に対して給与路支払う仕組みです。
企業側のメリットは、残業や休日出勤の割増賃金を支払うことがなくなり、試算では約11兆6,000万円もの人件費が削減でき、また残業の有無による給与変動がなくなるので、経営計画を立て易くなるなどの利点があります。
従業員側のメリットは、自分に与えられた仕事を効率よくこなせば、それだけ早く帰宅することも可能で、考えようによっては、ブロードバンド化によって、必ずしも出勤せずともよくなるのです。許されれば複数の仕事を持つこともできますし、家族との時間を多く持つことも可能です。自分の時間を持つことができ、かつて昭和の時代は「企業戦士」という言葉がありましたが、既にそのような時代は去り、現代に適したライフスタイルを送ることが時間的に可能になります。
ただ、制度導入に反対の理由としては、長時間労働や休日出勤が当たり前となり、また、残業代がないと結果的に収入が減り、生活を維持できなくなるという懸念が起こっています。
私の友人知人の経営者たちは、従業員が残業を行えば、残業代をお支払いするのは当然だと発言します。その考えがあれば、それは残業代という名称ではなくても、報酬に反映されるでしょう。私もそのつもりです。会社の繁栄に貢献してくれるスタッフには充分な褒賞をお支払いし、更に働いてもらいたい気持ちと、繁栄の恩恵を充分に満喫してほしい思いがあります。
中小企業などでは既にサービス残業は恒常化し始めていると聞きます。
それを黙認するよりは、経営側の計画の及ばない残業代の負担により、企業の能率が悪くなってしまうのを改善し、繁栄による恩恵を末端までが享受できる環境を作る方がよいのではないでしょうか。
それが私の考えです。
実際、収入が減少すれば消費が落ち込み、景気悪化にまで発展すれば、企業にもダメージを与えます。
経営者は、従業員に支払うべき人件費を減少させるのではなく、今まで残業代として支払っていた報酬を、基本給のアップや、ボーナスに反映させて支払うという方法の転換を提唱しているのが、「ホワイトカラー・イグゼンプション」であると認識しますし、そうでなければならないと思っています。
ここで問われるは個人の能力であり、経営者、幹部、管理職の能力でしょう。
新しい動きには不安や反対がつきまとうものです。かつて男女雇用機会均等法が成立したときもそうだったのではないでしょうか。私はその時代をリアルタイムで経験し、記憶していませんが、最初からみんなが賛成し喜んだのですか?
しかし今や当たり前の認識です。
「ホワイトカラー・イグゼンプション」も、正しく行われ、適切な評価を得ることが出来れば、やがて定着するときが来るのではないかと思います。
企業の業績が悪いときには、従業員にも痛みを与えてしまうことがあるかもしれません。しかし業績が好転すれば従業員も恩恵を充分に受けることができますし、いつまでも好転しない企業や、好転してもそれを従業員に反映しない企業には、従業員も愛想を尽かすでしょう。
日本人も「自立」の時代を迎えたように思います。
古くから封建的社会にあり、その制度の中でぬるま湯に浸かった感覚が平常化していますが、自己で責任を持ち行動するときが来ようとしているのでしょう。それには、意識の変化も必要になるでしょう。
これは企業と従業員間の信頼の上に成り立つ制度とも言え、これからは誠実な経営者、心ある経営者が従業員の支持を得る時代になるでしょう。企業側、従業員側、双方に本物が求められる時代になっていこうとしていると感じます。
「ホワイトカラー・イグゼンプション」が良い方向に機能し、日本人の生活が豊かになることを願います。