先日、中古の委託品でこんなものを買ってきた。

 

 

 ピノチオのクモハ43である。2020年から始めた16番については、基本的には地元の高崎線に関連するものという理由で、1950年代中頃の上信越スジ(上野〜新潟や上野〜金沢近辺)の車両のみに限定するというマイルールを設定しているが、そうなると必然的に機関車・客車・貨車ばかりになってくる。なので旧型国電に関しては全くスルーという姿勢だったのだが、機関車牽引列車、それもぶどう色1号に黒ばかりではうら寂しいというところもあり、電車編成を一本持っておこうということになった。

 

 そしてその題材として、1952年の高崎線電化以降、上野〜熊谷で運転されていた、横須賀線の70系や42系による電車列車に白羽の矢が立った。小学生の頃に『高鉄10年のあゆみ』という高崎鉄道管理局の本を読んだときに存在を知り、以来ずっと頭の片隅にずっとあったのだが、これがなかなか好ましいのである。まず4輌編成というのが良い。旧型国電の制作経験は、N,16番ともに皆無に等しく、あまり長いのは作れる気がしないが、4輌ならなんとかなるかもしれないと思わせてくれる。そして何と言っても横須賀色を纏っているというのが、魅力的に映る。私はぶどう色1号の客車や機関車の、気品溢れる重厚感が好きだからこそ、この時代設定にしているという面も多いにあるのだが、かといってこればかりではどうにもモノトーンで、いくら好きとはいえ少々息苦しさを感じるというのも事実。そんなモノトーンの中に、青とクリームの電車編成がいるだけで、なんとなくレイアウトが華やぐような気がするのである。

 

 さて実際に模型にするとなると、まずどういう編成を組むかがまず問題だが、模型的に組んでみたいのは

 

クハ76/モハ70/サハ48/モハ43

 

 という編成である。4輌が全て違う形式で構成されていて、新型2輌、旧型2輌というバランス感覚も好ましい。ところが、実際の写真を見ると、どうもそうではないのである。書棚には高崎線の70系・42系の編成が収められた写真を載せた本が二冊あるが、以下の通りになっている

 

①RM LIBRARY225 『1950年代の戦前型国電(下)』 (11p) 1954.10.17 高崎線上り 西川口付近にて

=モハ43/サハ48/モハ43/クハ76

②『鉄道青春時代 上信越線』(19p) 1952.11.2 高崎線 熊谷駅にて

=クハ76/モハ43/サハ48/モハ43

 

 いずれも模型の理想型とは異なり、中間のモハ70がモハ43になっている。この辺りにどう折り合いをつけるかが悩みどころで、もう一両なんとかモハ43を調達して記録された編成に近づけるか、模型的に割り切ってモハ70で行くか、かなり難しいところである。

 

 もっとも、中間電動車にモハ43ではなくモハ70が入っている記録を見つけられればそれで済む話でもあるので、当面は制作に着手せず(というより技術的・仕掛かりの多さ的にできないが)、高崎線での記録探しをやろうと思っている。

 

 高崎鉄道管理局が1986年頃に出した『轣轆(れきろく)114』にはクハ76側から写した写真があったと思うので、まずはそれを図書館で確認してこよう。