とあるバンドのお話。
彼らの奏でるメロディを聴くと、本人たちに聞いてみたくなる事がある。
それは、彼らが生み出す心の琴線に触れるような狂おしいほどのメロディの源泉はどこにあるのか、と。
そんな音楽を身上とするバンドが新たな作品をまた一枚作り上げた。
そのバンドの名はNovembre。作品名は「The Blue」。$maroonhateさんのブログ
カメラ「The Blue」

一度は活動をやめていたかに思えた彼らは、密かに地道に活動を続け、素晴らしい作品を作り上げた。
↓彼らのサイト。↓
http://www.novembre.co.uk/

Novembreは、デビューした時から俺にとって切っても切り離せない存在にまでなり得た、今では中堅クラスのメロデス/ゴシックバンドである。

実を言うと、このバンドと知ったのはそれほど偶然ではなく、自然の流れで彼らの楽曲に出会う。
今思えば、90年代のメロデス勃興期とも言える時期にあって、当時いくつか現れ始めた初期メロデスバンドの中でも、イタリア出身のバンドというのは数が少なかったと思う。
数はそれなりにあったのかもしれないが、多く知られたメロデスバンドの出身は圧倒的にスウェーデン出身が多かった。いや、注目を浴びていたのが専らスウェーデンのバンドが多かったというのが正しい説明だろう。
それからフィンランドのバンドも数多く頭角を現しては来ていたものの、やはり多く知られるバンドの出身はスウェーデンであった。
分かりやすく、馴染みやすいメロディの洪水の元、ブルータルなサウンドを纏いながらも美しくも切なく聴き手を包み込むことで曲の美しさを助長し、魅了させるほどに心に訴えかける作風が、デスメタルの存在を強烈にアピールさせるほどの印象を生み出す。そういった事から、メロデスというサウンドは多くのリスナーの市民権を獲得する事に成功する。
いまでは当時の勢い程まででは無くなったものの、まだまだメロデスの人気は高い。自分自身も、出会ってから10数年経った今でも魅了される曲に出会う事は多い。それは長く活動するバンドでも新たにデビューするバンドでも代わりはない。誰がなんと言おうと、いいものはいいからだ。
ではNovembreはどちらかと言うと、前者に当たる。活動暦はもう10年をゆうに超えるベテランの域に達したバンドである。
このバンド、メロディの煽情力は半端じゃない。それは3作目「Classica」で証明されている。どこにこれほどまでに狂おしいメロディを生み出せるアイデアが沸き起こるのか。奇跡的ともいえるほど、彼らのメロディは「泣いている」のだ。いやむしろ「泣き」にこだわっているとさえ思わせるほどだ。$maroonhateさんのブログ
カメラ「Classica」

ではその「Classica」について少し触れみる。

「Classica」でまず語られるべき曲といえば、#2「Tales From A Winter To Come」と#9「Winter 1941」に尽きるだろう。特に「Tales From A Winter To Come」の後半から終わりまでに紡がれるメロディの、まるで洪水のように溢れかえるそのギターソロは筆舌に値するほどの煽情力を持って聴き手を圧倒するほど強烈である。
圧巻なのはそのギターソロの長さと、ギターソロの始まりから終わりにかけての展開が凄まじく盛り上がっていくところにある。まさにその美しさに心は奪われてしまうといったところか。4:32からラストにかけて乱舞するそのギターソロはインパクトありすぎるほどに熱いものを感じさせる。
今話した曲以外にも、「Classica」には聴き手を魅了するメロディに満ちた曲は多い。2nd「Arte Novecento」と比較しても、作風の違いはあれど、かなりメロデス風味になった「Classica」は、メロデスに没頭していた人にとって珠玉の一作となったと言えるだろう。

さて、話を「The Blue」に戻します。
「The Blue」についてどんな作品かと語るならば、やはりメロディの豊潤さは語る必要も無いくらい潤沢である、というのが大きな特徴である。今までの作品よりも曲の雰囲気が悲しみに包まれているといった印象である。
相変わらず暴虐的なデス声を多用しながらも、バックに滾る悲しみに満ちたメロディが漂う雰囲気の中では、心を奪われ、そしていつの間にか引き込まれてしまう。それほどまでにこのアルバムのメロディが放つ魔力は強烈だ。苦しくて苦しくて。切なさ持って曲の悲しみをこれでもかといわんばかりに訴えかけてくる。徹頭徹尾広がるその悲哀に満たりしその世界観は、胸につきさる程の慟哭をもってして聴き手を悲しみのどん底に突き落とす。しかし、優しささえを感じさせる美しき世界もまたこのアルバムに収録されている曲には内包されている。
このアルバムはとにかく悲しくて狂おしいメロディばかりが詰め込まれた作品である。その世界観は尋常じゃないほどに悲しみに包まれている。一度聴いたらその悲しみを味わう事になるだろう。それを理解したうえでこの作品に興味をもたれたのであれば是非薦めたい一枚なのである。