マリモのマンホールカード |   マリモ博士の研究日記

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      - Research Notes of Dr. MARIMO -
  釧路国際ウェットランドセンターを拠点に、特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」と周辺湖沼の調査研究に取り組んでいます

<The manhole card of Marimo>

【北海道新聞・朝の食卓, 2020年1月18日】

 

 先月半ば、マリモのマンホールカードの配布が阿寒湖畔の公共施設で始まった。

 

 マンホールカードとは、地域限定でデザインされたマンホールのふたの写真と解説をカードの表裏に配したもの。下水道の普及啓発のため、関係団体でつくる下水道広報プラットホーム(東京)と所管する地方自治体が2016年から発行を開始した。地域の自然や動植物、名所、名産、著名人、祭りといった「お国自慢」が取り上げられ、これまでに全国で約600種が作られている。

 

 今回、配布が始まったカードに描かれたマンホールぶたには、マリモと当地のもう一つの特別天然記念物であるタンチョウが並んで描かれている。マリモと山野の緑、阿寒湖の青、タンチョウの白、その頭の赤が美しい。全国に6千種ほどある地域限定マンホールぶたの中でも、かねて高く評価されていた一品だ。

 

 実は、マリモとマンホールとの間にはいわくがある。衰退にひんしたマリモを下水道が救った歴史があるのだ。

 

 20世紀後半、阿寒湖では観光施設などから流入するようになった汚水の影響で、大きなマリモの生育量が半減した。対策として公共下水道を整備するなどした結果、徐々に湖水の浄化が進み、マリモの減少にも歯止めがかけられた。

 

 今回のマンホールカードが、マリモ保護の取り組みを知るきっかけになってくれればと思う。

 

全国のマンホール蓋を紹介した書籍の表紙を飾るマリモとタンチョウのマンホール蓋.