秋田和徳ブログ『バラ・グラフィック』 -4ページ目

PARADE III - RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK -

The Jamで「Town Called Malice/悪意という名の街」。

 





2020年1月29日発売のTribute Album
『PARADE III
- RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK -』

 

 

 

 

 

 

 

イラストレーションと“Parade III”ロゴ・デザインは
宇野亞喜良氏。

氏の事務所にお伺いしたのはもう1年近く前のこと。
雑談の中から方向性を探っていく中、
バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の話になりました。
自分が座っている椅子のすぐそばには
壺に描かれた『牧神の午後』のニジンスキーの姿。
自分はお伺いする度についついそれに反応してしまうことから、
その時もその絵がきっかけだったかもしれません。

ピカソが美術・衣装を担った、
バレエ・リュスによる『パラード』(1917)。
その特異な馬の衣装が発端となって
「(少年と)風変わりなキャラクターによるパレード」という
ジャケットの方向性が定まってきました。

 

いっぽうで、キャラクターをたくさん描くのが
時間的に困難な場合は、その代替案として
なにはなくとも「少年」を描いてくださいと
“強く”お願いしました。
氏の絵の特徴をよくご存知の方には
その理由は言うまでもないと思います。
事前にメンバーからのリクエストは特になく、
これはあくまでも自分からの要望。

 

とはいえ氏の気分がのらなければ
それまでだというのも覚悟の上。

結果は…
絵を前にその場で直接お聞きするのも
失礼だと思い確認はしていませんが、
靴の大きさからしてこれは「少年」(?)。
あるいはもしかすると
「男装した少女」かもしれません。

つまるところ、ジェンダー不問!

 

 

 




このアルバムのために用意されたのは
ロゴとモノクロの線画、
それに着色された2種の、計4種。
こちらが原画(のコピー)。

 

 

 

 




世間的には
イラストレーションを使ったジャケットでは
デザイナーはいてもいなくても
大勢に影響のない透明人間、
存在を認識すらされていないことも重々承知。
では一体何をやっているのかというと、
原画をもとに、パーツを切り抜いたり、
色を変えたり加えてみたり。
また、大きさのバランスや組み合わせを変えたり、
もちろんそのまま使ったり…と、
あまり大したことはやっていません。

 

 

 

 

 




表1は、フィル・スペクターか
はたまたリチャード・ヒューソンにでもなった気分で
氏の“別の絵”から素材を引用して
原画を多少甘口にアレンジしました。

その過程。

 

 

 

 

 




原画とジャケットの“差異”がそのアレンジ部分。

 

 

 

 




もちろんこちらのアレンジはすべて
氏のチェック、了承を得ています。

そして、このイラストレーションもさる事ながら
今作の(BUCK-TICKファンへの)最大の
“サーヴィス”ポイントは、トリビュート・アルバムに
――シルエットではありますが――
トリビュートされる側のアーティストの
(当時)最新の撮り下ろし写真を使ったこと。

ジャケットを見開くと、
BUCK-TICKの5人も絵の中に加わって
パレードは続きます。

 

 

 










*
My all-time favorites
#239

曲は、The Smithsで
「The boy with the thorn in his side/心に茨を持つ少年」。

 

 

 

 




購入特典のバッグ。