(「僕も、実は最低地上高が結構低いんですよ」とビーグル犬まろさんオス10歳)
東京国税局が税金滞納者から差し押さえたフェラーリがインターネットオークションに出品されました。
フェラーリの車種は488ピスタスパイダー、488という名前は1気筒あたり488ccという意味で、このエンジンは8気筒なので488×8で3900㏄の排気量になっています。「ピスタ」はイタリア語で「サーキット」のことらしく、「スパイダー」は自動車の用語では普通にオープンカーのことですね。
さて、最低入札価格は過去も含めた最高額となる5680万円だそうです。オークションへの参加の申し込みは、8月23日午後5時まで、入札は9月6日、実は8月9日午後1時から入札の参加申し込みがオープンになっていました。このフェラーリは限定モデルと言うことで、市場では9000万円から1億円程度で取引されるものなので、買い手がつけば最低入札価格よりだいぶ上になるそうなのですが、さて。
((東京局3183-8)動産 (自動車類、250cc以上)詳細|公売情報 (nta.go.jp))
フェラーリというのは「たくさん作ってたくさん売る」というスタンスではなくて、需要よりも少なく作り、価格を維持するみたいなことをするそうなので、中古車価格が安くならないそうなのです。Webで調べてみると、そもそもが素(す)の状態で新車価格が4,454万円だそうなので、なんらかのオプションが付けられているかもしれないけど、中古でも素の状態よりは既に大分高いようです。フェラーリ社は...本当かどうか知らないけどフェラーリが「この人はフェラーリを買って良い」と認めた人にしか売らないというそうなのだし、そもそもが納車までに2年とか相当な時間がかかるそうなので待ちきれない人、或いはフェラーリ社に顧客だと認められない人は中古のフェラーリを買うとか、なにやら普通に自動車を買うのとは別のマーケットがあるようで、なかなか面倒くさいのです。
そう言えば、「フェラーリ」という映画を先日見たのですが、その中で
「フェラーリは(レースで)走るために(市販車を)売る、ジャガーは(市販車を)売るために(レースで)走る」なんてセリフがあって、まあそうかもしれないけど、それって、フェラーリオーナーを単にカモにしてるのではないだろうかと思ってしまいました。
私の人生にそもそもフェラーリは関係ないけど、子供の頃に憧れたようには「フェラーリ崇拝」みたいなものもなくなりました。実際問題、日本の道路を普通に走るだけでも幅が広い自動車は狭い道のすれ違いとかなかなかに気を遣うのに、このオークションのモデルなんて幅197㎝は随分と幅広いし、最低地上高も今のうちの自家用車が11㎝だったと思うけれども結構低いので、段差があるところはかなり気を遣う場面があったりするし、立体駐車場によっては最低地上高で撥ねられるのもあるのです。で、おそらく最低地上高はフェラーリのモデルの方が低いだろうから、こういうのってどこで乗るんだろうと思うのです。段差のところで腹を擦るとかバンパーの下のところを擦るとかやっちゃうと、とても悲しいだろうし。最低地上高が低い自動車は、たとえば道路からレストランの地下駐車場に降りていくスロープの角度が急だったりすると、そこのところで自動車の下腹を擦るかもしれないので、そういうところは注意深く避けざるをえないし。これ、お金があるとかないとか修理代がかかるとかかからないとか、そういう問題ではなく単純に「自分の愛車を傷つけてしまう」という経験は、もの凄く悲しいという気がするのです。私に免許が無くて、自動車を運転しない人だったら、おそらく呑気に「フェラーリはカッコいいなあ、憧れだなあ、いつかはフェラーリに乗れるような大金持ちに...」ってずっと思っていたかもしれないけど、運転するようになってからは、お金の問題とは関係なく、なかなかそういう子供の頃の純粋な憧れを持ち続けることができなくなりました。そもそも先立つものが無いというのも大きいにしても。
こういう気持ちって、子供の頃はもう単純に造形的に非常に美しい、海外の西洋人の女優さんを映画で見たりして「美人だなあ...ああいう人と結婚したいなあ」なんて漠然と思っているものが、大きくなってさて相手を探すとなると、身近な誰かの方がむしろ気持ち的に好き、自分にはこの人って思うようなものでしょうかね。憧れはあくまでも憧れであって、それを現実にしてもつまらなくなってしまう。
とはいえ、私とは全く価値観の違う方々が入札に参加するのでしょうし、「オーナーが税金が払えなくなったので差し押さえられた」みたいな縁起の悪さを全く気にせずに買える、買おうとする人たちって、どんな心のタフな人たちなんだろうと思うのです。