角田光代 『森に眠る魚』を読んで。 | Chez Nous 

角田光代 『森に眠る魚』を読んで。

 

Chez Nous 角田光代の『森に眠る魚』を読み終わりました。
この話は、1999年に文京区で起こった幼女殺人事件、いわゆる”音羽のお受験殺人”と言われている、事件をテーマにしてできた作品です。

この事件が起こったときのことは、とても衝撃的に心に残った記憶があります。

音羽の事件とは?

『森に眠る魚』書評

小説の中では、殺人事件は起こりませんが、
”ああ、こういう光景、どこかすごく近くでみたことあるな~。それもとても近くで。又少し違う意味では自分も足を踏み入れかけたことがあるな~この世界は・・・”
と思った作品でした。
とても興味深い作品でした。

作品の中には5人の子供を持つ主婦が、それぞれの経済状況、それぞれの悩みを持ち、それぞれの状況は、似ているように見えて、全く違うのに、絶えずお互いを比べあい、優越感に浸ったり、劣等感を持ったり・・・・
また、お互いに一緒でなければ安心できないといった焦燥感をもち、子供を持つ主婦たちが、お受験や人間関係を通して、追い込まれていく様子が、見事に描かれていました。


少し前に世間でよく使われた”勝ち組、負け組”といった言葉に代表されるような、世間の狭い価値観。

そんな狭い価値観に縛られることは、とても簡単です。
しかし、一度その価値観に縛られてしまえば、小さな宇宙をぐるぐると回るしかなく、その社会から抜け出すことは、簡単なようでとても難しいのではないか?と思いました。

とても印象的だったのは、どの家族の中にも、夫の存在がとても希薄であること。
夫の存在が、このような問題を解決する鍵になるのに、日本の家庭は夫の存在(子供の父親の存在)がわりと、薄い家庭が多いような気がする(そうでない家庭もあるけれど・・・)
だからママ友で深く関わるようになる傾向があるのか?とも思いました。

この作品のタイトル『森に眠る魚』とは、何を意味するのだろう。
自分の存在するべきではない場所に来てしまった魚を意味するのだろうか・・・?
今でも疑問が残っています。