複雑な思いを抱いた結婚式


私は社会人になってから

実家にほとんど帰っていませんでした。

あの家に帰るたび

心がささくれるのが

わかっていたからです。


 

でも、結婚が決まったときには

さすがに夫とふたりで

実家に挨拶に戻りました。

(夫と父親は別日に会いました)

 

久しぶりに訪れた「実家」――

けれど、もうそこには私の知っている家は

ありませんでした。

 

両親は持ち家を売り払い

別居していたからです。

別居の理由は何も聞かされていません。

家を売却すること

別居すること

多分報告はされていたのかも知れません。

その時の記憶が曖昧です。

関わらない方が良い

と常に思っていたからでしょうね。

 

なぜ離婚じゃないのか?

としか思っていなかったように

記憶しています。

話し合うとかない家族ですし。



父は母が住む場所に近いところに

住んでいたようですが、

訪ねたことはありません。


弟は母と暮らしていました。

その時の暮らしがとても

つらかったようです。


 

この頃の私はとにかく

母親のことが大嫌いでした。



そして迎えた結婚式。

両親が別居していたため

父は参列していません。



悲しみも寂しさもなく

ただ「ああ、そうだよね」と。

私はもう、その程度の感情しか

抱けませんでした。

 

父も何か思うところがあったのかも

しれません。

それを知る術は、もうありません。

 

式の中で

ひとつだけ印象に

残っていることがあります。

それは、弟が泣いていたこと。

 

その涙の意味は、正直わかりません。

嬉しかったのか、

いろんな思いがあったのか。

聞くこともできず、ただ、

私の記憶にだけ残っています。



後に知る弟の心情と重ねると

なんとも言えない気持ちになります。

(夫と弟の関係は良好です)

 

親への感謝の気持ちは…

湧きませんでした。

 

むしろ、笑顔で座っている母親の姿が

疎ましくさえあった。

 

どこまでも外面がいい人。

来賓や親族の前では「良い母親」の仮面を

完璧にかぶって

いかにも娘の晴れ姿を喜んでいるような

そんな顔をしていました。

 

私はその姿に、心底あきれていたのです。

 

「この人は、私の気持ちなんか、

少しも想像しないんだな」

 


それでも私は

この結婚で自分の人生を変えたかった。

親との関係に苦しんだことが 

なかったかのように。

夫と、

これからの家庭を大切にしていこう。

それだけを誓いました。



祝福されるべき場所で

私は少しでも祝福されたかった。

 それが、せめてもの希望でした。


私が23歳の時の出来事です。