「いらっしゃい。」

 

コーヒーの良い匂いが漂っている。

 

手洗い、うがいをさせてもらって席に着くと、叔父さんはコーヒーを渡してくれた。

 

「はい、今日はノンカフェインコーヒーが良いよ。また時間を忘れてマンガを読み込まれたら、身体に悪いからね。」

 

「残念でした。今日は7時間は寝たし、ハローワークに行って面接の報告と、あと、簿記検定の冊子をもらってきたよ。」

 

「簿記かあ、良いね。カフェ経営をする上では、言葉にも確定申告や帳簿付けを手伝ってもらいたいし。」

 

叔父はキッチンにいて顔が見えないが、心なしか声がはずんでいる。

 

「だから、まだ決めたわけじゃ…

それに、再就職もしたいし!」

 

「じゃあ、僕とやるカフェの経営者になればいい。」

 

コーヒーに合わせたダークチョコレートを置きながら、何でもないことのように言う。

 

「私、まだ社会人3年目だよ?

 

起業なんて夢のまた夢だよ。福利厚生や、年金だって不安だし…、(今は全く考えられないけど)結婚だってしたいし…。

 

第一、コーヒーのこと、そこまで詳しくないし。

本当にカフェ経営って儲かるの?」

 

「言葉はまだ焦ってるんだね。とりあえず、これ。『インベスターZ』の続き。これを読んで感想を聞かせてよ。」

 

「これを僕への投資と考えてみてよ。

 

あと、投資は応援。ただのお金儲けじゃないって言ってなかった?」

 

「あ……」

 

まだ何か言いかけている言葉を遮り、

 

叔父は、ズッシリと重い紙袋を渡してくれた。