再入院12日目 放射線4回目 | ぐるぐる中

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ぐるぐるしています。

放射線は効いているのか?


父は何にも感じないようだ。




今日は珍しく、起きている時間があった。


「今朝、朝食後に飲む薬、4つぶのやつ。飲んでない気がする。」と言う。


今朝は母が朝食の手伝いに来ていた。




「うっそ。飲んだでしょ?」


「いや~飲んでない。と思うけど。」




私はいつも薬袋を捨てるゴミ箱をあさってみた。


でも、その4錠の薬の袋がない。


「朝食のお盆にのっけて返しちゃったかな。」


「いや。飲んでないって。」




4錠がなんの薬か調べた。利尿剤とか、胃の保護の薬などなど・・・


もう12種類くらい色々飲んでいるから、訳わからなくなっても仕方ないけど・・・




でも気になったので看護師さんに言ってみた。


ら、「出してると思いますよ。」


「お盆と一緒に返しちゃったんじゃないですか?」


「いや、飲んでないと思うよ~~」


あまりに引き下がらない父に、


「夜勤の看護婦にちょっと確認してみます」


看護師さんは戻っていった。




父はもともととても几帳面なので、こういうことはしっかりしている。


私も、まだまた父がいつものようにキッチリしていることが嬉しかった。




しばらくしてバタバタと看護師さんが駆け込んできて、


「すみません!!夜勤の看護師に確認したら、やっぱり出してなかったみたいです!!すみません!」


とあやまった。










・・・・・・・その時、父が目を見開いたまま、


全く動かなくなった。












???


もしかして・・・




お父さん?










お父さん???


あれ?














「お父さん!!!!!!」


私は、息が止まった。








看護師さんが青ざめて「○○さん!?!?!?」と叫んで父をゆすった。












・・・・・・しばらくして、


父は舌を出して片足を上げ、


「騙された~~罰だぁ。」と言って、わははと笑った。


・・・死んだふりだった。


父のしそうなことだ。






でもめちゃくちゃ、びっくりした。。。


看護婦さんが、なによりおったまげていた(笑)。


「・・・び、びっくりしました・・・すみません・・・これ、今飲んでください・・・」








「ハイハイ、これね。飲んどくね。ごめんごめん」


父はケロッとして、薬を飲み始めた。


看護師さんが出ていったあとで父は


「大事な薬だったらどうしてくれんだ。」と言いながら笑っていた。




・・・・・・・まったく。


心臓が止まったわ。


でも父らしい言動で、私も笑えた。










今までずっと、おもしろい事を言ってみたり、びっくりさせたり、飽きない父だった。




私は、認めてもらえず、素直に向き合えず、ずっと来たけれど、


しょうもない冗談やおもしろい企てには分かり合えるところがあり、


楽しくやってきたことを思い出した。








私は、自分でも父は、見た目男前だと思う(笑)。


昔、そうとうモテたらしいし、


自称「熟したリチャードギア」だと言っている(笑)


ほんとに(親ばかならぬ娘ばか、というのだろうか)私にもそう見える(笑)




お腹が出てなければさらにかっこいいオジサマだと思うし


言うこともタイミングも気が付くところもスマートで


働き者で責任感が強いしみんなに好かれているし。










私はほんとに小さな頃から父が好きだった。


母が私に向き合ってくれない時も


父は向き合ってくれたし




小さなころ父のあぐらのなかに入って


よくわかんないけど頭の上であごをカチカチあてられたのも心地よかった。




父のめちゃくちゃうまい歌もよく聴いたし


おかげで私も歌がうまい(笑)


おばあちゃんたちと言ったお正月旅行のホテルでカラオケ大会が突然あって


飛び入りで私が優勝して賞金をもらい、父は2位で「ありえん」と怒っていた。




一度だけ、父の腕につかまって歩けたときは、ととても嬉しかった。


いとこの結婚式ではふたりでデュエットを頼まれて、高いキーの難しいとこは父にまかせて・・・




父の運転する助手席では、誰の隣りよりも安心できて


遠出するときはいつも道のりを教えてもらった。




おもしろいことばかり言ったり、人のことをからかったり、話題は尽きず飽きなかった。


きれい好きで神経質で完璧主義なところも、


うるさいなあって言いながら、実は尊敬していた。



最近はどんどん素直になれなくなっていったけれど・・・











私は今も父がとても好きで、誰より信頼していて、








この先その存在を失うことが


ぜんぜん受け入れられない。