甘い罠 | 秋田和徳ブログ『バラ・グラフィック』

甘い罠

This Mortal Coilで「Another Day」。

 

 




「死」をほのめかす、美しいもの。

CDジャケットの構想を練っている際に、
そんな象徴的な何かを探していて、
ふとひらめいたのがスズランでした。

 

 

 




「ちょうちん袖みたいな…」
つい2年ほど前まで、スズランについての認識は
そんなものでした。
実物は“鉢植え”で見かけたことがあるかなあ…という程度。

ところが、それからスズランのことを
調べていくにしたがって、
これまで無関心だったのが嘘のように、
その魅力にとらわれていったのです。

 

 

 




毒を有する植物の中でも
とりわけルックスとのギャップを感じるスズランは、
なんとも創作意欲をかきたてるものでした。

 

 

 

 

 



以来、にわかのスズラン・ブームが到来。

 

 

 

 

 

 

今からちょうど3週間前。

散歩中に見ず知らずのご婦人と立ち話を
――こんなことは滅多にないのですが――していると、
不意にそのお方がスズランの咲く
(立ち入り可能な庭の)場所を教えてくださいました。
スズランの話など一言もしていないにも関わらず、です。

無論、即座に向かいました。
「スノーフレークの間違いじゃありませんように」
と祈りながら。

確かにありました、スノーフレークが。
そしてスズランが。

 

 

 

 

 

 

まず思ったのは
「ほんとうに(スズランって)あるんだ」と。
まるで想像上の植物を見たような、
或いは憧れのスターに対面したような、
そんな気分でした。

 

 

 

 

 

 

というのも、地面に生えている姿を見るのは
その時がはじめてのこと。
この2年間、ずっと写真等で見ていたスズランは、
可愛さをわざとらしく装った“つくりもの”…
というと言い過ぎですが、どういうわけか、
その存在に確信が持てなかったのです。
なんだ、その可愛くデフォルメして描いた
タコの足みたいな“くるり”は!
そんなはずはないだろう、と。

 

 

 

 

 

 

スズランの咲くスペースはささやかではありましたが、
広大な薔薇園に足を踏み入れた時と同種の、
あるいはそれ以上の高揚感を覚えました。

 

 

 

 

 

 

華やかな薔薇と清楚なスズラン。
目に見える「棘」と目に見えぬ「毒」。
鋲付きの皮ジャンを着たパンクスとパフ・スリーヴの少女。

 

 

 

 

 

 

 

あな恐ろしきスズランの「甘い罠」。

 

 

 

 

 

 

自生するスズランを見ること。
それが目下の夢です。

 

 

 

 

 

 

 

ところでキミたちは「毒」ヘーキなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*
My all-time favorites
#212

Cocteau Twinsで「The Itchy Glowbo Blow」。

 


 

 

 

 

 

 

キング・オブ・ちょうちん袖。