生まれてこのかた
ボブ・ディランを真剣に聴いたのは
唯一、アルバム【DESIRE】だけなのですが。
のっけから恐ろしいくらいの歌唱で迫りくる
【ハリケーン】。
〜冒頭の歌詞をご紹介〜
夜の酒場で銃声が響く
パティが階段を降り
血の海の中のバーテンを見る
「たいへん みんな殺されてる!」
ハリケーンの物語のはじまりだ
権力者たちによって 罪を着せられ
無実でぶち込まれた
かつては世界王者にも なれたはずの男
冤罪で裁きを受けた黒人ボクサー、ルビーン・“ハリケーン”・カーターがテーマであり、曲名の「ハリケーン」はこのボクサーのリングネームから取られたものだそうです。
ある夜半、バーで男女4名が撃たれるという事件が発生しました。
この件で黒人ボクサー・ルービンに容疑がかけられ、結果、彼は終身刑を宣告されました。
しかし、これは人種的偏見に基づいた冤罪であることが後に明らかになったものです。
無罪釈放を勝ち取るまでに22年という長い時間を要したそうで…
ステージでのディランは、その愚かな冤罪を仕向けた輩に皮肉を込めて、顔を白塗りしてこの曲を歌っていた記憶があります。
描写の鋭い歌詞がグイグイと迫ってきます。
他にもなんだか物悲しくてミステリアスな曲…
【コーヒーもう一杯】
さらには【モザンビーク】なんて、私が持ってたディランのイメージをひっくり返すような明るい曲でした。
美しく悲しいラブソング【サラ】
【DESIRE】という名盤
今なお、大切に聴き続けています。