KOTOKO【映画の感想】 | まろんぱんのあれ

KOTOKO【映画の感想】

監督:塚本晋也
原案:Cocco
音楽:Cocco
脚本:塚本晋也
主演:Cocco(琴子)
   塚本晋也(田中)
   etc

ストーリー
 琴子は大事な息子・大二郎がいるシングルマザー。彼女は現実の世界と凶暴化された虚構が二つ見えてしまうのだ。歌っているときのみひとつの世界だけになれる。大事な息子を思うがあまりに脅迫概念が強くなり精神バランスを崩していくのだった。


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私はこの作品を去年の11月26日の第12回東京フィルメックスで鑑賞してきた。映画の前にはCOCCO自ら舞台挨拶をしてくれ、映画の前後に監督が作品について語ってくれた。その内容についてはすでに多くの方が語っているで端折ります。

この作品は、第68回ベネチア国際映画祭 オリゾンティ部門でグランプリ受賞を受賞した作品。息子を愛するあまりに精神バランスが壊れていく琴子を歌手のCOCCOが演じている。

 東日本大震災救援企画でCOCCOが出したDVD「Inspired movies」があります。この映像作品の中で塚本監督の作品もあります。監督自身がCOCCOを尊敬するあまりに、作品の内容を大幅に広げ、人々が思うCOCCOを映画として作り上げたのがこの作品だと思う。

 精神崩壊のためリストカットを繰り返す、妄想に騙され暴れだす、奇声をあげる琴子。監督はそれらのシーンを嫌になる感情を狙ったというが、あまりにぐろい。気持ちを落ち着かせるために歌を歌いだす。COCCOファンがにやりとする曲をアカペラで歌う。歌手だから当たり前かもしれないがその歌唱力に改めて驚かされる。ここで使われている曲は例えば、沖縄の民謡「月ぬ美しゃ」。ただし、こちらの曲はアルバムには入っていない。きらきらLive Tour 2007/2009のライブDVDの中には収録されています。COCCO自身の複視(両目で見たときに物が二重に見えてしまう症状)のネタをつかった幻想もいれたり、そして、実姉が登場していたりと何から何までCOCCOファンがにやりとすることがちりばめられている。

 どんどん壊れゆく琴子をCOCCOが熱演しているが、あまりに自然すぎて演技ではなくドキュメンタリーではないのかといやおうなしに思ってしまう。琴子はKOTOKOなのか?いやCOCCOのことではないのか。息子を愛するがゆえに起こってしまった精神バランスの崩壊。現実と非現実の融合。どこまでが現実でどこからが虚構なのか。現実という名の混沌、妄想という名の現実、歌うことが癒し、リストカットは死ぬためではなく存在してよいかと確認するための手段。

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 さて、この映画はお勧めか?といわれれば難しいと言ってしまう。芸術性が高く、悲しくほど強く異常なまでの母親の愛の物語。女性の出産前後の危うい精神状態をリアルに描いている。人によりかなり共鳴され震える。そして、海外での高い評価。が、COCCOを知らない一般の日本人が鑑賞したらどうなのか?というところ。まず、リストカットについて強い嫌悪感を抱く人には無理。ちなみに、私はその行為について思うことは、自己の生を人一倍強く感じたい、周りに自己の生を強く感じてほしいと思う行為。だと思っているので嫌悪感はないですね。まぁ私自身、そんなことをすれば、私の趣味のひとつの献血ができなくなるからしないけどね。血がもったいなくてしょうがない。なんで、もったいないお化けがでちゃいますよ。って突っ込みをいれるぐらいです。それと子への愛がわからない人もつらいと思う。あとは、現実と虚構や精神崩壊系などがダークサイドの苦手な人も辛い。ハマる人にはハマる作品だし、いやな人はとことん嫌になる作品だと思います。

結論
COCCOをリスペクトして作られた作品。