(「僕はよくご主人様に頭が良いと褒められます」とうれしそうなビーグル犬まろさんオス10歳)
文部科学省が2024年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表しました。今年も報道機関によって、
長文・記述式の正答率が低いとか、読解力が低い、それはSNSの影響なのかという報道がなされています。
私もそういう説にはとりたてて反対する理由もないわけで、まあSNSとかで
「り?」
「り!」
でお互いに成り立つコミュニケーションみたいなのに慣れてしまえばそうなるよなあと思うのです。数行の文章でも「長文。もっと簡潔にしてくれ」とか言う人もいるわけで、そりゃ長い文章を理解しがたくなるだろうな、と思います。
しかしそんな調子で勉強やってたら、大学入試のときなんかは国語も英語もかなり長文の問題がでるだろうし、「長文ウザい」なんて言ってる人たちはどうするんだろうと思います。
それはともかく、元の発表資料に触れてみると「SNSや動画視聴の時間が長いほど、成績が低下する」という報道の他に、まだ重要なことが報道されていないのだなと分かりました。
まずは報道されてるような当たり前の結果から。
「普段(月曜日から金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、テレビゲーム(コンピュータゲーム、携帯式のゲーム、携帯電話やスマートフォンを使ったゲームも含む)をしますか」という質問に対して、その時間と平均正答率との関係をクロス集計した結果があります。これは基本的に日本全国の中学3年生と小学6年生に対しての全部に訊いています。この質問に対しては、「テレビゲームの時間」という題でグラフ化しました。小学生も中学生も、テレビゲームを長くしない方が、回答率(成績)が良い、これ当たり前です。
もう一つ、当たり前の結果。
「普段(月曜日から金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴などをしますか(携帯電話やスマートフォンを使って学習する時間やゲームをする時間は除く)」という質問に対して、「携帯/スマホでのSNS視聴時間」という題名でグラフ化しました。
これも携帯やスマホでSNSや動画視聴をする時間が長ければ、つまっり勉強をサボってるんだから勉強ができなくなるのは当たり前という結果なんだから、当たり前でしょう。
でも、次の結果となると「うん?」と思います。
「学校の授業時間以外に、普段(月曜日から金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、PC・タブレットなどのICT機器を、勉強のために使っていますか(遊びなどの目的に使う時間は除く)」という質問で、長いので「ICT機器を使った勉強時間」と題してグラフ化しました。
そもそも文部科学省はGIGAスクール構想というものを推進していて、生徒たち一人一人に端末を渡して勉強させるのが国策だと言っているのです。
一人一台の端末を用いてみんな勉強するのは効果的だと。そのはずだと。
それで結果をグラフ化すると、この場合「全く使っていない」は別にして、PCやタブレットを学校の授業時間以外に使えば使うほど、成績が悪い、平均として正答率が低くなるというのです。「全く使っていない」は地域の整備状況とか対象者の経済状況とかも要素としてあると思うのですが、それを別にすると「ICT機器を授業時間以外に自主的に使えば使うほど成績が悪くなる」というのは、「一人一人にICT機器を配る」構想と実践ではちゃんとした説明が必要なんじゃないのかなと思います。ICT機器を長時間使って成果がでないとしたら、ネットサーフィンとかで勉強以外の話題にそれがちで、「勉強に使ってる」という意識とは裏腹に本来はサボってる時間になってしまうのに本人は気がつかないで勉強してるつもりとか、「そもそも学校の授業で分からないのをICT機器でなんとか分かるようにと生徒が色々と調べるから時間がかかる」とか、色々と憶測はできますが、何か正確なことを言えるデータはなさそうです。
でもそういうのはなかなか報道されませんね。SNSが悪い、動画を見るのが悪い、ゲームが悪い、は単純だから報道する。ICT機器を学校以外で自主的に長く使うとかえって成績が落ちる、と報道してしまうと色々と都合悪いからかな。