1月7日、カトリック教会では「主のご公現」の祭日を迎え、クリスマス・カレンダーの終わりを告げます。

我が家でもこの日、総てのクリスマスの飾りを外します。


「主のご公現」というのは、ベツレヘムでお生まれになったイエス・キリストの元に、星に導かれて東方の三博士が拝謁にきたことを記念した行事です。

博士たちは伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金乳香没薬を贈り物として献げました。

<「新約聖書」マタイによる福音 2:1-12より>


この様子は、キリスト教でクリスマスの季節になると飾られる馬小屋の模型(プレゼピオ)の中にも、贈り物を携えた三人の人形が飾られているので、なんとなくご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?


三博士の名は、西洋では7世紀から次のような名が付けられています。

メルキオール(Melchior)・バルタザール(Balthasar)・カスパール(Casper)。


メルキオール(Melchior)は青年の賢者(王)で欧州を表徴し、王権の象徴である黄金を奉納します。


バルタザール(Balthasar)は壮年の賢者(王)で、アフリカを象徴するので、絵画などではしばしば肌が黒く描かれ、神性の象徴である乳香を奉納することで、父なる神への礼拝の証としています。


カスパール(Casper)は、絵画などではキリストに一番近いところに位置して礼拝する様子が描かれる老人の賢者(王)で、アジアを表し、遺体の防腐剤にも用いられた没薬(もつやく)は将来の受難である死の象徴として奉納されました。



乳香は樹木から取れる樹脂で、乳白色なのでこの命名となったようです。

東アフリカ地域で採取され、鎮痛、排膿、止血作用があり、主に膏薬(狗皮膏など)の原料として使われ、古代エジプトでは神に捧げるための神聖な香として用いられていました。

コミック「王家の紋章」の中でも、ソマリアが飢饉に喘いで助けを求めてきたとき、ファラオ・メンフィスは乳香の貴重な産地を助ける為に食料庫を開くという内容があったのを記憶しています。古代の頃からソマリアは飢饉に苦しんでいるのだと知り、記憶している内容です。


没薬も樹木から分泌する樹脂で、古くから香として焚いて使用されました。また殺菌効果があることから、鎮静薬・鎮痛薬としも用いられ、没薬を意味するミルラ(あるいはミル、Myrrh)がミイラの語源でもあるとされていますが、古代エジプトでミイラ作りの際にも防腐剤としても使用され、『聖書』の中でも、イエス・キリストが埋葬の際没薬を含む香油を御体に塗布したと記述されているように、防腐効果の高いものでした。


この奉納の習慣がクリスマスの贈り物の習慣につながり、ごミサの中の奉納の儀はこれを意味しています。


カトリック教会では主の公現を一般的に1月6日としていますが、日本ではそれを祝う習慣が固定的でないので、1月2日から8日までの中の日曜日を、この祭日としています。国によっては12月25日よりも、この日を重視します。