クリスマス会の一件があり、結局、父は施設を拒み続け、これまで同様に自宅での老々介護に戻ってしまいました。


そんな父がまだ元気だった頃の話です。


父はオシャレでキレイ好き。
器用で何でもできました。
石を積上げ、流れる滝風呂をこしらえたり、離れ家を建てたりもしました。

そんな父が、ある日体調を崩し寝込んでいました。
心配した母や私が、病院に連れて行こうとしても嫌がります。

でも全然よくなりません。
悪化する一方です。
見かねた母が兄に連絡し、駆けつけた兄の説得で、やっと病院へ行く気になってくれました。

すぐに出発しようと言う兄の前で、着替え始める父。

兄:「オヤジ、そんなん、どうでもええから、はよ行かな。」

父:「ちょっと待ってくれ。ゼイゼイ…
母さん、あのチョッキどこや。ゴホゴホ…」

あのチョッキ…というのは、父の一番のお気に入りで、ここぞという時に着ている一張羅のチョッキ(ベスト)のことです。

なんで病院行くのに、ここぞのチョッキを着るのか意味不明😓

でも、それを否定したら、機嫌を損ないかねない。
病院に行かないと言いかねない。

母は慌てて箪笥からチョッキを出し、父はそれに合うシャツとズボンをコーディネートして、やっとこさ兄の車に乗りこみました😮‍💨

こんな時にまで、オシャレにこだわるんか!
呆れてものが言えません。

既にゼイゼイ肩で息をして青い顔をし、足元はふらついてています。

病院に着いた父はトイレに寄りたいと言いました。
男子トイレに父と兄が入ってすぐのこと。

兄:「オヤジー!!」

と叫ぶ声が響き渡りました。

父が意識を失って倒れてしまったのです😱😱😱

慌てて看護師さんを呼び、お医者さんも駆けつけ、トイレの床に倒れた状態で、救命措置が行なわれました。

その際、お医者さんの指示で、一張羅のチョッキもシヤツも、ハサミで切り裂かれました👕✂️

そりゃそうです。
命を守るための行為です。

素早い措置のお陰で一命をとりとめ、しばらく入院となりました。

数日後、意識が戻った父に、

私:「ほんま、倒れたんが病院でよかったで。家やったら危なかったかもしれん」

…と言うと

父:「全然覚えとらん」

母:「あんた、倒れる寸前やのに、わざわざ着替えて行ってからに〜」

父:「あぁ、あのチョッキどうなった?」

母:「そんなもん、切り裂かれて捨てたがな」

父:「………。」😨😨😨

父にとっては、自分の命が大丈夫だったことよりも、お気に入りのチョッキが切り裂かれたショックの方が大きかったみたいです(笑)

退院祝いに、兄と私で似たようなチョッキをプレゼントしました☺️

実はこのチョッキ、父の葬儀の時に棺に入れてあげたんです。
向こうでも、お気に入りとして、愛用してくれているかな?👴