※今回から講義です。



「カマド」



かまどの漢字は2つあって、


竈 かまど
  ソウ

爨 かまど 
  かし-ぐ
  サン


…覚えにくい形をしているな、爨



日本語で飯炊き女のことを言う「おさんどん」という死語があるが、漢字では
「お爨どん」


また、四字熟語
「三世一爨」(さんせいいっさん)
とは、三世帯が同居すること。

三世帯住宅のことか?

「唐書」に出てくるくらい古い言葉だから、昔も今と似たような生活風景があったのだろう。



一方の「竈」

「竈突」(そうとつ)

これは見て分かる通り、カマドの煙突のこと。

「竈突未だ黔まず」(そうとつ、いまだくろまず)

これは新居に移って間もないこと



これと似てる言葉で

「孔席(こうせき)暖まらず、墨突(ぼくとつ)黔(くろ)まず」

というのがあって、道徳を説くのに天下を周遊し、孔子の席は暖まる暇も、墨子の家の煙突は黒くなる暇も無かった、というような意味。
二人とも忙しかったのだ。


さて、これらに出てくる


黔 ケン くろ-い


主に人名、地名に使われることが多い漢字。

字義は厳密には黄ばんだ黒色らしい。どうでもいいけど。


「黔首」(けんしゅ)

とは黒い頭、転じて人民・衆民のことを指す。
漢検1級では常連の熟語?


時に侮蔑の意をこめて

「黔愚」(けんぐ)

と呼ばれることもあったそうな。


怒れ人民!