築地市場全景
今日17日、区議会企画総務委員会で請願第4号「築地市場の豊洲移転を中止させ、食の安全・安心を守ることを求める請願」の審議が始まりました。
紹介議員を代表して、日本共産党の加藤ひろし議員が請願の「補足説明」を行い、請願者からも補足の発言がありました。
奥村あきこ委員から請願者へ質疑があったほかは、他の委員から発言がなく、請願は「継続審査」となりました。
加藤議員の「補足説明」を紹介します。
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今回提出された請願は、「食の安全・安心を守るため、土壌汚染の深刻な豊洲への移転計画を中止するよう、東京都など関係機関に働きかけてください。」という主旨です。
これまで、一貫して築地市場の豊洲移転に反対し、現在地再整備を求めてきた日本共産党中央区議団として、本請願の「豊洲への移転を中止するよう都や農水省など関係機関に働きかけてほしいという」趣旨に、大いに賛同するものです。
以下、請願理由に沿って補足説明を述べさせていただきます。
第一に、「生鮮食料品の市場として何よりも大切な安全・安心が保障できず、東京都の土壌汚染対策は破たんしている」という点です。
ご承知の通り、東京都が3カ月に一度行っている地下水調査、今年7月5日公表の豊洲市場の地下水調査、3月~5月の結果は、46地点中、ベンゼンは23か所で基準値を超えました。最高濃度は基準値の140倍で、前回、前々回の数値を上回っています。
シアンは22地点で基準値を超過し、最高値は13倍。土壌汚染は、一向に改善されていないことが明らかになっています。請願の要旨で述べているように「豊洲新市場予定地の地下水には、いまなお高濃度の有害物質が残ったままです。」土壌汚染が広範囲に及んでいることを示しています。
先の全員協議会において、わが党の志村議員の「土壌汚染対策」の質問に対して、都の担当者は「大きな変化はない」としか答えませんでした。常に地下水から環境基準の100倍を超える揮発性のベンゼンが検出され続けていること事体異常なことです。
依然として地下水から環境基準を超える有害物質の検出は、仲卸業者の営業にも大きな不安を与えています。給食関係の事業者などから「豊洲からは仕入れはしない、太田や足立市場から仕入れをする」との声が上がっています。豊洲へ行っても今迄通りお客さんが来てくれるのかという不安の声が寄せられています。
第二に、「東京都は、土壌などの安全性を確認・検証する責任がある」という点についてです。
豊洲新市場を開設するに当たり、農水省は、東京都に対して「安全性が科学的に証明されること」を求めています。東京都は、市場関係者や消費者に安全性を証明する責任があります。土壌から汚染物質を完全に除去できず、食の安全・安心が保障されなければ、市場としての機能を果たすことは出来ません。
第三に、豊洲新市場の「使い勝手の悪さ」という点についてです。
豊洲新市場で、仲卸業者などの参加のもとで「習熟会」が行われております。
スピードが命の市場が、上下の移動や建物間の移動など、築地市場と比べて4~5倍の時間が係るという問題。駐車場の不足や積み荷の上げ下ろしの問題。交通インフラの問題等、どれも解決していません。このまま豊洲新市場を開設すれば大混乱は必至です。都民の台所を直撃することになります。
第四に、「築地市場が中央区にあることによる「経済波及効果は2兆円を超える」、また「築地市場は、中央区の地域経済に多大な貢献をしている」という点についてです。
築地市場の影響は、京橋・月島・日本橋と区内全域にわたっており、委員のみなさんの知り合いや飲食店の方たちの中には、必ずと言っていいほど築地市場とつながりを持っている方がいるはずです。区民生活と築地市場は、密接な関係があり、中央区の歴史や文化をともに育んできました。
築地市場、築地場外市場、築地の街、銀座・日本橋が、一体となって「築地・食の文化」「築地ブランド」を作ってきたのではないかと思います。その本丸である市場が移転すると中央区にとって貴重な経済・流通の拠点・観光資源を失うことになります。都内の鮮魚店や飲食店が、「新鮮・築地直送」という看板から「新鮮・豊洲直送」と変えたとき、区民・都民はもとより、訪日外国人の人たちにどのような印象を与えるでしょうか。築地市場がなくなることによる、ダメージは計り知れません。
第五に、「かって中央区は中央区議会とともに、「移転断固反対」の姿勢を鮮明にして活動してきた」という点についてです。
これまで、東京都が強引に移転を進める中で、当初は、区とともに区議会も「築地市場移転に断固反対する会」で活動し、「新しい築地をつくる会」に改組された以降も現在地再整備を東京都に求めてきました。その原点をもう一度確認し合うことが大切だと考えます。
豊洲新市場への移転まで3か月を切っていますが、市場関係者や消費者から移転の中止や凍結を求める声が大きくなってきています。仲卸業者らが6月21日に、築地市場営業権組合を結成し、営業権の保障を求め立ち上がりました。市場流通を担う仲卸業者の理解は深まるどころか、移転への不安や東京都への不満は充満しています。
東京都は、スケジュール通りに何が何でも移転させようとしていますが、10月11日開設の大前提である引っ越しの準備が仲卸業者まかせであり、引っ越しが滞りなくできる状況なのかの把握を東京都が出来ていない、やろうとしていないことも、全員協議会であきらになりました。引っ越しも豊洲での営業も「やってみなければわからない」という状況では、何かあった時に損害を受けるのは、市場関係者です。多くの仲卸業者が「こんな状況では移転できない」と思っているのも当然です。
東京都は、10月11日の開場を決めているものの、いまだに山積する課題が解決されず、仲卸業者の反対も根強く、消費者の納得も得られていません。
中央区議会が「移転中止」、「移転反対」の立場を表明すれば、区民や中央区の未来のための最善の道が開かれると確信しています。
中央区議会として、ふたたび「築地市場は現在地で再整備」の姿勢に立ち返り、食の安全・安心を守るため、土壌汚染の深刻な豊洲への移転を中止するよう、東京都、国やオリンピック・パラリンピック組織委員会などの関係機関に働きかけることを求める請願をぜひ採択していただけますよう、紹介議員を代表しての補足説明を終わります。