(「人間は『新しい』ことに価値を見出す人が多いけど、僕は『いつもと同じ』に価値があると思うんです」と語るビーグル犬まろさんオス10歳)
新しいお札が発行されたのが、もう1ヵ月以上前の7月3日でした。
わざわざ銀行に並んでまで新しい札を拝みたいというマニアの方々がいるという報道がなされていましたが、少なくとも私はそういうことに興味が無いので「いつか新札を拝むかもしれないけど、そのときまで別になにもしない」という構えでいました。よく高速道路のどこだかの区間が新しく開通するとかそういうタイミングで一番乗りしたい人が並んでまで開通を待つなんてこともしますが、あれもその道路を使う機会ができたときでいいやと思います。
新札発行後に街中ではお札を扱う機械で「新札しか受け入れない」なんてものまであらわれ、それが行きつけのパン屋さんだったから「機械も対応しないといけないし、なかなかにコストがかかるもんだな」と思いました。機械入れ替えとかのビジネスで儲かった会社とかもあるのでしょう。
通常の買い物はほぼ全てクレジットカードでおこなうのでなかなか現金を使うこともなかったのですが、いよいよもうそろそろ現金をATMで引き出さないといけないかなという手元の金額になったので横浜に出かけたついでに現金を引き出しました。
「あれ?」
最初、そう思いました。いつもと様子が違う。ピン札が出てきたのだけど顔が違う。偽札?
「あー、そういえば...」
と、直ぐに分かったのですが、最初に見たときは驚きました。福沢諭吉さんでなく渋沢栄一さんでしたから。
栄一さんとの出会いになんの期待もしていなかったので「ラッキー!」と思いました。新札に思いもかけず出会ったのみならず、まっさらの誰も使っていないであろう新しいお札が出てきたものですから。東京で勤務していたときに東京の街のATMで現金をおろすとまっさらのお札が出てきたことがしばしばあったのですが、今回はそれと同じ、やはり大都会の銀行でお金をおろすとまっさらのお金が出てくることが多いということの証明みたいです。
偽札対策とか技術の進歩と言うのか、栄一さんの方が諭吉さんより幾分か細工が細かいような気がします。特に新札は3Dホログラムが売りの一つみたいです。その反動か、素っ気ない「10000」のフォントが「子ども銀行券」的な風情を醸し出します。
新札は裏の「10000」という数字が妙に大きく感じます。これをデザインした人は大胆な人だったのかもしれません。素っ気ないフォントだけになおさら大きさが目立ちます。一方、東京駅の駅舎はなかなか細密です。
もちろん、そんなことよりも色々な技術が詰め込まれたことは国立印刷局の特設サイトに沢山書いてあるようですので、興味のある方はそちらをご覧ください。
お札の通し番号ですが、諭吉さんは頭2桁が英字、中間6桁が数字、末尾1桁が英字の合計9桁、栄一さんは頭2桁英字中間6桁数字までは同じだけど末尾の英字が2桁に増えて合計10桁になったようです。アルファベットはIとOが1と0と間違えやすいのでIとOを除いた24文字を使うそうで、中間の6桁は000001~900000の90万とおりを使うそうです。だから、新札の通し番号は24×24×900000×24×24=2,985億 9,840万で一巡するそうなのです。
ちなみに、諭吉さんは最後の英字が2桁でなく1桁なので、同じように中間の6桁を000001~900000の90万とおりを使う決まりであったのなら、栄一さんの24分の一である24×24×900000×24=124億4,160万*1で一巡することになります*2。
*1:日本銀行の解説ページ(お金の話あれこれ(1) お金の豆知識 : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp))を見ると、「129億6,000万で一巡」と書いてありますが、そうするとどこかの英字の桁で英字24文字でなく英字25字を使っていることになります。アルファベットは24文字のみ使うというルールに反するのでおそらく単純な計算間違いではないかと思うのですが...
*2:一巡後は、番号の色を変えて表示するそうです。
それで、調べたら諭吉さんの製造の最後の一万円札の通し番号は、「ZE300000X」で、わりとギリギリであったようです。というかそうなるように発行が計画されたのでしょう。この最後の印刷のお札は日銀の植田和夫総裁から慶應義塾大学の伊藤公平塾長に7月3日に手渡され、福澤諭吉記念慶應義塾史展示館というところで7月4日から展示されているそうです。
しかし、お札一つでなんだか嬉しい気持ちになった自分も単純だなあとあらためてえ思ってしまいました。