幼い頃、なぜ父と結婚したのか?と母に尋ねたことがある。
母は答えた。
「酔ったときに『ピアノを買ってあげる』と言われたから。」
それから何十年?
新しい家に引っ越したある日、ピアノがやってきた。
母と私はどこかに出かけていて、薄暗い帰り道を歩いていた。家の前に来ると、部屋の明かりが灯された窓の、レースカーテンの向こう側にピアノが見えた。
「ピアノだ!」
と、叫ぶ私の声より先に、母が私を置いて駆け出したことをよく覚えている。
母は運動が苦手だったし、走る姿など見たことがなかったからとても印象的だった。
よほど嬉しかったんだろうな。
呑んだ勢いの約束通り、父が買ってくれたのか?
母はずっと働いていたので、コツコツとお金を貯めていたのか?
はたまた、その話は子どもに聞かせるための作り話だったのか?
今度聞いてみよう( ̄▽ ̄)
先日は義母のピアノを調律した。
2022年の引越しの直後に調律したことは覚えていた。それから約4年の月日が経ってしまった。
義父は「これはもうまるマリンさんのピアノだからね、弾いてね。」と言う。
ピアノのことは全く分からないし、弾いてくれたら亡くなった妻も喜ぶから、と。
うれしい言葉だし、できれば私もアコースティックで練習したい。
ピアノのためにも弾いてあげた方がよいに決まってる。
でも実際は、今まで新しい生活パターンをお互いに構築することで精一杯だった。
加えて、ピアノは義父の寝室に置いてあり、義父が不在である平日デイサービスのときは、私は仕事🥲
土日も終日家にいるわけだし。
多分ピアノを弾かない方って、練習は曲を通して弾いて、30分から長くても1時間ぐらいで終わるものだと想像しているのでは?
まさか同じパッセージを何度も何度も繰り返し繰り返しリズム練習したりなど、少なくても「心地よい」音楽が流れる状況ではないことを理解していないと思う。
ピアノは弾きたいけど、どうしたものか…。
ピアノのピッチはかなり狂っていた。
調律師さんの丁寧な作業で、ピアノの音はクリア、かつ柔らかな仕上がりに。
今までキンキンとした音になってしまっていたのでうれしい。
でもこの子(ピアノ)の実力はこんなものではないはず!
もっとよい音色に育ててあげなきゃ!
調律師さんに疑問に思っていたことを聞いてみる。
義母のピアノはサイレントピアノで、電源を入れて操作をするとアコースティックから電子のそれに切り替わるものだ。
鍵盤タッチはさはほど変化はないとしても、実際に弦を叩いて音を出す訳ではない。一体どんな仕組みになっているのか?
聞くと、サイレントモードにするとストッパーなるものが弦の前に出てくるようになり、鍵盤を打鍵し動いたハンマーはそのストッパーに遮られ、弦の直前で止まる仕掛けだという。
👩🦳「そうすると、鍵盤を押しても実際にはハンマーで弦を叩かない訳ですから、ピアノの音色が変わったり育っていくような変化はない、使っていないことと同じになりますか?🥲」
👨「そうですね…音色という面では難しいと思います。ただ、ハンマーが動くことでピアノ内部の空気は動く訳ですから、それだけも違いますよ。」
調律の後、久しぶりに義母のピアノを弾いてみた。
木造一軒家のときは気にならなかったピアノの響きが、鉄筋集合住宅の狭い部屋だと、やはり気になる。
引越しの際、壁や床を厚くしたが、防音室ではないから…。
デイサービスに出かけていた義父が、いつの間にか帰宅していた。弾くのに夢中になって気付かなかった。
ニコニコしながら「ピアノ弾いてくれたんだね。」と言ってくれた。
幸か不幸か、集合住宅の住人は部屋のテレビを大音量で聞くぐらいの高齢者が多い。
👨🦱「あんなにテレビの音が外に漏れても誰も何も言わないんだから、ピアノの音、そんな聞こえていないんじゃないのぉ?」
という旦那。
そうですね…(^◇^;)あまり長い時間を弾くことはできないけど、時々こうやって日中に1、2曲はサイレントではない音で弾いてあげてもいいのかな?
偶然にも、2台のピアノはメーカーは違うけどどちらもアップライトで、ローズウッドという綺麗な色です。

